乾癬
発音[s??ra??s?s, ps-, s?-, s??-, so?-]
乾癬(かんせん、英: psoriasis)は、慢性の皮膚角化症状をはじめとする全身炎症性の自己免疫疾患である。伝染性感染症ではない。明らかに難病[3]だが、2023年7月現在、特定疾患・指定難病になっているのは 膿疱性乾癬(汎発型)のみ。
皮膚症状に対しては、ビタミンD3外用薬、ステロイド外用薬、ナローバンドUVB療法などが使用される。これらで治療不十分な場合や、皮膚症状以外の症状に対しては、各種の免疫抑制剤、古くはジェネリック医薬品のシクロスポリンや、近年ではメトトレキサートや生物学的製剤が用いられる。 下位分類 世界的には1.6%程度の有病率。人種により差があり白色人種では2 - 4%と多く、黒人と黄色人種に少ない。一卵性双生児の発症一致度が70%(二卵性双生児の発症一致度は約20%)であり、遺伝的要素[4] が主たる要因と考えられている。 これと一見矛盾するかのようだが、欧州よりも白色人種の割合が低いアメリカ合衆国の方が欧州より有病率が高い。また日本では戦前はまれな病気であったため、欧米に比べ認知度が低かったが、食生活が大きく変化した太平洋戦争後に患者が増加し、1970年代から1990年代の間に有病率が0.025%から0.1%と上昇しており、2010年代には約0.4%に達している。これらのことから、遺伝的要因だけでなく、食生活を中心とした生活習慣も要因の1つと考えられている。 乾癬患者では心臓冠動脈の動脈硬化プラークの断面積比率が高いとの報告がある[5]。 ゲノムワイド連鎖解析では、HLA class I近傍のほか、6番染色体上のPSORS1や17番染色体上のPSORS2をはじめとする複数の遺伝子座が候補遺伝子領域として報告がある。 近年、乾癬は関節リウマチ、クローン病とならぶ代表的なTh17細胞性慢性疾患と考えられるようになり、治療上も抗TNF-αモノクローナル抗体のアダリムマブとインフリキシマブ、抗ヒトIL-12/23p40モノクローナル抗体のウステキヌマブ、抗IL-17A抗体のセクキヌマブ、抗IL-17A受容体A抗体のブロダルマブ 皮膚症状のみ。特有の光沢を有した白色の鱗屑 外部からの物理的な刺激で症状が引き起こされる(Koebner現象(ケブネル現象))のが特徴で、肘、尾てい骨部からの発症が典型的だが、本人の視界に入りづらい部位であり、痒みを伴わない場合など発症後直ちの受診とならないことがある。膝(視界に入りやすい)、頭皮(しばしば強い痒みを伴い、掻いてしまうと、これが物理刺激になる。)で気づき受診する場合も多いが、眼球以外ならば全身どこにでも発疹が出現し得る。爪の生成部に発症した場合は爪が変形して凹凸や穿孔、荒れになる。これは爪乾癬(つめかんせん)とも呼ばれる。爪に症状が出た場合は、尋常性乾癬にとどまらず、乾癬性関節炎へと進行する可能性が高い。 強い発疹のわりには他の皮膚疾患に比べて痒みが少ない場合もあれば、一方で強い痒みを伴う場合もある。症状の度合や病変部位、使用する薬剤の刺激などによって非常に多様性のある病態を形成する。 他人に伝染することはない。しかし他の伝染性の皮膚病と外観が似ており、一般の人のみならず、皮膚科専門医以外の医師にも見分けが難しい。かといって患者が周囲の人々に対し乾癬だと口頭で説明しても、一般における認知度が低く、感染と乾癬の音が同じ「カンセン」であるため、やはり伝染性の病気と誤解されやすい。[6][7] このため、乾癬に治療効果がある海水浴(海水と太陽光線の効果)やある種の温泉への入浴を、人目を気にして避けることで、せっかくの治癒・症状改善の機会を逃しているという問題がある。
分類
尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん、 psoriasis vulgaris: PV) - 「尋常性」とは「普通の、ありふれた」という意味であり、乾癬で最も患者数が多い。
乾癬性関節炎(関節症性乾癬)(かんせんせいかんせつえん、かんせつしょうせいかんせん、psoriatic arthritis: PsA)
膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん)
滴状乾癬(てきじょうかんせん)
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)は日本においては乾癬に分類されないが、他国では乾癬に分類される場合が多い。他の言語の乾癬の記述を参照。
疫学
原因
尋常性乾癬典型的な尋常性乾癬の皮疹
典型的な症状