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ガスマスク(英: gas mask)とは、人体を有害物質から守るためにつける器具の一種である。 毒ガス・粉塵・微生物・毒素などの有害なものや、強烈な臭いを発するものから保護するために顔面に着用するマスクで、目など傷つきやすい組織のほか、鼻・口を覆うことで呼吸器を守る。日本語では防毒面と表記し、日本陸軍では「被服甲」を略した被甲という呼称も用いられた。これは防毒面の管理区分が1932年に変更され、従来の「兵器」から「被服」へ移されたことに由来する。 初期の物は軍用ではなく民生用だった。
概要
歴史ドイツ連邦軍のM65ガスマスク。吸収缶の外気取り入れ口に付属する保護栓は、使用時に取り外されるスウェーデン軍のSkyddsmask 90ガスマスクカナダ軍のC4ガスマスク
1799年に鉱山技師のアレクサンダー・フォン・フンボルトが開発した粉塵防護用の物が最初だと言われている。
1823年に消防用として煙保護マスクをチャールズ・ディーン
1854年にイギリスでステンハウス式ガスマスクが販売された、普通のマスクに活性炭フィルターを付けた程度で目を防護する機能が無かった。
1858年ごろに備後国の医師宮太柱(みや・たちゅう)が、銀山における防塵マスクとして、鉄の枠に梅肉を布で挟み込んだ「福面(ふくめん)」を開発し、石見銀山で使用された。
1871年に消防士用として煙の中でも活動できるガスマスクをジョン・ティンダルが開発した。
1874年に空気ボンベを背負って酸欠状態でも活動できるスバートン式が開発された、これが現代でも消防で使用されている物の原型である。
第一次世界大戦で化学兵器が大規模に使用されたことに対する防御手段として軍に採用された。 第二次世界大戦中は分離式のM4ガスマスクが使用されていた。1960年代にM17ガスマスクが採用されるとこれがベストセラーとなり以後30年にわたってM17A1、M17A2と改良されながら使用された。 しかし、1991年の湾岸戦争で砂漠での使用に不向きであることがわかると、新型機の開発と配備が急速に進められ、 M40 Field Protective Mask イギリス軍ではS10ガスマスクが正式採用となり、現在も使用されている。その後の改良型でドリンクチューブが付いている物やAR10,FM12,SF10などがある。近年、英軍では新型のFM12に更新しつつある。
1915年2月にイギリス軍で目を覆うゴーグルと民間用のガスマスクをセットにした簡易ガスマスクが支給された。
1915年後半から1916年になると本格的なガスマスクが支給されるようになった。
アメリカ軍におけるガスマスクの歴史
イギリス軍におけるガスマスクの歴史
構造と部品
面体
本体。鼻と口を包み外気を遮断する。下顎から鼻までを覆うものを半面マスク、下顎から額まで覆うものを全面マスクと言う。吸気口と排気口を別々にもち、それぞれ内側に逆止弁が付いている。排気口は着用者の口に近い場所にあることが多い。吸気口は一つないし二つ付いており、それぞれに吸収缶が取り付けられる。初期には別個の吸排気弁を持たず、吸収剤を往復する形で吸気・呼気を行う構造の製品も存在した。伝統的なゴムないしゴム引き布製に加え、アメリカ製のMCU-2/Pガスマスクやロシア製のGP-9・GP-21ガスマスクのように、本体を強化樹脂製とした製品も実用化されている。強化樹脂製は折り畳めないためゴム・ゴム引き布製に比べてかさばるが、折りぐせといった変形による気密不良が起きにくく、透明素材を使えば視野を広くできるという利点がある。
ベルト
面体を頭部に固定するためのベルト。あらかじめ使用者の頭に合わせておく。旧ソ連・ロシアを中心に、ベルトがない形状のガスマスクも存在する。これは面体と頭巾がゴムで一体成型されていて、装面すると首から上がマスクにすっぽり包まれる。
吸収缶(キャニスター)
有毒物質を吸収したり、粉塵や飛沫を除去する濾材が詰まった缶である。吸気は吸収缶を通ってからマスクに入るようになっている。吸収できるガスの種類によって濾材が異なるため、塗装の色などで区別されている。サイズもさまざまあるが、小さいものは面体の側面か下部に直接ねじ込むようになっている。