陸山会事件
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最高裁判所判例
事件名?執行停止申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する特別抗告及び許可抗告事件
事件番号平成22(行ト)63
2010年(?平成22年)11月25日
判例集?民集第64巻8号1951頁
裁判要旨
検察審査会法41条の6第1項所定の検察審査会による起訴をすべき旨の議決の適否については、行政事件訴訟を提起して争うことはできず、これを本案とする行政事件訴訟法25条2項の執行停止の申立てをすることもできない。
第一小法廷
裁判長白木勇
陪席裁判官宮川光治櫻井龍子金築誠志横田尤孝
意見
多数意見全員一致
参照法条
?検察審査会法41条の6第1項、検察審査会法41条の10第1項、行政事件訴訟法1条、行政事件訴訟法25条2項
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小沢一郎

陸山会事件(りくざんかいじけん)とは、小沢一郎資金管理団体「陸山会」を巡る事件。
概説

小沢一郎の資金管理団体「陸山会」について、週刊誌が蓄財疑惑を報じた。それに対して小沢が名誉毀損で損害賠償訴訟を起こし、民事訴訟となった。

この民事訴訟では小沢一郎は敗訴した。

2009年に市民団体から東京都世田谷区の土地購入に関する政治資金規正法違反で告発されたため、2010年に東京地検特捜部によって秘書3人が起訴され、また、2011年に検察審査会の起訴議決によって小沢自身も起訴された[1]

この刑事訴訟では小沢一郎は無罪、小沢の元秘書3人は政治資金規正法違反(虚偽記載)で有罪となった。いずれも執行猶予付きの禁錮刑

右の最高裁判所判例については、#検察審査会問題の項目を参照。
事件
民事訴訟

週刊現代が2006年6月3日号において「小沢一郎の“隠し資産6億円超”を暴く」と記事名で、小沢一郎の政治資金管理団体「陸山会」が所有していると報告された不動産は登記簿上の所有者は小沢となっており、個人資産との区別が不明確であると批判する記事を載せた。指摘されたのは東京都内8戸(都内の千代田区麹町、港区赤坂、青山などの都心の一等地)と盛岡市、仙台市の各1戸で計10戸の一等地の不動産であり、1994年11月から2003年3月に購入され、購入価格は6億1000万円に上った。

小沢及び民主党は、週刊現代の記事により名誉を傷つけられたとして、発行元の講談社と編集者らを相手に6000万円の損害賠償などを求める訴訟を起こした。小沢は登記簿上の所有者は自分自身となっていることについて「私個人としては何の権利も持っていない」、自身の名義になっている理由に関しては「権利能力なき社団である政治団体での不動産登記は認められておらず、登記は個人名で行われるべきことになっている」と主張した。

2008年6月4日、東京高等裁判所は「記事は、マンションが小沢の個人資産と言われても仕方ないとの意見を表明したにすぎない。意見の前提となる事実の重要部分は真実で、論評としての域を逸脱しておらず、違法とはいえない」「(運営の仕方などについて)第三者が知る機会は保証されておらず、権利能力のない社団としての実態を有するかどうかは不明である」ことから、「各マンションが陸山会のものであると断定することはできない」として小沢側の主張を退けた。小沢側が上告しなかったことから、小沢の敗訴が確定した。
刑事訴訟

2009年11月、市民団体は、陸山会が東京都世田谷の土地を2004年に購入した際に、小沢の秘書3人が政治収支報告書に虚偽記載した[2]として、政治資金規正法違反容疑で告発した。

東京地検特捜部は2010年1月、政治資金規正法違反容疑で小沢の元秘書の石川知裕衆議院議員や小沢の公設第一秘書である大久保隆規と小沢の秘書1人を逮捕。

2010年1月21日、ある市民団体が、陸山会の土地の購入原資4億円を政治資金収支報告書に記載しなかったとして、小沢と秘書らを政治資金規正法違反(虚偽記載)で告発[3]した。

2月に秘書3人が起訴され、起訴状では20億円を超す虚偽記載であり、政治資金規正法の虚偽記載罪では過去最大の金額となった。一方で、小沢は嫌疑不十分で不起訴処分となった。

小沢を告発した市民団体は、この不起訴について検察審査会に審査の申し立てを行った。2010年4月に東京第五検察審査会は2004年と2005年の土地購入経緯について小沢を起訴相当と議決したが、2010年5月に東京地検特捜部は再び不起訴とした。2010年10月に東京第五検察審査会は第2段階の審査を行い、小沢を起訴すべき旨の議決(起訴議決)をした[4]

また、2010年7月[注釈 1]に東京第一検察審査会は2007年分の政治資金収支報告書の虚偽記載について小沢を不起訴不当と議決[6]したが、9月に東京地検特捜部は再び不起訴とした[7]。2度目の不起訴のあと、第2段階の審査(再審査・2度目の審査)が行われるのは第1段階で起訴相当と議決していたときのみなので[8]、2007年の分の小沢については第2段階の審査はなく、不起訴が確定した。

2011年1月、2010年10月の起訴議決に基づいて指定弁護士は小沢を2004年と2005年の土地購入経緯について強制起訴した。以下、元秘書ら3人の裁判と小沢一郎の裁判のふたつが行われていくことになる。

2011年2月4日、ある市民団体は、2009年7月に小沢一郎と関係の深い政治団体が政党支部を介し3億7千万円を小沢元代表の資金管理団体に寄付したのは、政治資金規正法が定めた寄付制限に反すると告発[9][注釈 2]

2011年2月22日、民主党は、小沢の党員資格を裁判の判決確定まで停止する処分を決定した[10]3月1日に小沢は「通常の起訴とは異なる」などとして民主党常任幹事会に異議を申し立てたが、却下され党員資格停止処分は継続された。党員資格停止は2012年5月10日まで続いた。

2011年6月30日、東京地裁は、検察から提出された捜査段階の供述調書などについて取り調べの問題から証拠能力がないと判断し元秘書ら3人の裁判で証拠採用しないと決めた。石川知裕被告と池田光智被告が政治資金規正法違反(虚偽記載)を認めた調書や、虚偽記載について大久保隆規被告と小沢氏に報告し了承を得ていたとする調書も含まれている。上述の検察審査会の審査ではこれらの供述調書の内容を根拠に小沢氏に対し起訴相当との議決をしていた[11]

2011年9月26日に東京地方裁判所(登石郁朗裁判長)は、小沢一郎の秘書3人について、一括審理していたいくつかの件について有罪判決を言い渡した。大久保の2007年の7000万円の架空記載の事案の、私設秘書との共謀については無罪としたものの、それ以外については銀行口座記録と政治収支報告書の不一致から21億7000万円の虚偽記載を全て認定した。また、大久保は2007年の7000万円の架空記載以外の事案で会計責任者として、相手業者に不動産登記を遅らせるように交渉していた事実など、一連の不動産取引に深く関わっていたことから、秘書2人との共謀を認定した[12]。この裁判では西松建設事件としてまとめられているもののうち、陸山会などが西松建設から違法な献金を受けたとされる規正法違反事件も審理されていて、その判決も出された[13]


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