集合型風力発電所
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Whitelee Wind Farm(スコットランド)Meyersdale Wind Project(ペンシルベニア州南部)

集合型風力発電所(しゅうごうがたふうりょくはつでんしょ)またはウィンドファーム(wind farm)は、多数の風力タービンを1カ所に設置し発電する施設。大規模なものでは数百平方マイルの広大な敷地に数百の風力タービンが並ぶが、タービンとタービンの間の土地は農耕など他の用途に利用できる。洋上に設置される場合もある。

大規模な陸上の集合型風力発電所は主にアメリカ合衆国にある。2013年現在、陸上で世界最大の集合型風力発電所はカルフォルニア州にあるアルタウインドエナジーセンターで1,320 MWの発電能力がある。それに次いでロスコー風力発電所(781.5 MW)やホースホロー風力エネルギーセンター(735.5MW)がある。2010年11月現在、洋上で世界最大の集合型風力発電所はイギリスの Thanet Offshore Wind Project で、300MWの発電能力があり、それに次ぐのがデンマークの Horns Rev II(209MW)である。
設計

集合型風力発電所は、多数の風力タービンを1カ所に設置し発電する施設である。タービンを中程度の電圧(通常34.5kV)の集電システムと通信ネットワークに繋いである。変電所変圧器でこの中程度の電圧をより高い電圧に変換し、送電システムへと送る。

大規模なものでは数百平方マイルの広大な敷地に数百の風力タービンが並ぶが、タービンとタービンの間の土地は農耕など他の用途に利用できる。洋上(海上、湖上)に設置することもあり、海や湖の水面上を吹きぬける強い風を利用できるという利点がある。アメリカ合衆国における利用可能な風力の地図。風力密度によって色分けしてある。

一般に、風力発電機は風速が秒速4.5m(時速16km)以上のとき効率がよい。一年中一定の風が吹き、突風が吹きにくい場所が理想的である。タービン配置の重要な要素として、他に周辺の電力需要や送電網へのアクセスがある。

設置場所はまずウィンドアトラスに基づいて事前に選択し、実際に風を測定して評価する。大規模な風力プロジェクトの場所を選考するには気象学的な風のデータだけでは不十分で、現地の正確なデータが必要である。候補地の風向・風速といった詳細なデータを集めることが、プロジェクトが投資に見合うだけの成果を上げられるかを判定するのに重要である[1][2][3]。風のデータは1年かそれ以上に渡って集められることが多く、風力発電機を設置する前に詳細な風の地図を作成する。

高度が高いほど障害物が少ないため、風はより強く吹く。高度による風速増加は地表付近ほど大きく、地勢、地表の凹凸、樹木や建物などの風の障害物の有無などに影響される。高度と風速は wind profile power law という法則に従う。これによると、風速は高度の7乗根に比例して増加する。したがって風力タービンの地表からの高さが2倍になると、風速は10%増大すると見積もられ、風力エネルギーは34%増加すると予測される。
陸上のウィンドファーム

世界初のウィンドファームは1980年12月、ニューハンプシャー州南部の Crotched Mountain に設置されたもので、30kWの風力タービン20基からなる[4][5]

2014年1月現在、世界最大のウィンドファームとしては、アメリカのアルタウインドエナジーセンターがあり、1300MW以上の発電能力を持っている。そのほか大規模なウィンドファームとしては ロスコー風力発電所、Horse Hollow Wind Energy Center(735.5MW)などがある。予定している。計画中の最大のものとしては中国の Gansu Wind Farm があり、20GW を予定している。Biglow Canyon Wind Farm の建設中の風力タービン

大規模な陸上の集合型風力発電所発電所現在の
発電能力
(MW)国脚注
Biglow Canyon Wind Farm450 アメリカ合衆国[6]
Buffalo Gap Wind Farm523.3 アメリカ合衆国[7][8]
Capricorn Ridge Wind Farm662.5 アメリカ合衆国[7][8]
Dabancheng Wind Farm500 中国[9]
Fowler Ridge Wind Farm599.8 アメリカ合衆国[10]
Horse Hollow Wind Energy Center735.5 アメリカ合衆国[7][8]
パンサークリーク風力発電所458 アメリカ合衆国[8]
ロスコー風力発電所781.5 アメリカ合衆国[11]
スウィートウォーターウインドファーム585.3 アメリカ合衆国[7]

陸上のウィンドファームは海岸線や川から3kmほど内陸の丘や山地の分水線に設置される傾向がある。そういった場所で海からの風が強くなることを利用している。30mずれただけで風力エネルギーが倍も変化することがあるため、設置場所の選定には細心の注意が必要である。
洋上のウィンドファームコペンハーゲン付近の洋上のウィンドファーム

洋上の風力エネルギー利用ではヨーロッパが先行しており、世界初の洋上ウィンドファームは1991年にデンマークで設置された。2010年現在、ベルギー、デンマーク、フィンランド、ドイツ、アイルランド、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、イギリスの洋上で39のウィンドファームが稼働しており、総発電能力は2,396MWとなっている。ヨーロッパ全体で総計100GW(100,000MW)以上の洋上ウィンドファームの計画が提案されている。European Wind Energy Association は、2020年までに40GW、2030年までに150GWのウィンドファームが稼働すると推定している[12]

世界最大の洋上ウィンドファームはイギリスの London Array で発電能力は630MWであり、次いでイギリスの Greater Gabbard wind farm(504MW)である(2013年7月時点)。

大規模な洋上のウィンドファーム発電所発電能力 (MW)国タービン数×機種稼働開始脚注
London Array630 イギリス175 × Siemens SWT-3.62013年[13]
Greater Gabbard wind farm504 イギリス140 × Siemens SWT-3.62012年[14]
Walney367 イギリス102 × Siemens SWT-3.62012年[15][16]
Thanet300 イギリス100 × Vestas V90-3MW2010年[17][18]
Horns Rev II209 デンマーク91 × Siemens 2.3-932009年[19]
Rodsand II207 デンマーク90 × Siemens 2.3-932010年[20]


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