電気バス
[Wikipedia|▼Menu]
関電トンネル電気バスの車両(日野ブルーリボン

電動バス(でんどうバス、Electrical Bus)は二次電池式電気自動車(BEV)の一種であり、蒸気内燃機関ではなく、蓄電池電気エネルギーを動力源に電気モーターを回転させて走行するバスである。電気のみを動力として走るバスのうち、電力を架線から集電するトロリーバス(無軌条電車)などとは異なる。

電気エネルギーで電気モーターを回転させて走行する点においては燃料電池バスも同様であるが、通常は別として扱われる。
概要原理・機構については「電気自動車」を参照

内燃機関と比べると電気モーターは、アイドリングの必要が無い、起動トルクが大きい、実用回転域が広いという大きな特徴があり、変速機を省略しても十分な発進・加速性能が得られる[1][2]。バスの原動機として長らく一般的であったディーゼルエンジンは元来フラットなトルク特性で、多段式の変速機を介することで、乗り物の運転に都合の良い、速度の上昇に合わせた段階的な右肩下がりのトルク曲線を得ていた。また、エンジンを停止した状態からの起動もできず、クラッチ機構も必要となる。一方、電気モーターは起動時のトルクが最大で、そこから滑らかな右肩下がりとなる特性であるため変速機が不要で、歯車比が固定の減速機のみで駆動系が成立し、起動や加速などの操作も容易なうえ、減速時には電力回生まで可能である。20世紀中は技術が未成熟であったためあまり普及しなかったが、パワーエレクトロニクスの発展とリチウムイオンバッテリーの発明等の技術革新により本格的に普及が始まっている。

2019年現在、地球上のバスの約17 %にあたる、42万5,000台のバスが電動化されている。中華人民共和国では国策もあって電気バスが非常に普及しており、同年現在、地球上の電気バスの99 %が中国で運用されている[3][4]深?などでは路線バスは完全に電動化されている[3]。BNEF(Bloomberg New Energy Finace[5])のElectric Vehicle Outlook 2020[6]"レポートによると、2030年にはすべての都市内バスの58 %が電動化されるという[6]

2つ以上の異なる動力源(原動機)を組み合わせた自動車ハイブリッドカーと呼ぶが、脱炭素化の流れから、内燃機関と電気モーターを組み合わせる方式が増えている。動力源の一つとして電気を用いていても、ハイブリッドカーは電気自動車とは別に扱われるのが一般的である。ハイブリッドバスについては「ハイブリッドカー」を参照

ハイブリッドタイプのものでは、車上で発電した電気を車載バッテリーに蓄電し、その電気でモーターを駆動する方式もある。一例としてデザインライン・タービン電気バスがあり、このバスはマイクロガスタービンを用いた発電装置蓄電池・電気モーターによるもので、ディーゼルエンジンよりも二酸化炭素の排出が少なく、定速運転のガスタービンは排気浄化も容易いため[7]、停車や発進、加減速を頻繁に行なう市街地走行に適しているといえる[7]。同車種は日本では日の丸自動車興業の無料巡回バス「丸の内シャトル」「メトロリンク日本橋」で採用されている[7]

要約でトロリーバスを除外すると記述したが、運転中に架線の電力によって充電を行う「イン・モーション・チャージング」(IMC: in-motion charging)方式のトロリーバスには、数マイル程度の航続距離を有する蓄電池を搭載したものが登場しており、架線の無い場所でも電気バスとしての走行が可能である[8]
原理
バッテリー

現在、最も普及している電気バスのひとつにバッテリー式電気バスがある。バッテリー式電気バスは、車内の電気をバッテリーに蓄えている。2018年現在、バッテリー式電気バスは1充電あたり280 km以上の走行が可能だが、極端な低温下や上り坂では航続距離が短くなる[9]。このバスは航続距離が限られているため、通常は都市部で使用されている。

都市部での走行は、アクセルとブレーキが多用される。そのため、バッテリー電気バスは、制動時に運動エネルギーの大部分をバッテリーに再充電することができ、ブレーキライニングの摩耗を減らすことができるので、ディーゼルバスより優れている。ディーゼル推進より電気を使うことで、都市での騒音や公害を減らすことができる[10]

市街地での運行では、バスの非積載重量と転がり重量を最小限に抑えることが重要となる。これは、主要な構造材料としてアルミニウムを使用することで可能となる。また、複合パネルやその他の軽量素材も使用してもよい。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:271 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef