電動車
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「電動車」はこの項目へ転送されています。自動車については「電動車 (自動車)」をご覧ください。

動力車(どうりょくしゃ)とは、動力を有する車両のことである。
鉄道車両
概要先頭が制御電動車
(京王電鉄7000系デハ7400型)

日本における鉄道車両の「動力車」とは、「動力車操縦者運転免許に関する省令」の第2条で、「鉄道及び軌道蒸気機関車電気機関車電車蓄電池機関車、蓄電池電車、内燃機関車内燃動車無軌条電車

と定義されており、電動機エンジンなどを有し、自走のために必要な機能を備えている車両がこれにあたる[1]。運転に際しては動力車操縦者の運転免許を要する。

このように本来「動力車」の語は、動力集中方式の場合の機関車と、動力分散方式の場合の動力を持つ車両を共に指すが、現代日本においては動力分散方式が(世界でも珍しいほどに)高い割合を占めることになったため、その文脈の中では、「付随車」(「制御車」を含む)との対比において電車や気動車のそれを指す際に用いられるケースが多い[2]。電車の場合は電動車と称する。

編成表などでは、Motorの頭文字である「M」で略記する事がある。電車の運転台を有する車両を特別に制御電動車(せいぎょでんどうしゃ)と呼び、先のMと運転席を示すcontroller の頭文字である「c(慣例で小文字とする場合が多い)」を組み合わせ、車体の片側に運転席がある車両を「Mc」、車体の両側に運転席がある車両を「cMc」と略記する。[3]

また国鉄型気動車の場合、DMH17系エンジンを走行用として1台搭載した車両を小文字の「m」とし、同系エンジンを2台搭載したもの、あるいはそれに相当するDML30系エンジンなどの大出力エンジンを1台搭載した車両を大文字の「M」で表し、区別していた。

以上は日本国有鉄道(国鉄)・JRに見られる略記方法であり、鉄道事業者によっては異なる表記を用いている場合がある。例えば、帝都高速度交通営団(営団)・東京地下鉄(東京メトロ)では、車体の片側に運転席がある車両を大文字の「C」で、なおかつ電動車の場合は「M」の前に置いて「CM」と表記している[4]近畿日本鉄道ではcを小文字にして「cM」という表記をしている。
称号について
日本での事例
電車

国鉄・JR各社(JR四国が自社で発注した車両を除く)の在来線電車では、モーターの頭文字である「モ」の略称が与えられている。戦前の電車は単行あるいは短編成での運行だったので、電動車は全て運転台付き(現在でいう制御電動車)であり、これに「モ」の記号を与えていた。

戦後、1950年モハ80形で初めて運転台無しの中間電動車が登場し、さらに続く70系で在来車との混用が実施されて運用上、制御電動車と中間電動車を区分する必要が生じた。

このことから、1959年の称号規定改正に際し、運転台の付いた電動車は制御車を意味する「ク」を前に置いて「クモ」と表記し、中間電動車は「モ」とするように規定が変更された。これらの記号の後に客車同様、普通車を表す「ハ」やグリーン車を表す「ロ」などの車両等級、荷物車を表す「ニ」などの車種を表す記号が入れ、「モハ」「クロ」などとされる。ただし、新幹線車両については数字のみで構成されている関係でこの称号は用いられない。

しかし、国鉄・JR以外の日本国内の鉄道事業者においては、異なる表記を用いる例が複数存在する。

私鉄では、制御電動車を「クモ」と区別しているのは西武鉄道三岐鉄道、それに山陽電気鉄道[5]など少数派であり、制御電動車も含めて「モ」とする方が一般的である。名古屋鉄道近畿日本鉄道などでは、「モハ」などのような等級表示との組み合わせとせず、電動車は全て「モ」1文字としている。東京急行電鉄小田急電鉄京王電鉄など[6]では、「モ」の代わりに「電動車」の頭文字である「デ」を用い、「デハ」などとしている[7]。また、その他にも電化から昭和初期まで「電」を用いた南海鉄道などや、「M」を用いた栗原電鉄[8]及び札幌市交通局[9]の様に、独自の称号を用いた例も幾つかあった。また、東京地下鉄の様に片仮名などの記号を一切用いずに番号だけとする会社もあり、JR四国が自社で発注した電車も同様である[10]京成電鉄などでは、従来は「モハ」などの記号と組み合わせていたのを近年では番号のみとしている。
気動車

国鉄・JR各社(JR四国が自社で発注した車両を除く)の気動車の場合、走行用エンジンを持つ動力車は運転台の有無にかかわらず「キ」、制御車(走行用エンジン無し)は「キク」、付随車(中間車かつ走行用エンジン無し)は「キサ」としている。

私鉄の気動車の場合、弱小事業者群が試行錯誤を繰り返し、鉄道省に先駆けて気動車の普及を進めたという経緯もあり、戦前期においてはその称号は千差万別で、ガソリン動車を示す「ガソ」や「カ」、レールカー(日本語に直訳して軌道自動車とも称された)を略した「レカ」、自働(自動)客車を示す「ジ」や「ホジ」(ボギー車に使用)、自社の社名の頭文字を取って「ゼ」(善光寺白馬電鉄)あるいは「ミヤ」(筑前参宮鉄道)、さらにはgasoline Carから「C」を称号とするもの(江若鉄道[11])など、各社の独創性を示す多様な称号が用いられた。


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