陰摩羅鬼の瑕
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陰摩羅鬼の瑕
著者
京極夏彦
発行日2003年8月8日
発行元講談社
ジャンル推理小説
日本
言語日本語
形態講談社ノベルス新書判
ページ数750
前作塗仏の宴 宴の始末
次作邪魅の雫
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『陰摩羅鬼の瑕』(おんもらきのきず)は、京極夏彦の長編推理小説妖怪小説百鬼夜行シリーズ第8弾である。
書誌情報

本作より、文庫判と分冊版が同時に発売されるようになった。

新書判:2003年8月、
講談社ノベルスISBN 4-06-182293-4

文庫判:2006年9月、講談社文庫ISBN 4-06-275499-1

分冊文庫判:2006年9月、講談社文庫、[上] ISBN 4-06-275500-9、[中] ISBN 4-06-275501-7、[下] ISBN 4-06-275502-5

あらすじ

昭和5年、「鳥の城」の主由良昂允伯爵は、新婚初夜翌朝に、新婦を殺される。昭和9年、昭和13年、昭和20年の花嫁もまた同じ命運を辿る。

長野警察の伊庭銀四郎は、1度目から3度目までの事件の捜査にあたるも、全て迷宮入りとなる。伊庭は東京に移り住み刑事も辞めて隠居していたが、昭和28年の此度に5度目の婚礼が行われることで長野警察に協力を要請される。

由良家は花嫁の命を守るため、探偵榎木津礼二郎に警護を依頼する。だが榎木津は急病に陥り一時的に視力を失ったため、補佐に関口巽が呼ばれる。昂允は榎木津と関口に強い興味を持っており、2人を歓迎する。

到着した榎木津は、館の人々を見回すなり開口一番に「おお、そこに人殺しが居る!」と叫ぶ。榎木津には誰かの記憶だけが見えたのである。関口は伯爵の人柄に触れ、花嫁を護るべく奔走する。
登場人物
語り手
関口 巽(せきぐち たつみ)
小説家。『塗仏の宴』事件で誤認逮捕され、釈放されたが、心身ともに疲弊している。張り込みが必要な仕事があって長野に来られない益田から代理を頼まれて急遽東京から喚ばれ、一時的に失明した榎木津の補佐役として長野に赴く。伯爵および薫子の人柄に触れ、伯爵と会話をするうちに、観念上の齟齬はなく理屈は合っているのに、生死に関する論旨に瑕があることに気がつき、相手の本意との間に大きな溝があるように感じて苦手意識を持つ。一方、とても真当な状態で真当でない世界を覗き込んでいる薫子に同調し、それでもなお真当でいようとしている花嫁を護るべく奔走する。
由良 昂允(ゆら こういん)
華族伯爵にして、「鳥の城」の主。50歳。過去4度も花嫁(美菜、啓子、春代、美禰)の命を奪われている。長身で青白く悩ましげな顔つきをしているので、洋画「魔人ドラキュラ」でベラ・ルゴシが演じたような吸血鬼に喩えられることもある。先天性の心臓疾患があって2歳まで諏訪の病院に入院し、成人するまでほぼ一度も由良邸から出たことが無く、生きていく知識は全て図書室の蔵書から得た。そのため、博識さや聡明さの反面、不釣合いな無邪気さや世間知らずさも見せる。社会に出て働いた経験はないが、間宮家が経営していた会社の代表権を持つ筆頭株主となっているので、自分で働かずとも企業が儲かるだけで自動的に金銭が入って来る。分家との関係は悪く、比較的関わりの深い胤篤や公滋のことも家族だとは思っていない。詩人として『稀譚月報』を中心に随筆や散文詩を発表しているが、文章は小説のようで、怪奇小説でもないが純文学とも云えない、何処か関口の作風に通じる不気味な作品を書く。公篤卿の弟子から儒学を徹底的に学び、外国人の家庭教師から学んだため独逸語仏蘭西語を話すことが出来、漢文の読み書きも達者で、数学と論理学も教えられている。また、推理小説にも興味を持ち、トリックや謎解きの面白さ、人間関係の摩擦から生じる喜怒哀楽は理解できるのだが、人殺しを扱う理由だけが解らないため、推理作家との個性的な問答により、一部で話題になっていた。榎木津礼二郎と関口巽に深い興味を寄せている。関口の小説の熱心な読者であり、彼を歓迎して「生きて居ること」の意味について問う。
伊庭 銀四郎 (いば ぎんしろう)
戦前の長野県警察部の元警部補。明治21年生まれ。睨んだだけで犯人が自白すると云う伝説を持ち、現役時代は「眼力の伊庭銀」と呼ばれていた。過去3度、伯爵家の事件を担当した。出征を望んで12年前に一度退官するも高齢で叶わず、危険を承知で上京して工廠で働き、銃後を民間人として無事に生き抜いて、燻っているところを拾われて東京警視庁に奉職。5年間職務を熟して2年前に退官し、昭和28年時点では民間人。迷信も信仰も嫌っていて、墓参りにも行ったことがない。退官後は躰を壊した妻を看病しようと家を買って環境を変えたが、越して間も無く死別する。妻との間に一児をもうけたが、風邪が因で3歳で亡くしている。家族の死に対し抱えていたわだかまりや、木場との会話で思い出した「鳥の城」にまつわる記憶に悩まされ、中禅寺に憑き物落しを依頼する。「出羽即身仏事件」をきっかけに中禅寺、里村と知遇を得ている。詳細は『今昔続百鬼?雲』収録の「古庫裏婆」に所収。
シリーズレギュラー
榎木津 礼二郎(えのきづ れいじろう)
私立探偵。他人の記憶が視えると云う特異な体質を持つ。旧華族で博物倶楽部の重鎮である父が由良行房と縁があり、20年前に行われた行房の十回忌で昂允と一度会っている。由良家の依頼を受けるも、その道中諏訪の旅館で病気に罹り、発熱して一時的に視力を失っている。肉眼は見えないが、記憶は視えるという状態にある。
中禅寺 秋彦(ちゅうぜんじ あきひこ)
中野の古書肆。自宅を訪問していた柴と問答している時に、木場の伝で自分を訪ねて来た伊庭と再会。伊庭の依頼で彼に憑いた陰摩羅鬼を落とすため、5度目の婚姻が行われている由良邸に赴く。


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