雲のむこう、約束の場所
The place promised in our early days
監督新海誠
脚本新海誠
原作新海誠
製作伊藤耕一郎
製作総指揮川口典孝
出演者吉岡秀隆
萩原聖人
南里侑香
石塚運昇
井上和彦
水野理紗
音楽天門
主題歌♡「きみのこえ」
撮影新海誠
編集新海誠
制作会社コミックス・ウェーブ
製作会社新海クリエイティブ
コミックス・ウェーブ
配給コミックス・ウェーブ
公開 2004年11月20日
2013年7月20日
上映時間91分
製作国 日本
言語日本語
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『雲のむこう、約束の場所』(くものむこう やくそくのばしょ)は、新海誠監督の長編アニメーション映画。2004年11月20日公開。『ほしのこえ』に続く、新海の2作目の劇場用アニメーション映画である。
本作は新海初の長編アニメーション作品であるとともに、監督・脚本・演出・作画・美術・編集のほとんどを新海1人で行った『ほしのこえ』に対し、初めて本格的に共同制作した作品でもある。
タイトルについて新海は、「『雲のむこう』という言葉には、登場人物たちの前向きな意志を込めています。今ではない、ここではない、彼らが目指すその先に『約束の場所』があるというような。僕自身が『約束の場所』と言えるような、明確な目標や理想を見つけたいというのがさしあたっての思いでした。」と述べている[1]。また、北海道と本州が別々の国になっているという設定について新海は、「村上龍さんの小説『五分後の世界』をイメージしていたように思います。『五分後の世界』は、日本各地が分割統治された別世界の話なんです。僕は『いかにして引き裂くか』に興味があるので(笑)、その設定は使えると思いました。」と述べている[2]。
2005年12月26日にはエンターブレインから加納新太による小説版が刊行された。さらに『月刊アフタヌーン』で佐原ミズによるコミカライズが連載された。2018年には舞台版が上演された。
2024年5月17日からFilmarks主催のリバイバル上映プロジェクトの第2弾として2週間限定で全国112館で上映された[3]。また入場者特典として数量限定でポスタービジュアルを使用したクリアポストカードが配布された[4]。 もうひとつの戦後の世界では、1996年、日本は南北に分断されていた。世界の半分を覆う共産国家群「ユニオン」は「エゾ」(北海道がモデル。なお「エゾ(蝦夷)」は北海道の旧称。)を支配下に置き、島の中央にとほうもなく高い、純白の塔を建造しつつあった。しかしユニオンの意図は誰にもわからない。青森県の津軽半島に住む中学3年生の藤沢浩紀と白川拓也は異国の大地にそびえる塔にあこがれ、飛行機で国境の津軽海峡を越え、塔まで飛んで行く計画を立てていた。そのための飛行機ヴェラシーラも、山の上の廃駅[5]の格納庫で製作が進んでいる。犯罪以外の何ものでもないこの計画は他言無用とされていたが、浩紀が口を滑らせたせいで、クラスメイトの沢渡佐由理にばれてしまう。さいわい佐由理はヴェラシーラに強い関心を持ち、計画の共犯者になってくれる。浩紀たちと佐由理は、「ヴェラシーラが完成したら佐由理を塔まで連れていく」と約束を交わす。ヴェラシーラが完成に近づくにつれ3人の仲も深まるが、佐由理はある日、塔の夢を見る。そして突然浩紀たちの前から姿を消す。佐由理をなくした浩紀たちはヴェラシーラの製作を止めてしまう。いまや、ヴェラシーラは佐由理のためのものでもあったからだ。 3年後の1999年、拓也は、塔の破壊を企てる反ユニオン組織ウィルタ解放戦線に内通し、在日米軍のアーミー・カレッジで塔の秘密を探っていた。拓也の指導教官の富澤常夫教授は、塔は宇宙の見る夢――平行宇宙を観測し、高精度な未来予測を行うためのシステムだと考えている。生物の脳には平行宇宙を感知する能力が僅かに備わっていると言われ、富澤研究室も類似の装置を保有しているが、塔の機能はそれらとは比較にならないほど強力だ。しかし塔は現在正常に作動していない可能性が高く、塔を中心とした半径数キロメートルの空間が平行宇宙の暗闇に侵食されている。富澤は、平行宇宙の侵食が停止しているのは、何らかの外因が塔の活動を抑制しているからではないかと推理する。やがて富澤は、塔の設計者エクスン・ツキノエには孫娘がおり、その孫娘――沢渡佐由理が原因不明の奇病で3年間眠り続けていることを突き止める。 一方、つらい思い出から逃げるために青森を離れ、東京に出た浩紀は、たびたび佐由理の夢を見ていた。夢の中では、佐由理は見知らぬ、荒廃した世界にひとり取り残され、孤独に苛まれながら浩紀の名前を呼んでいる。しかし夢の傍観者にすぎない浩紀にはどうすることもできず、苦しむ。そんなある日、浩紀のもとに佐由理が3年前に書いた手紙が届く。佐由理は原因不明の眠り病にかかり、治療のために東京の病院に入院したという。浩紀は病院に駆けつけるが、佐由理は他の病院に転院した後だった。しかし浩紀は佐由理のいた病室で白昼夢に襲われ、夢の世界で佐由理と邂逅する。夢はすぐに消えてしまったが、浩紀は佐由理を救うには約束を果たさねばならないと悟る。 佐由理を塔と繋がりのある人物だと考えた富澤は佐由理を東京の病院から青森の軍の病院に移送し、監視下に置く。そして浩紀が夢の中で佐由理と邂逅した瞬間、佐由理の意識レベルが一時的に上昇し、平行宇宙の侵食が拡大するのを目撃する。塔のとらえた平行宇宙の情報は、この宇宙を侵食するかわりに佐由理の夢に流れ込んでいる。もし佐由理が目覚めれば、この宇宙はまたたく間に平行宇宙に飲み込まれるだろう。数日後、富澤は拓也を眠る佐由理に引き合わせる。絶句する拓也に、富澤は「佐由理は数日中にアメリカ本土に移送される」と語る。貴重なサンプルを戦火から守るためだ。塔をめぐるアメリカとユニオンの軍事的緊張は極限に達しており、近々、本格的な軍事衝突に発展すると予想されていた。 浩紀は青森に戻り、拓也と再会する。浩紀は拓也に「ヴェラシーラに佐由理を乗せ、塔に連れていく。
あらすじ