電脳学園
[Wikipedia|▼Menu]

電脳学園
電脳学園シナリオIジャンルSFクイズゲーム
対応機種
PC-8801SR以降
PC-9801VM以降
MSX2/MSX2+
開発元ガイナックス
発売元ゼネラルプロダクツ
人数1人
メディアFD 5"2D 4枚組(PC-88)
FD 5"2HD or 3.5"2HD 4枚組(PC-98)
FD 3.5"2DD 2枚組(MSX2)
発売日1989年7月15日
1990年11月10日(Ver2.0 PC-98)
対象年齢未審査(Ver2.0より12歳未満のプレイ自粛要請表示)
Ver2.0は宮崎県有害図書指定
テンプレートを表示

『電脳学園』(でんのうがくえん、CYBERNETIC HI-SCHOOL)は、1989年7月15日にガイナックスから発売されたクイズゲーム。クイズに正解すると、登場するヒロインが服を徐々に脱いで最後は全裸になる脱衣ゲーム(アダルトゲーム)である。ガイナックスのコンピュータゲーム参入第1弾であり、シリーズ化されて4作品が発売された。2023年現在は、4作ともプロジェクトEGGPC-9801シリーズ版がダウンロード販売中である。

また、1999年から2000年にかけて新シリーズ『電脳学園ミレニアム』がナインライブスから2タイトル発売された(通販・イベント直販限定)。
沿革

1980年代後半、ガイナックスはアニメーション制作の赤字で悪化していた経営を立て直すため、ゲーム業界へ進出することを決定した。その第1弾として制作されたのが、本シリーズである。

当時のアダルトゲーム市場は一流メーカーの撤退により、グラフィックのレベルが低下していた[1]。また、MacintoshHyperCardで遊んでいた岡田斗司夫赤井孝美は、アドベンチャーゲーム程度であれば自分たちでも制作することが可能であると知っていた[2]。こうした状況から、システムが単純なクイズゲームにアニメ制作スタッフによるグラフィックを組み合わせることで、ゲーム制作は可能であり売上も見込めると判断され、本作が制作される。

PC-8801版で岡田と赤井はプログラムとBGMの作曲以外を全て2人でこなし、角川書店の『コンプティーク』にヨイショ同然の記事を書いてもらうという癒着ギリギリのバックアップを受け(最終的にはガイナックスから『コンプティーク』にライターを派遣し、自分たちでヨイショ記事を書くまでになる)[3]、本作を発売した。大きな反響を呼んだが、1990年11月に発売した『電脳学園シナリオI Ver2.0』は宮崎県青少年保護育成条例による有害図書指定を受けてしまう[注釈 1]。ガイナックスは本指定に対して憲法第21条等の違反で無効であるとして宮崎県を提訴するが、1999年12月に最高裁判所敗訴した(詳細は#宮崎県有害図書指定に対する訴訟を参照)[4]
電脳学園シリーズ

全4作。対応機種はNEC PC-8801SR以降、NEC PC-9801VM/UV以降ラップトップを除く、但しVM/VM2/VM4は要16色ボード)/EPSON PCシリーズMSX2/MSX2+RAM64KB/VRAM128KB以上)。パッケージソフトウェア販売のほか、ソフトベンダーTAKERUによるダウンロード販売も行われていた。パッケージ版には「電脳学園おまけ新聞」が付属する。
電脳学園(シナリオI)

1989年7月15日発売。電脳学園の生徒であるプレイヤーを操作し、3名の講師(初級:芹沢 博子、中級:万城目 ユリ、上級:神宮寺 静)とクイズで勝負する。クイズのジャンルはアニメ特撮・国内外のSFに関するものが多い。講師名も特撮の登場人物に由来する。ノルマは25問中20問(正解率80%)で、ノルマを達成すれば相手の服を脱がすことができる。服を脱がした状態で、特定部位をクリックすると反応する。4枚脱がせるとクリアで、全員脱がせると「電脳博士号」の学位認定を受ける。絵は当時としては珍しく、ヘアの描写にこだわっていた。パニックモードでは「カブザードリィ 兜町の試練場」という、株取引RPG風の画面が表示された。

1990年11月10日には第1作の改良版である『電脳学園シナリオI Ver2.0』が発売され、前作の購入者には半額でバージョンアップを受け付けた。なお、本バージョンは推奨年齢12歳以上として12歳未満のプレイ自粛が発売元から要請されていたが、強制力は無かった。1992年7月17日(7月24日告示)に宮崎県から有害図書指定を受けているほか、同年9月には愛知県でも有害図書指定を受けている[5]
『電脳学園シナリオI Ver2.0』の宮崎県有害図書指定に対する訴訟

1992年7月17日、宮崎県は「宮崎県における青少年の健全な育成に関する条例」(昭和52年7月28日条例第27号)第13条1項に基づいて『電脳学園シナリオI Ver2.0』を有害図書に指定した。関係機関への通知書には処分の理由として「著しく青少年の性的感情を刺激し、その健全な成長を阻害するおそれがあるため」と記載されているため、岡田は「ヘアが無修正で描写されていたのが引っかかった」と推測し、有害指定されたことは当然であると認識していた。しかし、赤井はこの指定に猛反発し[6]、ガイナックスはパソコン雑誌を中心に「私たち、有害指定されちゃったんです」と題する意見広告を掲載[4]。特に『宮崎県公報』における有害指定の理由が必ずしも明確でないとする点を指摘し、1993年2月に宮崎地方裁判所に指定の取り消しを求めて提訴するが[5]1994年1月24日に敗訴[7]1995年3月1日福岡高等裁判所宮崎支部における控訴審でも同様に敗訴[8]。これに対しガイナックスは最高裁判所へ上告するが、1999年12月14日の最高裁・第三小法廷裁判官全員一致の意見で一審・二審の判決を支持し、上告を棄却した[9]

一方、アミューズメントマシン業界紙ゲームマシン』は、実物を見たわけではないとしたうえで、宮崎県が有害図書に指定したからにはそれなりの根拠があったのだろうと分析している[5]。また、同紙は一般論として、当時の日本では子どもに過保護であるがゆえに表現の自由が遠慮せざるを得なくなる例が多く、ある程度の制限は当然であり、保守的司法制度では結論が最初から分かってしまっていると述べている[5]

なお、ガイナックスは本訴訟の敗訴後にコンピュータソフトウェア倫理機構へ加入している。また、作家の森瀬繚ニュースサイトファミ通.com」に寄せた記事によると、本件がコンピュータソフトウェア倫理機構設立のきっかけの一つになったという[4]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:48 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef