隠密剣士
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『隠密剣士』(おんみつけんし)は1962年10月7日から1965年3月28日までTBS系『タケダアワー』枠(毎週日曜19時からの30分枠)で全10部(計128話)に渡って放映された宣弘社プロダクション製作による大瀬康一主演の連続テレビ時代劇忍者ブームの火付け役ともなった。1964年に東映京都で劇場用映画として2本映画化された。主演・監督はテレビ版と同じ(監督・船床定男)。

本項では、1965年4月から12月に放映された『新隠密剣士』及び1973年10月から1974年3月に放映のリメイク版『隠密剣士 突っ走れ!』も併せて記載する。
隠密剣士(大瀬康一版)

隠密剣士
ジャンル
時代劇
企画西村俊一
脚本加藤泰伊上勝、織田清司
監督船床定男、田村正蔵、外山徹
出演者大瀬康一
牧冬吉
天津敏
勝木敏之 ほか
オープニング『隠密剣士の歌』
ひばり児童合唱団(第一部)
キング児童合唱団(第二部以降)
時代設定1787年から1790年
製作
製作総指揮小林利雄
制作TBS宣弘社プロダクション

放送
放送国・地域 日本

第一部 隠密剣士
放送期間1962年10月7日 - 12月30日
放送時間日曜19:00 - 19:30
放送枠タケダアワー
放送分30分
回数13

第二部 忍法甲賀衆
放送期間1963年1月6日 - 3月31日
放送時間日曜19:00 - 19:30
放送分30分
回数13

第三部 忍法伊賀十忍
放送期間1963年4月7日 - 6月30日
放送時間日曜19:00 - 19:30
放送分30分
回数13

第四部 忍法闇法師
放送期間1963年7月7日 - 9月29日
放送時間日曜19:00 - 19:30
放送分30分
回数13

第五部 忍法風摩一族
放送期間1963年10月6日 - 12月29日
放送時間日曜19:00 - 19:30
放送分30分
回数13

第六部 続 風摩一族
放送期間1964年1月5日 - 3月29日
放送時間日曜19:00 - 19:30
放送分30分
回数13

第七部 忍法根来衆
放送期間1964年4月5日 - 6月28日
放送時間日曜19:00 - 19:30
放送分30分
回数13

第八部 忍法まぼろし衆
放送期間1964年7月5日 - 10月4日
放送時間日曜19:00 - 19:30
放送分30分
回数14

第九部 傀儡忍法帖
放送期間1964年10月11日 - 12月13日
放送時間日曜19:00 - 19:30
放送分30分
回数10

第十部 変幻忍法帖
放送期間1965年1月3日 - 3月28日
放送時間日曜19:00 - 19:30
放送分30分
回数13
特記事項:
モノクロ16mmフィルム、30分作品。全10部(128話)
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天明7年(1787年)から寛政2年(1790年)にかけての日本各地を舞台として、江戸幕府11代将軍徳川家斉の腹違いの兄である松平信千代(大瀬康一)が秋草新太郎と名乗り、公儀隠密として旅をしながら、世の平和を乱す忍者集団との戦いを繰り広げる作品である。

当初は主な視聴者として子供を想定しており、ひばり児童合唱団による主題歌が用いられたり、東映による漫画映画(アニメ)の集中上映期間内に本作のグッズを来館者に配付するなどの宣伝が行なわれた[注釈 1]

第1部は蝦夷編で、アイヌ人と和人(日本人)の葛藤が描かれるなど工夫がみられるが、重厚な内容のせいか不人気であった[1][2][3]。第2部から新機軸として忍者との戦いを繰り広げることになる[4][5][6]。これにより人気が上昇した結果、視聴者層は子供だけでなく大人に広がり、最盛期には40%近い視聴率を取った[3]。本作の人気は1960年代の忍者ブームを牽引し、映画化や主演を替えてのシリーズ化などが行なわれた[6]

内容は正統派の時代劇であり、登場するさまざまな忍者や忍術もリアリティがあるが、これらは脚本家・伊上勝のアイディアによるものが多く、本作で彼が培ったものは後年、脚本を担当した『水戸黄門』『仮面の忍者赤影』『仮面ライダー』などに活かされたとされている[4][7]。また、「忍者の刀の構え方」や「卍型の手裏剣」などは企画担当の西村俊一の考案によるもので、これも後続の忍者物ドラマなどに踏襲された[8]。さらに「水蜘蛛の術[注釈 2]」を初めて映像化した作品とされており、こうした映像によって一般的な忍者のイメージを確立したとも言われる[9][4]。制作進行の野木小四郎は、路線変更にあたって伊賀や甲賀へ赴き、忍術の研究を行ったと証言している[10]

時代劇でありながら、数人の忍者が乗る「潜水艦」が登場したこともある[4][11]。これは江戸時代に実際に伝えられていた「龍宮舟」と呼ばれる、木造で船首と船尾に竜の頭部をあしらい、水中を進むとされた船[注釈 3]にヒントを得たもので、古文書に依拠している。

『ザ・サムライ』というタイトルで海外でも放送され、ヒットした。小林利雄によると「オーストラリア東南アジアで絶大な人気を集めました。東南アジアではどこの国でも放映していましたよ」とのことである[13]。制作進行の浅井清は、海外版の吹替に在日米軍横田基地の関係者を集めたと証言している[14]。主人公の名前「新太郎」に基づき、オーストラリアのロックグループ「メン・アット・ワーク」は「Shintaro」という曲を歌い、この曲は1983年のシングル「It's A Mistake」のB面に収録された。

また、2012年4月に日本テレビ系列で放送されたバラエティ番組『世界まる見え!テレビ特捜部』では、当時のオーストラリアでの人気ぶりが紹介された。同国では1964年から放送が開始され、当時の大瀬康一が本作のイベントで訪れたところ、出迎えに約7千人のファンがメルボルン空港へ押しかけ、ビートルズが来た時の人気を上回るほどだったという[15]。同国では忍者の衣裳や手裏剣、プラスチック製の刀など、本作に関するグッズも発売され、その売り上げ額は現在の金額に換算すると10億ドル[15]にのぼり、その後も同国では20年以上に渡って再放送されていたという。
登場人物
秋草新太郎(あきくさ しんたろう、演:
大瀬康一
徳川11代将軍・家斉の異母兄で本名は松平信千代。柳生新陰流を極めた剣士


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