離脱
[Wikipedia|▼Menu]

離脱
概要
診療科精神医学, 麻薬学[*], 心理学
分類および外部参照情報
ICD-10F10.3-F19.3
ICD-9-CM292.0
eMedicinearticle/819502
MeSHD013375
[ウィキデータで編集]

離脱(りだつ、: Withdrawal)とは、医薬品や娯楽的な薬物(英語版)のように依存を形成する薬物を減量あるいは断薬することによって一連の症状を生じることを意味する[1]。また、その症状(離脱症状)のことを単に「離脱」と表現することもある[2]。以前は退薬の訳語も併記された[1]。アメリカでは1960年代後半以前に禁断 (Abstinence) の語が用いられたが、薬物を完全に断った場合のみならず、服用を続けながら減量した状態でも症状が現れるため、現在ではこの語は避けられている[1]。減量とは逆に、薬物を過剰摂取したことによって生じる状態は薬物中毒とよばれる。

薬物の危険性と法的規制とが合致していないことが指摘されている[3][4]。離脱症状には、身体的依存精神的依存があり、身体症状をはっきりと示すものと示さないものとがある[5]。離脱によって発作を起こし、致命的となる可能性がある物質は、アルコールと、ベンゾジアゼピン系バルビツール酸系の鎮静催眠薬である[6]。入院を要するものには、これらに加えモルヒネのようなオピオイドがある[6]。つまり、これらの薬物に対しては、離脱時に身体症状を示す身体的依存が形成されている[5]。とりわけアルコールと、ベンゾジアゼピン系薬、バルビツール酸系は振戦せん妄(DT)を引き起こし致命的となる可能性があり[6]、また長期にわって離脱症状に苦しむ遷延性離脱症候群となる可能性がある[7]。この他に身体的依存を示す薬物には、抗うつ薬抗精神病薬気分安定薬がある。

アルコールとバルビツール酸系・ベンゾジアゼピン系の鎮静/催眠薬では、共にGABAA受容体に作用し、離脱症状や副作用も互いに類似している[8]。これらの薬物には、互いに交叉耐性があり、相互に離脱症状を抑えることができ依存対象が移行する可能性があるため、とりわけ、このどれかに依存症がある場合には、それ以外のものが禁忌となる。例外的に、アルコールの離脱を管理する目的でベンゾジアゼピン系薬が用いられる。

離脱が致命的でなく比較的安全なものは次の通りである。ニコチンからの離脱は、比較的安全とみなされ[9]、外来で管理可能である[6]コカインのような精神刺激薬や、大麻からの離脱も同様に入院を要さない[6]LSDのような幻覚剤には離脱症状はなく[8]、大麻や幻覚剤のように不快な離脱症状を避けるために薬物を摂取するという行動が認められない薬物がある[10]

このように見れば、依存性の最も強い部類のニコチン[3]からの離脱は、比較的安全とみなされ[9]、薬物に耐性を生じる幻覚剤には離脱症状はない[8]というように、依存性や耐性は離脱症状の強さの予測因子ではない。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:110 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef