電気通信
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電気通信(でんきつうしん)とは、電気信号電磁波電波赤外線可視光線)等の電磁的手段により映像(動画)・音声データなどの情報を伝える通信である。

電気通信分野の初期の発明者としては、アレクサンダー・グラハム・ベルグリエルモ・マルコーニジョン・ロジー・ベアードらが挙げられる。

電気通信は世界経済の重要な部分となっており、2006年の全世界の電気通信業界の収入は1兆2千億ドルと見積もられている。

有線通信無線通信という区分があるが、現在の通信ネットワークは有線・無線を適材適所に組み合わせて構築される。
用語と定義

日本の電気通信事業法は、「有線無線その他の電磁的方式により、符号、音響又は影像を送り、伝え又は受けること」と定義している。

また、放送公衆に向けた通信の送信とされ、電気通信の部分集合であるが、しばしば並立するものとして言及される。

例:「通信衛星放送衛星」「通信事業者放送事業者」「通信と放送の融合

歴史「通信技術の年表」も参照
電気以前の通信詳細は「通信#歴史」を参照
電信と電話

世界初の商業化された電信は1839年4月9日、チャールズ・ホイートストンとウィリアム・フォザギル・クックが構築したものである。ホイートストンもクックも彼らの装置を「(既存)の電磁式テレグラフの改良」と考えており、新たな装置とは見なしていなかった[1]

サミュエル・モールスも独自の電信を開発したが、1837年9月2日のデモンストレーションは失敗に終わった。ホイートストンの通信手法に比べて、モールス符号を定めた点が重要な利点だった。世界初の大西洋横断電信ケーブルが1866年7月27日に完成し、大陸間の電気通信の時代が始まった[2]

1849年、アントニオ・メウッチが音声を電線を通して伝える装置を発明した。しかし、メウッチの装置は「電気聴覚効果」というものを利用しており、電極を口にくわえることで電流を直接人体に流し、それによって聴覚を生じさせるものだった。このため、音質はよいが実用的とは言い難い面があった[3]。1876年、アレクサンダー・グラハム・ベルイライシャ・グレイがそれぞれ独自に現代と同じ仕組みの電話を発明した[4]。世界初の商業化された電話サービスは1878年から1879年に、大西洋を挟んだニューヘイブンロンドンでほぼ同時に開始された[5][6]
ラジオとテレビ

1832年、ジェームズ・ボウマン・リンゼーは学生たちに無線電信のデモンストレーションを披露した。1854年までには、スコットランドのテイ湾を挟んだダンディーとウッドヘイヴンの間(約3km)での通信に成功した。この場合は確かに電線はないが、水を伝送媒体として使っている[7]。1901年12月、グリエルモ・マルコーニセントジョンズ(カナダ)とコーンウォールPoldhu(イギリス)との間で無線通信に成功し、それによってノーベル物理学賞を(1909年、フェルディナント・ブラウンと共同で)受賞した[8]。ただしもっと小規模な無線通信は、1893年にニコラ・テスラがデモンストレーションし成功させていた[9]

1925年3月25日、ジョン・ロジー・ベアードはロンドンの百貨店Selfridgesで動画の転送実験を披露した。ベアードの装置はニプコー円板を使った機械式テレビジョンだった。これに基づいて、英国放送協会は1929年9月30日テレビの実験放送を開始した[10]。しかし20世紀のテレビのほとんどはフェルディナント・ブラウンの発明したブラウン管を使っている。そのようなテレビを最初に作ったのはフィロ・ファーンズワースで、1927年9月7日に家族に対してデモンストレーションを披露している[11]
コンピュータネットワークとインターネット

1940年9月11日、ジョージ・スティビッツニューハンプシャー州ダートマス大学に設置したテレタイプ端末からニューヨークにある複素数計算機(リレー式)に問題を送り、答を受け取るというデモンストレーションを行った[12]。これは中央コンピュータ(メインフレーム)とリモートのダム端末という1950年代によく見られた構成と同じである。しかし、1960年代になる前に研究者らはパケット交換の研究を開始した。これは、中央のコンピュータを経由せずにデータを断片化して様々な場所のコンピュータとやり取りするテクノロジーである。1969年12月5日、4ノードのネットワークが構成され、ARPANETと名付けられた。1981年には、これが213ノードに成長している[13]

ARPANET関連の開発は Request for Comments というプロセスを中心として進められており、1969年4月7日に .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}RFC 1 が発行されている。ARPANETはその後他のネットワークと融合してインターネットとなったため、このプロセスは重要である。今日のインターネットの様々な通信プロトコルは Request for Comment プロセスで策定されてきた。1981年9月、RFC 791 で Internet Protocol v4 (IPv4)、RFC 793 で Transmission Control Protocol (TCP) が定義され、今日のインターネットの大部分が基盤としているTCP/IPプロトコルが生まれた。

しかし、コンピュータネットワーク関連の重要な開発が全て Request for Comment プロセスで策定されたわけではない。1970年代、2つの重要な Local Area Network (LAN) 用リンクプロトコルが登場した。1974年10月29日、Olof Soderblom がトークンリングの特許を出願し、1976年7月の Communications of the ACM 誌にロバート・メトカーフデビッド・ボグスイーサネットに関する論文を発表した[14][15]


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