長七の和音(ちょうしちのわおん)とは、四和音の一種で、長三和音に根音から長七度上の音を付加したものである。
ポピュラー音楽では英語名のメイジャー・セブンス・コード(慣例的にはメジャー・セブンス・コード)とも呼ばれる。 以上の4音から構成される四和音である。 和音記号の種類表記法 ただし、根音をX, 第3音をY, 第5音をZ, 第7音をWとする。 音律名根音 : 第3音 : 第5音 : 第7音数値 長七度は不協和音程であるため、この和音は不協和音と見なされるが、純正率では単純な周波数比になるため、うなりは生じない。 四和音が和声の基本となるポピュラー音楽において、中心的な役割を果たし、この傾向は長調において顕著になる[1]。属七の和音[2]やメイジャー・シックスス・コード 以下のような用法があげられる。 アイオニアン・モード、リディアン・モードの中で使用できる。 ただし、リディアン・モードにおいてそのまま使用すると長調やアイオニアン・モードを連想させるため、リディアン・モードの特性音である増11度音がテンションとして加えられることがある。 長七の和音は、主に基本形(根音が低音)で用いられることが多い。 以下の音が付加されることがある。 なお、11th(根音の完全十一度上)は第3音と短9度を形成し響きを阻害するため、用いられない[4]。 なお、#11thはリディアン・スケールの特性音である。
基本データ
各語での呼称
英語: Major seventh chord (メイジャー・セブンス・コード)
英語: Delta chord(デルタ・コード)
構成音
根音(R)
長三度(M3°)
完全五度(P5°)
長七度(M7°)
和音記号
基本形第1転回形第2転回形第3転回形
コードネーム表示XM7XM7/Y
または XM7onYXM7/Z
または XM7onZXM7/W
または XM7onW
ピッチクラス表示[047B]
周波数比
純正律 8 : 10 : 12 : 15 {\displaystyle 8:10:12:15} 1 : 1.25 : 1.5 : 1.875
ピタゴラス音律 1 : 81 64 : 3 2 : 243 128 {\displaystyle 1:{\frac {81}{64}}:{\frac {3}{2}}:{\frac {243}{128}}} 1 : 1.265625 : 1.5 : 1.898438
中全音律 1 : 5 4 : 5 1 4 : 5 4 × 5 1 4 {\displaystyle 1:{\frac {5}{4}}:5^{\frac {1}{4}}:{\frac {5}{4}}\times 5^{\frac {1}{4}}} 1 : 1.25 : 1.495349 : 1.869186
平均律 1 : 2 4 12 : 2 7 12 : 2 11 12 {\displaystyle 1:2^{\frac {4}{12}}:2^{\frac {7}{12}}:2^{\frac {11}{12}}} 1 : 1.259921 : 1.498307 : 1.887749
主な用法
機能和声の中で
長調における I7(トニック)
長調における IV7(サブドミナント
短調(自然的短音階)における III7(トニックの代理コード)
短調(自然的短音階)における VI7(トニックの代理コード)
モードの中で
転回
付加音、テンション
アイオニアン・スケールにおいて
9th(根音の長九度上)
13th(根音の長十三度上)
リディアン・スケールにおいて
9th(根音の長九度上)
#11th(根音の増十一度上)
13th(根音の長十三度上)
注釈^ 長調のIM7やIVM7がダイアトニック・コードであり、トニックやサブドミナントとして使えるため。
^ ブルースでの用法
^ 進行感を阻害するため、基本的にドミナントでは用いられない。
^ このような音をアヴォイド・ノートという。
関連項目
類似する和音
長三和音
メイジャー・シックスス
音階
長調、長音階
旋法
特性音
その他
和声
ポピュラー和声
テンション (音楽)
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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