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この項目では、気象現象について説明しています。その他の用法については「雪 (曖昧さ回避)」をご覧ください。
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雪(ゆき)は、大気中水蒸気から生成される結晶から落下してくる天気

その結晶は主に板状、柱状、針状の六角形や不定形な粒状からなる。おおむね気温が-5より低いとひとつひとつの結晶が降る乾いた雪となるが、やや高い温度では集まり雪片をつくり、水分を含む湿った雪になることがある。直径1cmに満たないような小さなものを「粉雪」、綿状に集まったものを「牡丹雪、ぼたん雪、ぼた雪」と呼ぶなど、気温や湿度によって違う雪の性状はいくつかの呼び分けがある[1][2]

低い温度では降り積もって地表を覆い積雪になり、長く残ると根雪万年雪となり、暖かい季節になるとゆっくりと解け出す。北極南極、一部の山岳地帯では長年蓄積し変性して氷河をつくる。積雪や吹雪交通の支障など人間活動に影響を与える一方、スキースノーボードなどのスポーツは雪を利用して行う。
性質降り積もった雪
降水現象

雪そのものや積雪と区別するために、雪が降る現象のみを指して降雪(こうせつ)と呼ぶ場合もある。雪は降水現象のひとつで、固体)の降水のひとつ。雪は比較的柔らかい氷の結晶の集合であり、比較的硬く地面で弾む氷霰(氷あられ)やその大きくなった(ひょう)、凍雨と異なる。雪霰(雪あられ)は比較的高い気温で雪片が大きく成長融合したもので、雪と同じように白色不透明だが、雪とは異なって球状や円錐状の塊で、降るのは対流性の積乱雲などに限られる。細氷は、直径30 - 200 μm程度で雪に比べて非常に小さい。なお、(みぞれ)はと雪が混在して降る天気をいう[2]
性状による分類

雪の状態を細かに表した、淡雪、薄雪、粉雪、細雪、どか雪、べた雪、ぼたん雪、綿雪(わたゆき)などの表現がある。降雪に関しては、慣習的に以下の7つの分類が存在する。

こな雪(粉雪)さらさらとした粉末状で、乾燥した雪。寒冷な地域に多い。パウダースノー。アスピリンスノー(北海道方言)[3]
たま雪(玉雪)球形をした雪。雪のシーズンの初めや終わりの時期、また雪雲のでき始めている先端部分などで見られる。
はい雪(灰雪)空中をすらっと降りてくるのではなく、灰のようにひらひらと舞いながら降りてくる雪。やや厚みがあり、日光に当たると陰影ができて灰色の影ができる。
一般的な降雪としてはこれが最も多い。
わた雪(綿雪)手でちぎった綿の様に大きな雪片からなる雪。水分を含み、重みのある雪。降雪地帯の中でも温暖・多湿な地域に多い。
もち雪(餅雪)融解が始まっており、水分を多く含む雪。雪の塊は餅のように柔らかく自由に形状を変えられる。
べた雪もち雪よりも水分が多く、べちゃっとした雪。団子状に固まっていることもある。ぼた雪、ぼたん雪。
みず雪(水雪)べた雪よりもさらに融解が進み、水気の多い雪。みぞれと同じ。

また、日本雪氷学会では、雪質によって積雪を9つに分類している(→詳細は積雪を参照)。

農林省の積雪地方農村経済調査所(通称、雪害調査所)では以下のように分類していた[4]

乾雪(かわきゆき)灰雪最も細かく風にとぶもの
粉雪灰雪よりもやや大きいもの
玉雪最も大きく円い塊となり飛ぶもの
綿雪綿のようにふかふかしたもの
潤雪(ぬれゆき)餅雪つかむと軽い手触りのもの
濡雪ややべたつくもの
水雪もっと水分が多いもの
締雪(しまりゆき)小締雪(こじまりゆき)しまり加減による
硬締雪(かたしまりゆき)同上
潤締雪(ぬれしまりゆき)潤締雪 (べたしまりゆき)
水締雪 (みずしまりゆき)
粒雪(ざらめゆき)小粒雪(こざらめゆき)
大粒雪(おおざらめゆき)
凍雪(こおりゆき)小凍雪(こごおりゆき)
硬凍雪(かたごおりゆき)
氷板(ひょうばん)全く氷化したもの

