この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。
工事担任者
英名 Installation Technician[1]
略称工担、担任、担任者
実施国 日本
資格種類国家資格
分野電気・通信
試験形式マークシート・CBT
認定団体総務省
認定開始年月日1985年(昭和60年)
等級・称号アナログ通信(一級・二級)
デジタル通信(一級・二級)
総合通信
根拠法令電気通信事業法
公式サイトhttps://www.dekyo.or.jp/
工事担任者(こうじたんにんしゃ)は、電話やFAX、インターネットなどの公衆回線やCATVの通信回線に接続する端末設備の他、伝送交換機及び線路の工事、監督するための資格である電電公社の社内資格が国家資格化されたものである。総務省所管。1985年(昭和60年)、電気通信事業法の施行と同時に制定された。 根拠法である電気通信事業法では「工事担任者資格者証の交付を受けている者(以下「工事担任者」という。)」とされているが、何の工事担任者なのかわからないため「電気通信の工事担任者」や「電気通信設備工事担任者」と付記して呼ばれることも多い。また、平成23年(2011年)4月現在の電気通信国家試験センターのウェブサイト[2]では「ネットワーク接続技術者「工事担任者」試験」と言う表記も見られる。「工事担当者」と誤って記載等されることがあるので注意が必要である。略して「担任者」(たんにんしゃ)や「工担」(こうたん)と呼ばれることがある。電気通信工事のうち電話及びネットワークシステムの構築、線路交換設備工事など有線無線工事をおこなうことができる資格である。なお工事担任者は3年の実務経験を得ることにより、建設業法の電気通信工事業の許可を得ることができる。また端末工事を監督するときは、常時資格者証を携帯しなければならない。微弱な電圧であることから電気工事士などの資格は、不要で工事をおこなうことができる。 昭和60年の制定当時当初は、アナログ第一種、アナログ第二種、アナログ第三種、デジタル第一種、デジタル第二種の5つに区分されていた。 電気通信事業法の施行前は、公衆電気通信法 旧資格新資格 1996年(平成8年)アナログ・デジタル総合種が追加され、6区分となった。 1998年(平成10年)デジタル第三種が追加され7区分となり、工事範囲が下表のとおりとなった。 種類工事範囲 2005年(平成17年)8月より種類と工事範囲が次のように変更された。従前の資格者は従来の工事範囲の工事を行うことができる。旧資格は、資格の名称・工事の範囲とも引続き従前のまま有効であり、読み替えなどは行われない。 種類工事範囲 令和2年9月7日に電気通信主任技術者規則等の一部を改正する省令(令和2年総務省令第85号)が公布され、同省令附則第1条により令和3年(2021年)4月1日より次の変更が施行された[4]。 種類工事範囲
概要
沿革
第一種アナログ第一種
第二種アナログ第二種
第三種
第四種
回線交換種デジタル第二種
パケツト交換種デジタル第一種
国際電信種デジタル第二種
国際公衆データ伝送種デジタル第一種
アナログ第一種アナログ伝送路設備(アナログ信号を入出力とする電気通信回線設備をいう。以下同じ)に端末設備又は自営電気通信設備(以下「端末設備等」という)を接続するための工事
アナログ第二種アナログ伝送路設備に端末設備等を接続するための工事(端末設備等に収容される電気通信回線の数が50以下であって内線の数が200以下のものに限る)
アナログ第三種アナログ伝送路設備に端末設備を接続するための工事(端末設備に収容される電気通信回線の数が1のものに限る)
デジタル第一種デジタル伝送路設備(デジタル信号を入出力とする電気通信回線設備をいう。以下同じ)に端末設備等を接続するための工事
並びにアナログ第三種の工事の範囲に属する工事
デジタル第二種デジタル伝送路設備(回線交換方式によるものに限る)に端末設備等を接続するための工事
並びにデジタル第三種の工事の範囲に属する工事
デジタル第三種デジタル伝送路設備に端末設備を接続するための工事(接続点におけるデジタル信号の入出力速度が192kbps以下のものであって端末設備に収容される電気通信回線の数が1のものに限る)
並びにアナログ第三種の工事の範囲に属する工事
アナログ・デジタル総合種アナログ伝送路設備又はデジタル伝送路設備に端末設備等を接続するための工事
AI第一種アナログ伝送路設備(アナログ信号を入出力とする電気通信回線設備をいう。以下同じ)に端末設備又は自営電気通信設備(以下「端末設備等」という)を接続するための工事
