陸上自衛隊警務隊
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この項目では、自衛隊の警務官について説明しています。

都道府県警察に勤務する警視正以上の階級にある警察官については「地方警務官」をご覧ください。

国家公務員採用試験のII種試験に合格して警察庁ノンキャリアとして採用された国家公務員たる警察官については「準キャリア」をご覧ください。

法務省の職員である「刑務官」とは異なります。
警務腕章(MP=Military Police 憲兵の意)陸上自衛隊警務官陸上自衛隊 警務隊の73式小型トラック。白色に塗装され、サイレンやブラケット留めにされた赤色灯が着けられている。陸上自衛隊 警務隊の白バイ

警務官(けいむかん)とは、の各自衛隊で部内の秩序維持の職務に専従する者であって、刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)の規定による司法警察員として職務を行う3等陸曹、3等海曹又は3等空曹以上の自衛官をいう(特別司法警察職員[1][2]。各自衛隊ごとに、防衛大臣直轄部隊として陸上自衛隊は「警務隊」、海上自衛隊は「海上自衛隊警務隊」、航空自衛隊は「航空警務隊」が、それぞれ編成されている。

陸士長、海士長又は空士長以下の者は、警務官補(けいむかんぽ)と呼称[2]し、司法巡査とされる[1]陸上自衛隊では、警務科職種に指定されている。

軍隊(国軍)の憲兵に相当するが、後述の通り、旧日本軍の憲兵と異なり、一般国民に対する司法警察権や行政警察権を有さない。独自の起訴や裁判、法的処分を行なうことがないのは一般の警察官と同様である。警察官等他の司法警察職員と同様、逮捕して取り調べ被疑者については、検察庁送致する。

警務官には、自衛官身分証明書と別に警察官の警察手帳(旧型及び新型)と類似した型式の「警務手帳」が貸与される[3]
任用資格

警務官等の指定については、「警務官及び警務官補の指定並びに権限の行使及び調整に関する訓令」(昭和30年防衛庁訓令第33号)第1条が定めている。陸上自衛官については陸上幕僚長、海上自衛官については海上幕僚長、航空自衛官については航空幕僚長が下記の項目に従い命じる。ただし、階級が3等陸・海・空佐以上の自衛官は防衛大臣の承認を得る。
陸上自衛隊小平学校警察予備隊総隊学校、保安隊業務学校及び陸上自衛隊業務学校を含む。)において司法警察職員の職務に関する基礎教育の課程を修了した者

旧裁判所構成法(明治23年法律第6号)による検事又は検察庁法(昭和22年法律第61号)による検察官若しくは検察事務官であった者

旧刑事訴訟法(大正11年法律第75号)による司法警察官吏又は刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)による司法警察職員であった者

3等陸佐3等海佐又は3等空佐以上の自衛官であつて、旧大学令(大正7年勅令第388号)による大学若しくは学校教育法(昭和22年法律第26号)による大学又は旧専門学校令(明治36年勅令第61号)による専門学校法科系統の教育を修了した者又はこれらと同等の学識経験があると認められる者(学士(法学)学位を有する者など。)

警務官等はこれらの資格を有する者のうちから、防衛大臣又はその指定する者が命ずる。

なお、3尉以上の警務官は、副検事選考試験に合格すれば、副検事(検察官の一)に任官することができる[4]。例えば2016年4月1日付で長野地検に次席検事として着任した検察官は、防衛大学校卒業後、陸上自衛隊警務隊在籍時に検察官を志し、副検事選考、特別選考試験を経て1996年に札幌地検検事として任官した経歴を持つ[5]。2020年9月に鹿児島地検検事正まで昇進した[6]
制服

「自衛官服装規則」(昭和32年2月6日防衛庁訓令第4号)第15条等により、警務官及び警務官補である自衛官は、警務職務に従事する場合には、必要に応じ、所定の制服等のほか、次の各号に掲げるものを着用することとなっている。
帯革(ガンベルトの事 本革、負革(つまりサム・ブラウン・ベルト本体とサスペンダー)、警棒吊り、手錠入れ及びけん銃弾倉入れ)

警棒

けん銃

けん銃吊り

けん銃吊り紐(ランヤード)

警笛

警笛吊り鎖

警務腕章(「警務 MP」という文字が入る。)

手錠及び捕縄

脚絆(海上自衛官に限る。)

また、正帽(自衛官なので前章は自衛隊の物)に代えて白色の66式鉄帽中帽を着用できる等の特殊の定めも置かれている。
警務隊・海上自衛隊警務隊・航空警務隊の任務
司法警察職務及び保安職務の意義
警務隊の組織及び運用に関する訓令(昭和34年陸上自衛隊訓令第61号)第2条、海上自衛隊警務隊の編制及び運用に関する訓令(昭和37年海上自衛隊訓令第9号)第2条及び航空警務隊の任務及び運用に関する訓令(昭和36年航空自衛隊訓令第3号)第2条は、それぞれ陸海空の警務隊の任務たる司法警察職務(海空では司法警察業務)及び
保安職務(海空では保安業務)の意味を定めている。司法警察職務とは、警務隊の主たる任務であり、司法警察活動に相当する。他方、保安職務(業務)とは、本来は各部隊の長等が担当すべきものであって、警務隊はむしろこれに協力するものとされている。このように保安職務(業務)は、自衛隊の行政権の行使の一部として行われるものであり、行政警察活動に相当する。また、「警護」も保安職務(業務)なので、防衛大臣等が自衛隊の施設を訪問する際等には、陸海空の部隊に応じて、通常、陸海空それぞれの警務官が警護に当たる。
警務隊


司法警察職務:犯罪捜査及び被疑者逮捕

保安職務:交通統制警護、犯罪の予防、規律違反の防止等。

海上自衛隊警務隊


司法警察業務:刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)の規定による司法警察職員としての職務を内容とする業務。

保安業務:巡察、先導、警護、交通統制及び所在不明隊員の捜索等犯罪の予防及び規律違反の防止のための業務。

航空警務隊


司法警察業務:犯罪の捜査及び被疑者の逮捕。

保安業務:部隊等の長(基地司令を含む。)の行なう交通の統制、警護並びに規律違反の防止等に協力してこれらの業務。

警務官の職務執行対象となる犯罪
自衛隊法96条により下記の犯罪についてのみ職務を行う。所管が限られているので、捜査し摘発を行なった事件が報道された例はほとんどない(警察と競合するので、脱柵中・勤務時間外に犯罪を犯した自衛官は警察に逮捕される例が多い)。数少ない例が三島事件防衛大学校学生保険金詐欺事件

自衛官並びに陸上幕僚監部海上幕僚監部航空幕僚監部及び部隊等に所属する自衛官以外の隊員並びに(防衛大学校陸上自衛隊高等工科学校の)学生、訓練招集に応じている予備自衛官及び即応予備自衛官並びに教育訓練招集に応じている予備自衛官補の犯した犯罪又は職務に従事中の隊員に対する犯罪その他隊員の職務に関し隊員以外の者の犯した犯罪


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