長くつ下のピッピ_(架空の人物)
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長くつ下のピッピ
2014年にモントリオールで開催されたコミコンで長くつ下のピッピに扮した人物。
初登場『長くつ下のピッピ』(1945年)
最後の登場『ピッピ 南の島へ』(1948年)
作者アストリッド・リンドグレーン
詳細情報
愛称ピッピ
性別女性
国籍スウェーデン人
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長くつ下のピッピ(ながくつしたのピッピ、: Pippi Langstrump)またはピッピ・ナガクツシタは、スウェーデンの作家アストリッド・リンドグレーンによる同名の児童書シリーズに登場する架空の主人公である。学校を休んだときに母親にお見舞いの話を頼んだリンドグレーンの娘であるカリンがピッピと名付けた。

赤毛でそばかすだらけのピッピは、型破りで、片手でウマを持ち上げられるほどの超人的な強さを持っている。彼女は遊び好きで、予測不可能である。理不尽な大人をバカにすることも多く、特に偉そうで人を見下したような態度をとる大人には怒りを感じる。怒りの感情は、人間がウマを酷使する時のような、極端な場合に現れる。ピッピはピーターパンのように、大人になりたくない。ピッピはバッカニアの船長の娘で、そのことについても冒険談を持っている。彼女の4人の親友は、ウマとサル、そして隣人の子供であるトミーとアニカである。

リンドグレーンの最初の原稿は、1944年にボンーニール社に断られた後、ラベン&シェーグレン社に受け入れられた。1945年から1948年にかけて、3冊の児童書(『長くつ下のピッピ』、『ピッピ 船にのる』、『ピッピ 南の島へ』)が出版され、その後、3つの短編の出版と多くの絵本化が行われた。これらの作品は2018年時点で76言語に翻訳され[1]、いくつかの映画やテレビシリーズも作られている。.mw-parser-output .toclimit-2 .toclevel-1 ul,.mw-parser-output .toclimit-3 .toclevel-2 ul,.mw-parser-output .toclimit-4 .toclevel-3 ul,.mw-parser-output .toclimit-5 .toclevel-4 ul,.mw-parser-output .toclimit-6 .toclevel-5 ul,.mw-parser-output .toclimit-7 .toclevel-6 ul{display:none}
人物

ピッピ・ナガクツシタは9歳の女の子である[2]。第1作目の始まりにごたごた荘(英語版)へ引越してくる[2]。小説では名前がないが、映画では「Lilla Gubben(ちっちゃな老人)」と呼ばれるウマと、ニルソンさんと呼ばれるサルと一緒に暮らしている。ピッピはすぐに、隣に住むセッターグレン家のトミーとアニカという2人の子どもたちと仲良くなる[3][4]。母親はピッピが生まれてすぐに亡くなり、父親のエフライム・ナガクツシタ船長は海で行方不明になり、最終的には南海の島の王様になっていた[5][6]。ピッピは、村の権力者たちが定期的に「子供の人生はこうあるべきだ」という文化的な期待に従わせようとするにもかかわらず、社会的な慣習にとらわれずに楽しく生きている[7][8]。エヴァ・マリア・メトカーフによれば、ピッピは「そばかすとボロボロの服が大好きで、野生の想像力を抑えようともしないし、礼儀作法を身につけようともしない」[8]。ピッピはまた、物語を語るのが好きで、それはしばしばほら話の形をとる[9]

アストリッド・リンドグレーンはピッピについて、「ピッピは、権力を持っていてもそれを乱用しない人に対する私の子供のような憧れを表している」と説明した[10]。ピッピは自称「世界一つよい女の子」であるが、紛争を解決したり、他の子供たちをいじめから守ったりするために非暴力を用いることが多い[11][12]。ピッピは、文芸評論家によって、「心が温かい」[7]、「思いやりがある」[13]、「親切」[14]、「賢い」[6]、「寛大」[7][15]、「遊び心がある」[16]、「大人の会話を凌駕するほど機知に富んでいる」[7]など、さまざまな表現がなされている。ローラ・ホーフェルドは、ピッピの「天真爛漫さは、利己主義、無知、そして顕著な嘘の傾向を伴う」一方で、「同時に寛大で、機転が利き、賢く、自分にも他人にも誠実である」と書いた[17]
創作の過程

伝記作家のイェンス・アンデルセンは、A・S・ニイルバートランド・ラッセルの理論のような1930年代の教育理論だけでなく、スーパーマンターザンのような「永遠に強いキャラクター」が登場する現代の映画コミックからも、ピッピはさまざまな影響と着想を得たことを示している[18]。神話や童話、伝説に加えて、文学的には『不思議の国のアリス』、E.T.A.ホフマンの『不思議な子』、『赤毛のアン』、『あしながおじさん』などからキャラクターのインスピレーションを受けている[18]。アンデルセンは、リンドグレーンがキャラクターを作り上げていた第二次世界大戦中の「人間嫌いで感情が乏しい時代」が最も大きな影響を与えたと主張している。アンデルセンによれば、原書版のピッピは「戦争の残虐さと悪に対する答えは、善意と寛大さとユーモアであるという、陽気な平和主義者であった」という[19]

ピッピは、リンドグレーンの娘カリンのために語られた枕元での物語に由来する。1941年の冬、病気で寝たきりになっていたカリンが、「ピッピ・ナガクツシタ(カリンがその場でつけた名前[20])の話をしてほしい」と言ったことから、リンドグレーンは「無限のエネルギー」を持った「決して敬虔ではない」少女の話を即興で作った[21]。子供の頃のカリンは、自分とは全く違う性格だと感じていたピッピよりも、アニカやトミーに親近感を持っていたという[22]。ピッピはリンドグレーン家の主役となり、カリンの友人やいとこたちも彼女の冒険を楽しんだ[21]。1944年4月、足首を痛めて療養中のリンドグレーンは、ピッピの物語を速記で書き上げた。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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