集合
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この項目では、数学における集合について説明しています。クルアーンのスーラについては「集合 (クルアーン)」をご覧ください。

その他の用法については「wikt:集合」、「wikt:集まる」をご覧ください。

集合(しゅうごう、: set, : ensemble, : Menge)とは数学における概念の1つで、大雑把に言えばいくつかの「もの」からなる「集まり」である。集合を構成する個々の「もの」のことを (げん、: element; 要素) という。

集合は、集合論のみならず現代数学全体における最も基本的な概念の一つであり、現代数学のほとんどが集合と写像の言葉で書かれていると言ってよい。

慣例的に、ある種の集合が系 (けい、: system) や (ぞく、: family) などと呼ばれることもある。実際には、これらの呼び名に本質的な違いはないが細かなニュアンスの違いを含むと考えられている。たとえば、方程式系(「相互に連立する」方程式の集合)、集合族(「一定の規則に基づく」集合の集合)、加法族(「加法的な性質を持つ」集合族)など。
導入.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}この項目には、JIS X 0213:2004 で規定されている文字(ハートマーククローバーマークダイヤマークスペードマーク)が含まれています(詳細)。

集合は「ものの集まり」である[1]。集合の元(要素)として、集められる対象となる「もの」は、文字記号などをはじめ、どんなものでも(当然、集合でも)構わない。

一方で、どんな「集まり」でも集合と呼んでよいわけではない。その「集まり」が集合と呼ばれるためには、対象が「その集まりの元であるかどうかが不確定要素なしに一意に決定できる」ように定義されていなければならない。

例えば、ジョーカーやコマーシャルカードを除いたトランプスート全体 {?(スペード), ?(ダイヤ), ?(クラブ), ?(ハート)} やトランプの数字全体{A, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, J, Q, K} は集合の例である(A,J,Q,Kは数字では無いが、多くのトランプゲームでは数字として解釈される。)。トランプはこれらの組{(?, A), ..., (?, K), (?, A), ..., (?, K), (?, A), ..., (?, K), (?, A), ..., (?, K)}

符牒とする、4×13=52枚のカードであるが、これもまた集合の一例である。特に、トランプはスートの集合と数字の集合との直積集合と同一視でき、「52」はこの集合の濃度を表している。また、先のスートの集合、数字の集合の濃度はそれぞれ 4, 13 である。

トランプの記号A2345678910JQK
?(?,A)(?,2)(?,3)(?,4)(?,5)(?,6)(?,7)(?,8)(?,9)(?,10)(?,J)(?,Q)(?,K)
?(?,A)(?,2)(?,3)(?,4)(?,5)(?,6)(?,7)(?,8)(?,9)(?,10)(?,J)(?,Q)(?,K)
?(?,A)(?,2)(?,3)(?,4)(?,5)(?,6)(?,7)(?,8)(?,9)(?,10)(?,J)(?,Q)(?,K)
?(?,A)(?,2)(?,3)(?,4)(?,5)(?,6)(?,7)(?,8)(?,9)(?,10)(?,J)(?,Q)(?,K)

個々の集合を表すには、しばしばラテン文字の大文字 A, B, ..., E, F, ..., M, N, ..., S, T, ..., X, Y, ... などを使う[注釈 1]。集合の元はラテン小文字 a, ..., e, ..., m, ..., s, ..., x, ... とすることが多く[注釈 2]、特に集合を表す大文字に対応する小文字を使う。
帰属と包含詳細は「部分集合」、「包含関係」、「元 (数学)」、および「帰属関係」を参照包含関係: A は B の部分である。B は A の上にある。

集合と元、集合と集合などの間には含んだり含まれたりといった素朴な関係を考えることができる。
帰属関係
対象 a が集合 A を構成するものの一つであるとき、「a は集合 A に属す」「a は集合 A の要素(あるいは元)である」「集合 A は a を要素として持つ」などといい、a ∈ A あるいは A ∋ a と表す。
包含関係
2 つの集合 A, B について、A に属する元がすべて B にも属するとき、すなわち x ∈ A ⇒ x ∈ B が x の取り方に依らずに成り立つとき、「A は B の部分集合である」「A は B に集合として含まれる」「A は A を包含する」などといい、A ⊂ B または A ⊆ B あるいは B ⊃ A または B ⊇ A と記す。

帰属関係と包含関係は異なる概念であって、混同してはならない。例えば、X ⊂ Y ⊂ Z ならば必ず X ⊂ Z であるが、X ∈ Y ∈ Z からは X ∈ Z は必ずしも導かれない。また、x ∈ A ⊂ B ならば x ∈ B であるが、x ⊂ A ∈ B からは x ∈ B を帰結することは一般にはできない。
記法

