陸上自衛隊高等工科学校
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第56期生徒入校式(2010/4/8)

陸上自衛隊高等工科学校(りくじょうじえいたい こうとうこうかがっこう、英語:JGSDF High Technical School; HTS)は、神奈川県横須賀市御幸浜陸上自衛隊武山駐屯地に所在する防衛大臣直轄の教育機関。中学校を卒業予定または卒業の15歳以上17歳未満の男子[注釈 1]を対象に、将来、陸曹となるべき者の養成を目的とする。

高等学校ではないが3年制で、通信制高等学校と連携しており高等学校卒業資格の取得が可能[2]。「自衛隊版の高校[3]」と称される。全寮制。略称は「高工校」(こうこうこう)。
概要「高等工科学校生徒」も参照校風の碑

高等工科学校生徒(旧 陸上自衛隊生徒)の教育を行なう施設として、2010年(平成22年)3月26日陸上自衛隊少年工科学校から改編された。施設の位置づけ(陸上幕僚長の指揮監督を受ける防衛大臣直轄の機関)及び所在地は旧校と変わらない。1学年あたりの生徒数は2018年(平成30年)度まで約320名だったが、翌年以降は約350名に増員[注釈 2]。一方、応募者数と受験倍率は減少傾向にある[注釈 3]

中学校を卒業し、採用試験を経て高等工科学校生徒に任命された者が入校する。一条校ではないので、生徒が高等学校卒業資格を得るために通信制高等学校である神奈川県立横浜修悠館高等学校と技能提携している[3]

学費や寮費は無償であり、所定の給与が生徒に支給される[3]

原則的に、本校卒業後の4月1日に陸上自衛官となり、陸士長の階級を与えられ、約1年間の教育を経た後に3等陸曹に昇任する[2]。本校に在校中の身分は自衛官ではなく[注釈 4]防衛大学校本科学生と同様に「特別職国家公務員」たる自衛隊員[2]である。

生徒制度の改編に際しては生徒の募集を停止しなかったため、当初は旧制度の生徒と新制度の生徒が混在していた[注釈 5]。旧生徒の身分は自衛官であった[8]

少年期から専門的な軍事教育を施し、卒業後は早々にに任官して自衛隊の業務を正式な職業とする者となり、また多くの出身者が幹部候補生制度を通し幹部を目指すなど共通点が多いことから、本校は帝国陸軍における陸軍少年飛行兵学校陸軍少年戦車兵学校陸軍少年通信兵学校陸軍少年飛行兵・陸軍少年戦車兵・陸軍少年通信兵)に類似する。

2022年(令和4年)12月に閣議決定された防衛力整備計画では、自衛隊の人的基盤の強化の一環として「陸上自衛隊高等工科学校については各自衛隊の共同化及び男女共学化を実施する」とされた[9]2023年3月の国会答弁で浜田靖一防衛大臣らは、これらの施策を2028年(令和10年)度から開始することを明らかにした[1]
教育内容

本校の教育内容は、一般の普通科高校に相当する「一般教育」、専門分野を教育する「専門教育」、自衛官としての素地を作る「防衛基礎学」の3分野に分けられ、それぞれの専門教官が授業を行う[2]
一般教育
学習指導要領に準拠した内容で、普通科高校と同様のカリキュラムのもとで教育を行う。この一般教育とレポート作成など通信制の教育により、生徒は本校卒業と同時に横浜修悠館高等学校卒業の資格を得る。3学年では選択科目の違いによって「教養」「理数」「国際」「システム・サイバー」の四つの専修コースに分かれる。「システム・サイバー」は、サイバー防衛の専門家の養成を目的として、2021年度から設けられたコースである[10][11][12]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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