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『鎌倉河岸捕物控』(かまくらがし とりものひかえ)は、佐伯泰英による日本の時代小説シリーズ、またこの作品を題材としたドラマ。ハルキ文庫より書き下ろし作品として全32巻が刊行されている。
江戸の町を舞台にした捕物帳シリーズの時代小説であると同時に、江戸時代を生きた若者達の青春グラフィティでもある。作者である佐伯泰英の言によると、『江戸名所図会』に描かれた鎌倉河岸の豊島屋の風景を見たことが、この作品を生み出すきっかけであったという。武家地と町屋が混在した鎌倉河岸の地で、3人の10代の若者達が自分の居場所を探して成長していく過程を描いた物語を作ったら面白いのではないかと思ったとのことである。また、自分なりの捕物帳を書けないかと模索していた時に豊島屋のことを知り、豊島屋の周辺を調べたり散策したりして、金座のすぐ側に曰くのある御用聞きを住まわせてみようという着想を得て、そこからさらに設定を膨らませて、「金座裏に住む古町町人の御用聞きによる捕物帳」という物語の骨子が出来たそうである[1]。
1巻当たり1件か2件の大きな事件があり、その解決に奔走する途上で、小さな事件を解決するという構成が多い。また、町人を主人公に据えていることもあり、他のシリーズに比較して登場人物の身分・職業も多彩で、ユーモラスなやり取りも多い。
2010年に土曜時代劇で『まっつぐ?鎌倉河岸捕物控?』としてドラマ放映がされた。 時は寛政年間、ところは江戸・神田鎌倉河岸界隈。呉服屋松坂屋の手代政次、金座裏の御用聞き9代目・宗五郎親分の手先亮吉、船宿の船頭彦四郎らはむじな長屋で生まれ育った幼馴染であり、同じく幼馴染で酒問屋豊島屋の看板娘しほに想いを寄せる者同士でもある。職業も性格も違う3人だが、お互い張り合うことがありながらも、仲の良い若者たちである。 ある日、浪人であるしほの父が、御家人との揉め事で殺された。上手く立ち回った下手人がお構い無し(≒不起訴)となったことから、政次たちはしほの敵討ちを計画する。一方、母親の遺品から、しほが20年前に駆け落ちした川越藩藩士の娘であることが判明する。その直後から、しほの周囲を不審な男たちが出没し始めた。2人が駆け落ちした同じ日に、藩の城代家老と御用商人が謎の死を遂げていることが関わっていると考えた宗五郎は、しほの身を護るため、動き出す。
ストーリー
登場人物
主人公
政次(せいじ)
本作の主人公の1人。鎌倉河岸近くのむじな長屋で生まれ育った若者で、老舗の呉服屋「松坂屋」の手代。頭の回転が速く、度胸もあるところを宗五郎に見込まれ、松坂屋を辞して金座裏の跡継ぎとして迎えられることになる。御用聞きとしての経験を積み、また直心影流・神谷丈右衛門の道場に通って腕を磨くことで、立派な金座裏の跡継ぎとして成長していく。御用聞きになっても手代時代の口調が抜けないが、悪人相手に使うとある種の凄みが増す。盗まれた荷を取り戻し、事件を解決してくれた礼として、山科屋から銀製のなえしを譲り受け、それ以後、このなえしを御用に携えて行く。
亮吉(りょうきち)
金座裏の宗五郎の下で働く手先の1人。政次の幼馴染。小柄な体躯で活発に動き回るため、「こま鼠」または「どぶ鼠」の異名で呼ばれる。口達者で女好き、おっちょこちょいなところもあるが、金座裏やその周辺の人々から愛されている。政次が金座裏に迎え入れられた意味を下駄貫から教えられて動揺し、一時失踪した。
彦四郎(ひこしろう)
船宿「綱定」の船頭。政次の幼馴染。舟を操る腕は巧みで、彼を指名するひいきの客も多い。6尺(約180センチメートル)近い大男で、同じく長身の政次と合わせて「関羽・張飛」と並び称されることもある。
しほ
鎌倉河岸の酒問屋「豊島屋」の看板娘。本名・志穂。政次達の憧れの女性で、昔からの馴染み。その素性は元・川越藩士の娘。母譲りの画才を用いて似顔絵を描き、事件解決の一助とすることも多く、北町奉行所御用絵師となる。後に政次に嫁ぐ。
