この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。
電磁的記録(でんじてききろく)とは、データのことを指す法律用語の一つで、電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することのできない方式で作られた記録のこと。 刑法においては、「電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるもの」(刑法第7条の2
概要
ただし、情報公開法やその関連条例においては、「電子的方式、磁気的方式その他の知覚によって認識することができない方式で作られた記録をいう。」と定義され、VHSなどのビデオテープやカセットテープなどのアナログデータも電磁的記録に含まれる。その他、日本郵便株式会社のゆうメールにおいても情報公開法と同様の定義がなされている。
電磁的記録を保存するためのフロッピーディスクやCD-ROM、USBメモリ、SSD、HDDなどのコンピュータ用メディアや、キャッシュカードの磁気部分などは電磁的記録媒体と呼ばれ、電磁的記録が保存された電磁的記録媒体を電磁的記録物と呼ぶ。 不可視の無形物である電磁的記録は、従来の文書や図画とは異なる概念のものであるため、その扱いは法律によってまちまちである。 電磁的記録は、「文書」には当てはまらない。 文書に準ずる物件への準用としては、図面、写真、録音テープ、ビデオテープその他の情報を表すために作成された物件で文書でないものについて準用する(民事訴訟法 第二百三十一条)。 準文書及び証拠説明書の記載については、例としてウェブページを印刷した書面 記載例:「「○○」と題するウェブページを印刷した書面」とある 電磁的記録は、「行政文書」に該当することが明記されている(行政機関の保有する情報の公開に関する法律 第2条第2項)。 電磁的記録物は、「文書」には当てはまらないため、郵便法に定める「信書」にも該当しない[1]。 e-文書法では、商法や税法で保管が義務付けられている文書を電磁的記録(電子文書)で保管することを可能にした。 刑法各本条においては、電磁的記録の不正使用や損壊等の行為を以下のような犯罪類型として規定している。 電磁的記録は、外部からの可読性を欠くため、その捜索、差押が令状主義との関係で問題になることがある[2]。
文書との関係
刑法・民事訴訟法
情報公開法
郵便法
e-文書法
刑事法
刑法
電磁的記録不正作出及び供用の罪(161条の2
文書偽造等の罪の特殊類型。
支払用カード電磁的記録に関する罪(163条の2
有価証券偽造等の罪の特殊類型。
不正指令電磁的記録に関する罪(168条の2、168条の3)
コンピュータウイルス等の作成や提供等を内容とする。
電子計算機損壊等業務妨害罪(234条の2
業務妨害罪の特殊類型。
電子計算機使用詐欺罪(246条の2
詐欺罪の特殊類型。詐欺罪は「相手が自然人の場合」にしか成立しないため規定された。
刑事訴訟法
脚注[脚注の使い方]
出典^ 総務省|信書便事業|「信書に該当する文書に関する指針」Q&A集:
^ 法務省:法制審議会刑事法(ハイテク犯罪関係)部会第8回会議(平成15年8月7日開催)
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