長崎と天草地方の
潜伏キリシタン関連遺産
(日本)
大浦天主堂(国宝・長崎県長崎市南山手町)
英名Hidden Christian Sites in the Nagasaki Region
長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産(ながさきとあまくさちほうのせんぷくキリシタンかんれんいさん)は、長崎県と熊本県に残る12件の構成資産から成るUNESCOの世界遺産リスト登録物件である。
2007年1月23日、文化庁が「富岡製糸場と絹産業遺産群」(群馬県富岡市など。2014年に世界遺産登録)、「富士山」(山梨県、静岡県。2013年に「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」として世界遺産登録)、「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」(奈良県明日香村など)とともに追加申請を決めた物件で、もとは「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」として登録が目指されたが、潜伏キリシタンに価値の焦点を絞る形で構成資産が再考された結果、現在の名称になった。2018年6月30日、第42回世界遺産委員会において登録が決定した[1][2]。 長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産は、江戸時代250年間の禁教令下における厳しい弾圧の中、宣教師不在でありながら、信者のみで信仰を守り通しながらも、孤立せずに一般社会との関わりも持ちつつ[注 1]、共同体を存続させるための生き方・暮らし方を創造したことが評価され、ユネスコの世界遺産に登録された[3]。 長崎におけるカトリック教会の伝来と繁栄、禁教令下の潜伏信仰、そして奇跡のキリシタン復活という、四世紀におよぶ世界に類を見ないカトリック教会布教の歴史を物語る資産として、2001年よりユネスコの世界遺産を目指す運動が始まった(下記「候補から外れた資産」の節参照)。 長崎県は世界遺産登録を目指すにあたり関係市町と情報共有を図って、保存管理計画の策定や国内外の同じような資産との比較研究などの一体的な取り組みを進め、2006年に文化庁が世界遺産候補地を公募した際に名乗りをあげ、文化審議会(文化財分科会)が正式候補として選定し、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」として2007年1月に暫定リストに掲載された。 2007年11月12日に「第1回 長崎県世界遺産登録推進会議」、12月26日には「第1回 長崎県世界遺産学術会議」が開催され、35の構成資産候補を選定。OUV(顕著な普遍的価値)の主軸を「東西文化の交流と文化的伝統」と定めた。推進会議・学術会議はその後も開かれ、2009年の学術会議で構成資産を33さらに29に、2011年の推進会議では構成資産を14に整理することが承認され[4]、2012年には構成資産を12に統合、2013年に熊本県天草市のア津集落が加わり13か所が構成資産となり[5]、2014年に平戸島の物件を2つに分割し14資産で推薦書が作成された。 2013年8月に開催された文化庁文化審議会では「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」を同年度中の正式推薦候補としたが[6]、内閣官房地域活性化統合事務局の有識者会議では「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」が推薦候補とされた。
概要
経緯