陸上競技場
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日本国立競技場

陸上競技場(りくじょうきょうぎじょう)とは、陸上競技を行うために設けられる施設である。通常は屋外に常設されるものを指すが、体育館やホール内に特設される室内陸上競技場もある。

日本の主要な陸上競技場は地方自治体が設立・運営しているものが多いが、学校が有する陸上競技専用のグラウンド(特に私立大学に多い)が、日本陸上競技連盟の公認を受けている例も少なくない。

以下に屋外に設けられる陸上競技場について解説する。
施設

競技が行われる部分は、周回走路である「トラック」と、跳躍や投擲などの競技を行う「フィールド」に分かれている。

陸上競技場の基本仕様については、世界陸連(旧国際陸上競技連盟)が「TRACK AND FIELD FACILITIES MANUAL」を示しており、この規定が準用される[1]。なお、国際陸上競技連盟(IAAF、当時)の規定では、陸上競技場の方位は、南北軸から東西に向かう角度が、22.5度未満とされた[2]
トラック

競技規則(Technical Rules:TR)には「第2部 トラック競技」に規定がある[3]。標準的なトラックの長さは400mと定められている(TR14.1)[3]。第1種から第4種の陸上競技場では400mであるが、第4種Lの陸上競技場では200m、250m、300m、400mの場合がある[4]。トラックは平行する二つの直走路と、これらをつなぐ半径の同じ二つの曲走路からなる(TR14.1)[3]

徒競走リレー競走ハードル競走障害物競走などが行われる。

トラックの内側とは縁石(高さ最低50o、幅最低50oの適当な材質で、色は可能な限り白)で分けられている(TR14.1)[3]。曲走路の一部をフィールド競技に使用するときは、コーン、旗または代用縁石が設置される(TR14.1)[3]

舗装材として過去にはアンツーカなどが使われてきたが、1968年メキシコオリンピックポリウレタンの全天候トラックが採用された[5][注 1]。これを皮切りに、ポリウレタンに加えゴムチップウレタンや合成ゴムの舗装材も登場、走りやすさや耐久性の面でメリットがあるとして一般化した[6]。舗装の色はアンツーカのトラックの名残でほとんどがレンガ色であるが、青色のトラックを持つ競技場も増えており、2016年リオデジャネイロオリンピックでも青色が採用された[7]

少なくとも1つの曲走路を含むレースでは、左手が内側になるよう(反時計回り)に周回する(TR17.1)[3]。またレーンナンバーは左手側をレーン1として順につける(TR17.1)[3]
レーン
1レーンの幅を1m220とし、第一種及び第二種の陸上競技場では8レーン又は9レーン設置し、直送路の長さを115m以上としなければならない[4]。第三種では8レーン(直送路の長さ114m以上)、第四種では6レーン以上(直送路の長さ114m以上)でよい[4]。競技規則(TR14.4)では「400mまでのレースにおいて、各競技者は、幅50oの白色のラインで区切られた、右側のライン幅を含む最大幅1m220(±10o)のレーンを走らなければならない。」とされている(セパレートコース)[3]。800m競走など、スタートから一定距離はセパレートコースで、その後はどこを走っても良いオープンコースになる種目もある。
スタートライン、フィニッシュライン
スタートライン及びフィニッシュラインは幅50oの白いラインである(TR16.1、TR18.1)[3]。レーンを使用しないレースの場合は、フィニッシュからの距離がどの競技者も同じになるようスタートラインはカーブしている(TR16.1)[3]。セパレートコースを用いる200mから800mの競走ではレーンごとにスタートラインが引かれている。1,000m以上の競走ではオープンコースであるため、スタートラインは最初の曲走路入り口を中心とした弧になっている。レーン(含むオーダー)順の番号は、走る方向に向かって左から右へつけられる(TR16.1)[3]
障害物競走設備(水濠等)
第一種及び第二種の陸上競技場では障害物競走設備が必要である(第三種及び第四種では無くても可)[4]。障害物競走の水濠は、レーンの内側または外側に設けられる[1]。日本の競技場のほとんどは外側に設けられているが、国立競技場では内側に設けられている[8]
フィールド

跳躍競技投擲競技が行われる部分。トラック内側をインフィールド、外側をアウトフィールドと呼ぶ。インフィールドをサッカー競技やラグビー競技などを行うスペースとして利用できる競技場も多い。

各種跳躍場および各種投てき場は、第一種及び第二種の陸上競技場では仕様に示す数必要であるが、第三種では1か所以上でよく、第四種では1か所以上で条件に合わない場合は一部の施設を欠いてもよい[4]

フィールドは第1曲走路側の半円部分のAゾーンと第2曲走路側の半円部分のBゾーンに分けられる[1]
跳躍場


走高跳を行う場所はAゾーン、Bゾーンのいずれかに3か所以上、いずれかのゾーンで同時に2面競技ができるように設置する必要がある[1]。走高跳の助走路は扇形である。

走幅跳及び三段跳の助走路と砂場が設けられるが、第一種及び第二種公認の陸上競技場の基本仕様では「走幅跳、三段跳の助走路ならびに砂場は、メインスタンド側またはバックスタンド側(インフィールドでもよい)に6カ所以上設置する。」とされている[1]。実際には走幅跳・三段跳の助走路と砂場はアウトフィールドに設けられることが多い。これらをインフィールドに設けてしまうと、インフィールド内の面積が制限され、サッカーやラグビーのピッチの規格に合わなくなってしまい、事実上陸上競技専用競技場になってしまうためである。

棒高跳の助走路とポールを突き立てるためのボックスが設けられる(第一種及び第二種の陸上競技場で設置数の基準が異なる)[1]

投てき場


砲丸投はAゾーン、Bゾーンのいずれかに扇形の投てきエリアを設置し、サークルを1か所以上設ける[1]

円盤投ハンマー投のサークルは兼用型でもよいが、第一種及び第二種の陸上競技場では2か所設置する必要がある[1]。砲丸投のサークルとの兼用は認められていない[1]

やり投の助走路の末端は、やりが構造物と接触しないように設置しなければならない[1]。やり投の助走路は直線で36.5mある上に、やりの飛距離が100m近くにもなるため、トラックの曲線部を横断する形で設けられることが多い。

公認競技場の区分

国際陸上競技連盟(IAAF)公認の競技場には、オリンピック世界選手権などIAAF主催・管轄大会に必要なクラス1や、国際招待大会に必須のクラス2がある。

日本陸上競技連盟公認の陸上競技場には、第1種から第4種までの区分がある(過去には第5種競技場という区分もあったが、2007年にいったん廃止され事実上は第4種に統合された[9]が、2022年度から「第4種・L公認競技場」が新たに項目として設けられ、事実上復活した[10][11])。また陸上競技場の施設に自転車競技場が併設されている場合は、「第○種・乙公認競技場」と表記することや、各競技場種別で開催できる競技大会の内容についても2011年から規定が改正されている[12]。主な項目についてその規格を示す。

項目第1種[注 2]第2種第3種第4種第4種L[注 3]
使用できる大会[12]日本選手権国民体育大会など、日本陸連が主催する全国規模、および国際的な大会加盟団体陸上競技選手権大会、及び地方における主要な大会加盟団体等の対抗競技会等加盟団体の加盟団体の大会・記録会[注 4]


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