除草剤
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

この項目では、除草剤の概要について説明しています。

具体的な名称については「除草剤の一覧」をご覧ください。

除草剤(じょそうざい)は、植物雑草)を枯らすために用いられる農薬である。接触した全ての植物を枯らす非選択的除草剤と、対象とする植物種を枯らす選択的除草剤に分けられる。植物を枯らす仕組みは、光合成を阻害するもの、植物ホルモンを撹乱させるもの、植物固有のアミノ酸生合成を阻害するものの3つに分けられる。
歴史

広く使われた最初の除草剤は2,4-ジクロロフェノキシ酢酸 (2,4-D) で、第二次世界大戦直後から使われた。これは製造が簡単で、広葉(双子葉)植物を枯らすのに対し、イネ科植物には影響を与えず、現在でも用いられる。多くはアミン塩やエステルの形がとられる。2,4-Dの選択性はあまり高くなく、対象でない植物にも害を与える。また一部の広葉雑草やつる植物スゲ類などには効果が低い。

1970年代にはアトラジンが導入されたが、これはヨーロッパなどで地下水を汚染しているのではないかと疑われている。アトラジンの分解には数週間かかり、降雨によって地中深く浸透すると考えられるためである。このことを「キャリーオーバーが多い」と称し、除草剤としては望ましくない性質である。

グリホサート(商品名: ラウンドアップ)は、1980年代半ばに導入された非選択的除草剤で、直接接触した全ての植物を枯らす。現在では遺伝子操作により、これに薬剤耐性を有する作物が開発されたため、雑草防除用の主要除草剤となっており、除草剤と耐性作物種子(遺伝子組換え作物)が合わせて売られるようになった。

2015年には国際がん研究機関が除草剤グリホサートを、グループ1に次ぎ2番目に発癌性リスクの高いグループ2Aヒトに対しておそらく発癌性がある)に指定した[1][2]。2018年8月には、アメリカ合衆国において癌になったとしてモンサントを訴訟した裁判で、損害賠償金2億8,900万ドル(約320億円)の支払いを命じた[3]

現在の農業用除草剤は、散布後短時間で分解するように調製されている。これは、現在目的とする作物の次に栽培する作物への影響を減らす意味で望ましい。
用途

除草剤は、芝生の管理、道路や線路や駐車場など生活空間の雑草防除のほか、雑草に隠れてる害虫を失くすため、農業に広く使用される(雑草を放置すると、生産作物に病害虫が発生してしまう)。林業牧草地、また野生生物生息地の保護(たとえばガラパゴス諸島)にも用いられる。
分類

除草剤は、法律、作用の様式、作用機序、殺草選択性、化学的な構造、製剤別などによって分類される。
日本の農薬取締法による分類
除草剤(
農林水産省の登録がある)


農耕地に使える農薬

農耕地の他、非農耕地(宅地、運動場、駐車場、道路、線路、墓地など農耕地ではないところ)にも使用できる。

非農耕地専用除草剤(農林水産省の登録がある)


非農耕地のみに使える農薬

農耕地に使用すると「農薬取締法」違反となり、罰則の対象となる。

販売に係る義務違反:個人は3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金。法人は1億円以下の罰金。

使用に係る義務違反:3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金。


非農耕地専用除草剤(農林水産省の登録がない)


非農耕地のみに使え、農薬ではない。

農耕地に使用すると「農薬取締法」違反となり、罰則の対象となる。

作用の様式による分類
接触型
茎葉処理剤は、散布された除草剤に接触した部分の植物
組織だけを除去する。散布により最も速く作用する除草剤であるが、根が枯れないため、根茎から生長する多年生植物には効力が低い。ただ根が残るため、傾斜地や畔の保全に役立つ。
吸収移行型(全草型)
吸収移行型(全草型)除草剤は、茎葉に適用し植物体全体に浸透移行する。根まで枯れるので、接触型除草剤より多くの植物を除去するが、枯殺まで時間がかかる。
土壌処理
土壌処理剤は、土壌に適用し根から吸収されて作用し、あるいは雑草の発芽成長を妨げる。枯殺まで時間がかかる。
作用機序による分類


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:53 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef