関数の微分
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導関数を求める微分演算については「微分」を、その他の用法については「微分 (曖昧さ回避)」をご覧ください。

微分積分学における関数の微分(かんすうのびぶん、: differential of a function)とは、直感的には変数無限小増分に対する関数の増分であり、独立変数を変化させた時の関数値の変化の主要部(英語版)を表す。具体的には、実変数関数 y = f(x) が与えられた時、y の微分 (differential) dy は次のように定義される。 d y = f ′ ( x ) d x {\displaystyle dy=f'(x)\,dx}

あるいは以下のように表記することも出来る。 d f ( x ) = f ′ ( x ) d x {\displaystyle df(x)=f'(x)\,dx}

ここで f ' (x) はf のx に関する導関数、またdx はx とは別の変数である(即ちdy はx とdx の関数ということになる)。

導関数を以下のように書くことも出来る。これは導関数を微分の商(微分商)の形として表記するライプニッツ流の表記に合致するものである。 d y = d y d x d x {\displaystyle dy={\frac {dy}{dx}}\,dx}

変数 dy と dx の正確な意味は、各分野における文脈と、要求される数学的な厳密さの程度により変わりうる。微分幾何学においては特定の微分形式としての重要性を持ち、解析学においては関数の値の変化量に対する線型近似と見なすことが出来る。物理学的な文脈においてはしばしば、変数 dx と dy を微小な(無限小)変化量として規定することがある。
定義点 x0 における関数 ƒ(x) の微分

現代的な微分学において、微分は以下の様に定義される[1][2]。一変数 x の関数 f(x) の微分 (differential) は次の式で与えられる2つの独立実変数 x と Δx の関数 df である: d f ( x , Δ x ) = def f ′ ( x ) Δ x . {\displaystyle df(x,\Delta x){\stackrel {\text{def}}{{}={}}}f'(x)\,\Delta x.}

引数の一方あるいは両方を省いて、df(x) や単に df とも書かれる。y = f(x) であれば、微分はまた dy とも書かれる。dx(x, Δx) = Δx であるから、dx = Δx と書くのが慣習であり、次の等式が成り立つ: d f ( x ) = f ′ ( x ) d x {\displaystyle df(x)=f'(x)\,dx}

微分のこの概念は関数の線型近似を求めたいとき(このとき増分 Δx の値は十分小さい)に、広く適用可能である。より正確には、f が x において微分可能な関数であれば、y の値の差 Δ y = d e f f ( x + Δ x ) − f ( x ) {\displaystyle \Delta y{\stackrel {\rm {def}}{=}}f(x+\Delta x)-f(x)}

は Δ y = f ′ ( x ) Δ x + ε = d f ( x ) + ε {\displaystyle \Delta y=f'(x)\,\Delta x+\varepsilon =df(x)+\varepsilon \,}

を満たす。ここで近似における誤差 ε は、Δx → 0 のとき ε/Δx → 0 を満たす。言い換えると、近似式 Δ y ≈ d y {\displaystyle \Delta y\approx dy}

が成り立ち、その誤差は Δx に対して相対的にいくらでも小さくすることが、Δx を十分小さく取るすることによってできる。つまり、Δx → 0 のとき Δ y − d y Δ x → 0 {\displaystyle {\frac {\Delta y-dy}{\Delta x}}\to 0}

である。この理由のために、関数の微分は関数の増分の主要(線型)部(英語版) (principal (linear) part) と呼ばれる:微分は増分 Δx の線型関数であり、誤差 ε は非線型かもしれないが、Δx が 0 に向かうとき急速に 0 に向かう。
多変数関数の微分詳細は「函数の全微分」を参照

多変数関数の微分は以下の様に定義される[3]。 y = f ( x 1 , … , x n ) , {\displaystyle y=f(x_{1},\dots ,x_{n}),\,}

で定義される多変数関数を考える。n 個の独立変数うち任意の一つ xi の増分 dxi に対する y の増分の主要部は、y の xi に関する偏微分を用いて ∂ y ∂ x i d x i {\displaystyle {\frac {\partial y}{\partial x_{i}}}dx_{i}}

と表される。全ての独立変数について以下の様に総和を取ったものを全微分(total differential)または単に微分と呼び、これが独立変数 x1…xn の増分に対する y の増分の主要部にあたる。 d y = ∂ y ∂ x 1 d x 1 + ⋯ + ∂ y ∂ x n d x n {\displaystyle dy={\frac {\partial y}{\partial x_{1}}}dx_{1}+\cdots +{\frac {\partial y}{\partial x_{n}}}dx_{n}}

より正確には、多変数関数の微分は以下の様に定義される[4]。f が微分可能関数であるならばフレシェ微分可能の定義より、その増分は Δ y = f ( x 1 + Δ x 1 , … , x n + Δ x n ) − f ( x 1 , … , x n ) = ∂ y ∂ x 1 Δ x 1 + ⋯ + ∂ y ∂ x n Δ x n + ε 1 Δ x 1 + ⋯ + ε n Δ x n {\displaystyle {\begin{aligned}\Delta y&{}=f(x_{1}+\Delta x_{1},\dots ,x_{n}+\Delta x_{n})-f(x_{1},\dots ,x_{n})\\&{}={\frac {\partial y}{\partial x_{1}}}\Delta x_{1}+\cdots +{\frac {\partial y}{\partial x_{n}}}\Delta x_{n}+\varepsilon _{1}\Delta x_{1}+\cdots +\varepsilon _{n}\Delta x_{n}\end{aligned}}}

で与えられ、この時増分Δxi が全て0に漸近するならば、誤差項εi は0に漸近する。よって全微分は厳密には以下の様に定義される。 d y = ∂ y ∂ x 1 Δ x 1 + ⋯ + ∂ y ∂ x n Δ x n {\displaystyle dy={\frac {\partial y}{\partial x_{1}}}\Delta x_{1}+\cdots +{\frac {\partial y}{\partial x_{n}}}\Delta x_{n}}

一変数の場合と同様に、 d x i ( Δ x 1 , … , Δ x n ) = Δ x i {\displaystyle dx_{i}(\Delta x_{1},\dots ,\Delta x_{n})=\Delta x_{i}}

であるから、 d y = ∂ y ∂ x 1 d x 1 + ⋯ + ∂ y ∂ x n d x n {\displaystyle dy={\frac {\partial y}{\partial x_{1}}}\,dx_{1}+\cdots +{\frac {\partial y}{\partial x_{n}}}\,dx_{n}}


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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