関数電卓(かんすうでんたく、英語: scientific calculator)は、四則演算以外に科学技術計算に関する計算機能を持つ電卓である。
製品の発展の歴史的経緯から、初期の製品が三角関数、指数関数、対数関数などの初等関数の値を数表に頼ることなく得られる機能を有したことから関数電卓と称される。今日的な製品では、これらの機能以外にも後述の各種計算機能を備える製品が流通している。
主なメーカーには、ヒューレット・パッカード、テキサス・インスツルメンツ、カシオ計算機、シャープ、キヤノンがある。
関数電卓の出現により、数表や計算尺の初等関数の尺の機能は主要な役割を終えた。 関数電卓の特徴として凡そ次の点が挙げられる。 事務用途の電卓でも実現されている機能として、百分率、平方根、消費税計算、1変数のメモリが挙げられるが、これより多くの計算機能を有する。 搭載している計算機能はメーカーや機種によって異なるが、以下のような機能および関数は多くの関数電卓が備えている。 さらに上位機種では以下のような機能も備えている。 科学技術用途以外の分野で次のような機能を有する製品もある。これらは金融電卓、ビジネス電卓等と称される。 機能の数は、メーカーの提示によれば普及機種で300機能程度、上位機種では700機能程度に達するものが存在する。 狭義には数値計算機能に特化した手帳型の専用機の形態の物を指す。一般的な事務用の電卓と同様に数値のみ1行で10桁から12桁の表示で、指数表示のため指数専用の桁が存在するのが関数電卓の特徴の一つである。
機能
四則演算を中心とした事務用途の電卓に比べて多数の計算機能を備えている。
数値の取扱と計算順序
内部の数値が浮動小数点方式であり、指数表示計算(例: 1.23E8)が可能である。
計算の優先順位が存在し、入力順で計算されるのではなく優先順位に従って計算される。
計算の優先順位を指定するためのカッコを入力できる。
初等関数
三角関数(双曲線関数を搭載する場合もある)角度単位の切換(度〈DEG〉、ラジアン〈RAD〉、グラード〈GRAD〉)
指数関数、対数関数ネイピア数eを底とするもの、10を底とするもの、及びこれらから公式を用いて任意の底の指数関数、対数関数。
冪乗と冪根。二乗、三乗、平方根、立方根。
円周率πやネイピア数eなどの定数を素早く入力できる。
計算
除算における剰余
順列と組み合わせ
階乗
乱数の発生
数値丸め機能(小数点固定と切り捨て、四捨五入、切り上げ)
数の種類
分数、約分と通分、仮分数と帯分数、分数と小数の変換
度分秒計算
時間計算
座標変換(直交座標と極座標の相互変換)
複素数、インピーダンス計算
二進数、八進数、十六進数の計算。基本的なブール演算
計算を補助する機能
アンサーメモリー最後に=・Entキーを押して確定した計算結果を、次の計算式の任意の場所で参照して代入できる機能
過去に遡っての計算式のチェックと修正、同じ計算式で変数の値を変えての再計算
メモリーを複数個備える。
物理定数や数学定数の呼び出し
単位の換算
数式記憶機能、計算式のユーザ定義関数としての保存、公式の呼び出し
計算の表式
分数や方程式を表記通りに計算かつてほとんどの関数電卓は、たとえば1引数の関数の場合、「3.14」次いで「sin」のように、まず引数を入力し、次いで関数のボタンを押す、という順序の入力方式が主流であった。この方式であれば、コサインの不動点を求める時などは、「1」「cos」「cos」「cos」... のように連打すればよい。後には通常の数式通り(書式通り・公式通りとも)の順序で入力する方式があらわれ、数式が表示される機種から広まっていった。カシオのようにほぼ全て切り替えてしまったメーカーもある。この数式通り方式は、数式を左から書くのと同じ順序で、たとえば「sin」次いで「3.14」のように操作する。これに対して従来の方式は標準方式などと呼ばれる。2000年代後半より、数式自然表示[注釈 1]という、分数や開平記号なども一般の数式における記法のように表示される方式が登場してきている。
逆ポーランド記法による計算
数学的演算、表計算
微分、積分(数値計算)
行列の計算
リスト(ベクトル[要曖昧さ回避])計算
統計計算と確率計算
表計算
プログラムとグラフ
プログラム機能 - プログラム電卓を参照
グラフ描画
ハードウェア機能
プログラムやデータの保存
OHPやテレビ画面への投影
通信機能(同一機種間、若しくはパソコンとの)
計測器からのデータ入力
外部プリンタ接続による紙への印字
時計機能など
金融計算(複利計算、ローン計算など)
商売(原価、売価、粗利率)計算
減価償却計算
形態