集合の記法には、おおまかに2通りの方法がある。論理的な概念として「内包と外延」というものがあるが、ほぼそれに相当するもので、その要素をすべて列挙するという方法と、その集合に含まれるのであれば必ず満たされ、含まれないのであれば必ず満たされない条件を明示するという方法である。

「外延」に相当する、すべて列挙する方法では、例えば、1, 3, 5, 7, 9 からなる集合は、 { 1 , 3 , 5 , 7 , 9 } {\displaystyle \{1,3,5,7,9\}}

と表記する。

「内包」に相当する、属するために満たすべき条件を明示する方法では、例えば、10 未満の正の奇数全体の集合を、 { x 。x は 10 未満の正の奇数 }

と表記する。一般に、条件 P(x) があったとき、それをみたす対象だけを全て集めた集合を、 { x ∣ P ( x ) } {\displaystyle \{x\mid P(x)\}}

と表記する。ここでは x という変数を用いているが、{ y 。P(y)} と書いても { a 。P(a)} と書いても構わない。set-builder notation(en:Set-builder notation)やset comprehension、日本語では内包表記などとも言う。前述のようにそれぞれ、論理的な概念の外延と内包に由来するものであり日本語圏では数学分野でも今もそれらの語がよく使われているが、英語圏ではそれぞれの原語であるextensionとintensionはこの分野では今はあまり見なくなっている。

条件 P(x) は「x が X の元であって、さらに条件 Q(x) を満たす」というような形で与えられることが多い[注釈 3]が、このとき定まる集合を {x 。x ∈ X かつ Q(x)} のように書く代わりに、しばしば簡単に { x ∈ X ∣ Q ( x ) } {\displaystyle \{x\in X\mid Q(x)\}}

などと略記する。集合 {x ∈ X 。Q(x)} は X の部分集合となる。また、条件 P(x) が「条件 Q(y) を満たすようなある y を用いて x = f(y) と表すことができる」というような形のときは、集合 { x 。P(x)} を { f ( y ) ∣ Q ( y ) } {\displaystyle \{f(y)\mid Q(y)\}}

のように表すこともある。

要素を外延的に書きつくせないような集合、例えば自然数全体の集合を { 0 , 1 , 2 , 3 , … } {\displaystyle \{0,1,2,3,\dots \}}

のように書き表すこともあるが、"..." による省略部分は誤解を生じる余地があるため、このような記法はその省略された内容の意味が明らかである場合に限られる。
外延性の公理

A, Bを任意の集合とするとき、もし任意の集合Xについて「XがAの要素であるならば、そのときに限りXはBの要素である」が成り立つならば、AとBは等しい、とする。すなわち、 ∀ A ∀ B ( ∀ X ( X ∈ A ⟺ X ∈ B ) ⇒ A = B ) {\displaystyle \forall A\,\forall B\,(\forall X\,(X\in A\iff X\in B)\Rightarrow A=B)}

である。「外延性の公理」を参照

直感的な説明としては、たとえば、 {1, 3, 5, 7, 9} と { x 。x は 10 未満の正の奇数 } は異なる表現だが、どちらも自然数 1, 3, 5, 7, 9 を要素とする集合であるので、等しい集合だとする、ということである。
特別な集合

数学では、1 つも要素を持たないような集合も考える。外延性の原理によれば、このような集合はただ一つしか存在しないので、これを空集合 (: empty set) といい ∅ で表す。∅ は任意の集合 A の部分集合である。なぜなら、任意の対象 x に対して x ∉ ∅ より x ∈ ∅ ⇒ x ∈ A は真だからである。空集合の他にも決まった記号によって表される集合がいくつかある。日常的には一個だけ要素を持つものは集合とは呼ばれないが、数学ではそれも集合と呼ぶ(英語のsetやフランス語のensembleも日常的な用語では空集合や一個だけの集合に対しては使われない。) :

N {\displaystyle \mathbb {N} } は自然数全体の集合を表す。

Z {\displaystyle \mathbb {Z} } は整数全体の集合を表す。

Q {\displaystyle \mathbb {Q} } は有理数全体の集合を表す。

R {\displaystyle \mathbb {R} } は実数全体の集合を表す。

C {\displaystyle \mathbb {C} } は複素数全体の集合を表す。

H {\displaystyle \mathbb {H} } は四元数全体の集合を表す。

U {\displaystyle \mathbb {U} } はグロタンディーク宇宙を表す。


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