及び総合デジタル通信用設備に端末設備等を接続するための工事
AI第二種アナログ伝送路設備に端末設備等を接続するための工事(端末設備等に収容される電気通信回線の数が50以下であって内線の数が200以下のものに限る)
及び総合デジタル通信用設備に端末設備等を接続するための工事(総合デジタル通信回線の数が64kbps換算で50以下のものに限る)
AI第三種アナログ伝送路設備に端末設備を接続するための工事(端末設備に収容される電気通信回線の数が1のものに限る)
及び総合デジタル通信用設備に端末設備を接続するための工事(総合デジタル通信回線の数が基本インタフェースで1のものに限る)
DD第一種デジタル伝送路設備(デジタル信号を入出力とする電気通信回線設備をいう。以下同じ)に端末設備等を接続するための工事。
ただし、総合デジタル通信用設備に端末設備等を接続するための工事を除く。
DD第二種デジタル伝送路設備に端末設備等を接続するための工事(接続点におけるデジタル信号の入出力速度が100Mbps(主としてインターネットに接続するための回線にあっては1Gbps)以下のものに限る)。
ただし、総合デジタル通信用設備に端末設備等を接続するための工事を除く。
DD第三種デジタル伝送路設備に端末設備等を接続するための工事(接続点におけるデジタル信号の入出力速度が1Gbps以下のものであって、主としてインターネットに接続するための回線に係るものに限る)。
ただし、総合デジタル通信用設備に端末設備等を接続するための工事を除く。
AI・DD総合種アナログ伝送路設備又はデジタル伝送路設備に端末設備等を接続するための工事
平成25年2月1日の総務省令の改正により、DD第二種・第三種にて工事可能な「主としてインターネットに接続するための回線」の速度が1Gbps以下のものまで拡大された。それまでは100Mbps以下に制限されていた[3]。
第二種(AI・DD)の廃止(省令第2条)
既取得の第二種資格は従前の名称、監督範囲のまま有効である。(新資格へのみなしや移行はない、省令附則第3条18項)
科目合格者のみを対象として3年間は試験は実施される。(新規受験はできない、省令附則第3条)
名称の変更(省令第2条)
AI・DD総合種は、「総合通信」に変更
第一種は、AI第一種→「第一級アナログ通信」、DD第一種→「第一級デジタル通信」に変更
第三種は、AI第三種→「第二級アナログ通信」、DD第三種→「第二級デジタル通信」に変更
平成17年8月改正後のAI種、DD種及びAI・DD総合種資格取得者(第二種除く)は、特段の手続き不要で、新資格証の交付を受けているものとみなされる。(省令附則第3条17項)
工事の監督の範囲に変更はない。
科目合格者も、新資格の受験の際のはそのまま科目合格が有効となる。
種別
第一級アナログ通信
(みなし旧資格 AI第一種)アナログ伝送路設備(アナログ信号を入出力とする電気通信回線設備をいう。以下同じ)に端末設備又は自営電気通信設備(以下「端末設備等」という。)を接続するための工事
及び総合デジタル通信用設備に端末設備等を接続するための工事
第二級アナログ通信
(みなし旧資格 AI第三種)アナログ伝送路設備に端末設備を接続するための工事(端末設備に収容される電気通信回線の数が1のものに限る)
及び総合デジタル通信用設備に端末設備を接続するための工事(総合デジタル通信回線の数が基本インタフェースで1のものに限る)
第一級デジタル通信
(みなし旧資格 DD第一種)デジタル伝送路設備(デジタル信号を入出力とする電気通信回線設備をいう。以下同じ)に端末設備等を接続するための工事。
ただし、総合デジタル通信用設備に端末設備等を接続するための工事を除く。
第二級デジタル通信
(みなし旧資格 DD第三種)デジタル伝送路設備に端末設備等を接続するための工事(接続点におけるデジタル信号の入出力速度が1Gbps以下のものであって、主としてインターネットに接続するための回線に係るものに限る)。
ただし、総合デジタル通信用設備に端末設備等を接続するための工事を除く。
総合通信
(みなし旧資格 AI・DD総合種)アナログ伝送路設備又はデジタル伝送路設備に端末設備等を接続するための工事
アナログとはダイヤル(パルス)回線・プッシュ(トーン)回線を含めた普通のアナログ回線のことである。デジタルとはINS64などのISDN回線及びCATV回線、光ケーブルを用いた回線である。CATVは一見アナログに見えるが、ケーブルモデムはパケット通信方式であるのでデジタル通信又は総合通信の資格が必要である。また、ADSL、無線LANもデジタル伝送路として扱われる。