こういった分類や名称は、地域によっても独特なものがある。また太宰治の小説「津軽」の冒頭では、津軽の雪として7種類の雪の名称が紹介されている。ただしこれらは、明確な定義がないため天気予報などの正確性が要求される場面では用いないこととされている[5]

ここまでは日本語での雪の分類について述べたが、日本語以外の言語、特に北米や北欧などの雪の多い地域では、雪に関してさらに多様な表現をするところがあるほか、雪を表す言葉の体系が根本的に異なる言語もある。例えば、エスキモーの中のある言語では雪の形態ごとに呼称が存在し、「雪」を表す総称が存在しないという[* 1]言語的相対論サピア=ウォーフの仮説なども参照)。
雪の結晶の形状詳細は「雪の結晶の観察と研究の年表」を参照

雪の結晶は、成長過程の大気中の環境条件によりその形を大きく変える。そのパターン(晶癖)は研究によりいくつかの類型が知られている。小分類では121種類ある[6][7]

基本的な形状として、平らな六角形の「角板」、柱状の六角形の「角柱」、細長い「針」がある。Kobayashi (1961)によれば気温と、湿度(過冷却水の飽和水蒸気圧に対する氷の飽和水蒸気圧の差)に相関性がある。0から-4 ℃付近では「角板」、-4 から-10 ℃付近では湿度が低いと「角柱」、中程度では角柱が中空になった「骸晶角柱」、高いと「針」や針が中空になった「鞘」、-10 から-22 ℃付近では湿度が低い方から順に「厚角板」「骸晶厚角板」「角板」「扇形」、-22 ℃以下では湿度が低い方から順に「角柱」「骸晶角柱」「鞘」になる。また、-12 から-15 ℃付近の高湿度では「樹枝状」が発達する[8]

雪は、入ってきた太陽光)をほとんど吸収することなく散乱光として送り出す。太陽光には幅広い波長の光が含まれるが、波長が違っても散乱強度に大きな差がなくまんべんなく散乱するという性質のために、真っ白い色に見える。大量の積雪は日光の下でみを呈することがある。晴れた空の下で雪洞などの雪を下から見ると青く見えやすい。これはのもつ光の吸収特性によるもので、青色にあたる波長0.45 μm付近の光が最も吸収が少なく透過しやすいためである。ただし氷に気泡や土砂などが混じると青みは失せて見える[9]

雪が大気中の浮遊物を取り込み、変色した例も数多く報告されている。例えば、朝鮮半島では古くから、黄砂が混じった黄色あるいはみがかかった雪が降ることがあった。これは日本でも報告されており、江戸時代の書物に「紅雪」「黄雪」などなどの記述が残っている[10]。また、2007年2月にロシアのオムスク州で、2018年には東ヨーロッパ諸国でオレンジ色の雪が降ったが、カザフスタン北アフリカの嵐で発生した風成塵が運ばれたものと考えられている[11][12][* 2]
雪の降り方積雪地域の季節変化(NASA Blue Marble冬の日本海の筋状雲、収束雲と低気圧による渦状の雲 2018年2月(NASA Aqua/MODIS
世界の気候と雪

現在の平均的気候では雪は一般的に、北極および南極の両極を中心とした高緯度の地域、また中低緯度の高地で見られる。赤道をはさんだ低緯度地域を中心として、雪が降らない地域も存在する。例えば日本では、沖縄県で気象庁の公式観測により雪を記録したのは3例のみであり、1977年2月17日と2016年1月24日の久米島、および2016年1月24日の名護市で、いずれもであった[13]

降雪や積雪の様子を暖かいところから寒いところへ順に見ていくと、降雪がない地域、降雪のみがあり積雪がない地域、積雪がある地域へと遷移するのがふつうである。積雪のある地域はさらに暖かいところから順に、根雪の無い地域、根雪のある地域、雪線万年雪のある地域、氷河のある地域へと遷移する。山岳や高緯度地域では、こうした遷移の分布が雪線や森林限界に関係している。雪線と森林限界の間には、積雪期以外でも凍上などが生じて周氷河地形がみられることが知られている。

ケッペンの気候区分における氷雪気候は最暖月平均気温が0 ℃未満の地域だが、このような地域では概ね年間を通して地表は積雪、氷河、氷床に覆われ、ほぼ年間を通して雪が降る。氷河や万年雪はふつう、冬季の積雪が新雪として堆積する一方、夏季に降った雪や氷河本体が部分的に融解して流出し、その収支がバランスしている。これが崩れ、積雪が上回ると氷河が前進し、融解が上回ると氷河が後退する。

世界の主な多雪地帯は成因から2種類に分けることができる。1つは冬に温帯低気圧が発達して多くの降雪がある大陸西岸の寒帯前線帯。カナダコースト山脈(英語版)西側、アメリカワシントン州カスケード山脈西側、スカンディナビア半島アンデス山脈南部西側などがある。もう1つは、温帯低気圧の影響もあるが、主に大陸性極気団から吹き出す季節風に運ばれる寒気が暖かい水面を通過する際に加温加湿され不安定となる(気団変質)ことで雪雲が発達する地域。日本列島の日本海側や北アメリカ五大湖の東側スノーベルト (snowbelt) に顕著で、ヨーロッパの沿岸部でも見られる。日本では脊梁山脈、五大湖ではアパラチア山脈の地形による強制上昇の効果で山脈の風上側斜面に大量の降雪がある[14][15]

日本では、本州日本海側の各地では夏季よりも冬季の方が降水量が多く、気候区分の種類によって区域に差はあるが日本海側気候とする。北海道は雪の期間が長く根雪が広く分布する。これらの地域で、積雪による生活や産業への支障が大きな地方自治体に対して、除雪支援や財政措置などを行う豪雪地帯が指定されている。北海道・北東北の全域、南東北から中国地方の日本海側および中央高地の一部が指定地域となっている。一方、本州・四国九州の太平洋側は日本海側に比べると雪が少ない。
降雪のパターン

雪をもたらす気象現象を規模別に見ていく。総観スケールでは温帯低気圧やそれに付随する温暖前線寒冷前線寒冷低気圧(寒冷渦)、北極前線・南極前線寒帯前線に伴う擾乱などが雪を伴った天気をもたらすことがある。メソスケールのうちメソαスケールでは、極低気圧のほか、北陸地方などに局地的大雪をもたらす日本海寒帯気団収束帯(JPCZ、線状降雪帯)などが知られている[16][17]

冬の嵐(winter storm)は発達した低気圧による荒天で、暴風を伴った雪が降り、著しい吹雪低温が冬特有の災害をもたらす。

温帯低気圧に伴う前線面の傾きが小さい温暖前線では層状雲の中で雪の結晶がゆっくりと成長し、温度範囲も広いため、雪結晶の形状が多様になる傾向がある。一方、寒気の水上での変質で対流雲の中で成長するものは、強い上昇流や豊富な過冷却雲粒のもとで、霰のように併合した形状の雪片が発達し、雲の最盛期を過ぎる頃にわか雪(降り出し・降り止みが急)のような降り方をする[17]
気団変質による雪

冬の日本海のような寒気の気団変質の場合、大陸から吹き出した寒気が暖かい水上を通過(吹送)し、熱と水蒸気を受けて下層に対流混合層が形成される。日本海では潜熱顕熱合わせ平均400W/m2が海から大気に供給されているという報告がある。混合層では温かく湿った大気が対流することで不安定を解消しようと対流が発達し、水上吹送が続くことで混合層の上端が上昇してくる。混合層の上部に積雲層積雲を主とする雪雲の層ができ次第に発達する。一部は雄大積雲積乱雲へと成長する。雪雲は陸に上がるといったん衰えるが、山脈にぶつかると強制上昇を受けて再び発達する[17][18]

日本海側のほか、五大湖東側の湖水効果の雪 (lake-effect snow) もこの構造[15][19]

日本海側の雪はその多くが季節風(寒気の気団変質)によるもので、温帯低気圧による降雪は相対的に少ない。新潟県では11月から3月の降水量の8割が季節風型のものという報告がある。季節風型の降雪は、寒気の強さ、風(気圧傾度)の強さや向き、寒冷渦の有無などで様相を変える。よく知られている降雪の指標として対流圏中層700 - 500hPaの気温の低下が挙げられ、北陸地方では5500mで-35℃以下が大雪の目安とされている[18]


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