金座裏
宗五郎(そうごろう)
後藤家が御金改役を務める金座の裏に居を構える十手持ち。将軍家御目見の古町町人で、金座裏の親分と呼ばれる。「宗五郎」の名は9代目で、本名は周太郎。金流しの十手は先祖が金座先代から拝領し将軍の特別の許しを得た代物。
おみつ
宗五郎の女房。金座裏に住む手先達を束ねる、奥の取締り役。
八百亀(やおかめ)
金座裏の番頭格。本名は亀次で、女房が子供達と一緒に八百屋をしているため八百亀の名で呼ばれる。先代の8代目宗五郎の時代から手先を務める一番の古株。
下駄貫(げたかん)
八百亀に継ぐ古株。本名は貫六。下駄屋の倅だったが、家業を継がず宗五郎の手先となった。名は下駄屋の貫六を略したもの。自分より年下で新米の政次が金座裏の跡継ぎとなることを不服に思っていた。とある事件で独断専行し、それが原因で殺害される。
稲荷の正太(いなりのしょうた)
手先の1人。「稲荷」の異名は住んでいる長屋が稲荷社に接していることから。家は子沢山の大所帯。
常丸(つねまる)
若手の手先達の中の兄貴分。
伝次(でんじ)
手先の1人。
波太郎(なみたろう)
手先の1人。弥一が来るまでは金座裏の中で一番の若手だった。
だんご屋の三喜松(だんごやのみきまつ)
手先の1人。実家はだんご屋。
左官の広吉(さかんのこうきち)
手先の1人。元は左官。金座裏に来た当初は言動が鈍く、他の手先たちにからかわれることもあったが、その粘り強い探索への姿勢は宗五郎から評価されていた。
髪結い新三(かみゆいしんざ)
代々務めてきた金座裏の下っ引き。髪結いをしながら噂話を集め、探索に役立つ情報を集める。本シリーズでは、「下ッ引き」は手先とは区別され、御用聞きの身分を明かさず隠密に行動する御用聞きの手下とされている。
旦那の源太(だんなのげんた)
金座裏の下っ引き。もぐさ売りをしながら市中の噂話を集める恰幅の良い男。後に腰を痛めて引退。弥一の母親とできている。
弥一(やいち)
旦那の源太の相棒の小僧。源太が引退するのに伴い、金座裏に引き取られ、手先となる。
林 勘三郎(はやし かんざぶろう)
木更津の浪人の若者。夢想流居合を教える野地道場の住み込み門弟だったが、道場主が事件を起こして自裁した後、江戸に出て金座裏の手先になる。
菊小僧(きくこぞう)
金座裏で飼われているオスの三毛猫。
夏吉(かきち)
政次としほの子供。
豊島屋
清蔵(せいぞう)
鎌倉河岸の老舗の酒問屋「豊島屋」の主人。豊島屋は幕末期に鎌倉河岸に実在した酒卸で[2]、主に灘の下り酒を商っているが、酒の肴の田楽と、3月に仕込まれる白酒で著名。「山なれば富士、白酒なれば豊島屋」と賞賛されている。店の経営は女房と倅に任せっきりで、客達の相手をするのが道楽。中でも亮吉の捕物話を聞くのが大好き。
とせ
清蔵の女房。清蔵に代わり、店を取り仕切る。
周左衛門(しゅうざえもん)
清蔵の倅。先代の主人である清蔵が正式に隠居した後、10代目十右衛門を継ぐ。
庄太(しょうた)
豊島屋で働く小僧。かつて、家族を養うため、ちぼ(スリ)をしていたが捕まり、事情を知った宗五郎のはからいで豊島屋で働くことになる。このため、亮吉からはかなり後年まで「ちぼ」とからかわれていた。周囲からは「亮吉と比べるとどちらが大人かわからない」といわれるほど大人びた少年。
松坂屋
松六(しょうろく)
老舗の呉服屋「松坂屋」の9代目主人。店は息子に継がせ、隠居の身。
由左衛門(よしざえもん)
松坂屋の10代目主人で、松六の息子。宗五郎とは幼馴染。一時京に修行に出されていた。
おえい
松六の妻。
おけい
由左衛門の内儀。
おれん
松坂屋の一人娘。政次に惚れており、しほに敵愾心を抱く。テレビドラマ版にのみ登場するオリジナルキャラクター。
久蔵(きゅうぞう)
松坂屋の一番番頭。
綱定
おふじ
船宿「綱定」の女将。元は吉原の新造。
大五郎(だいごろう)
綱定の親方。
町奉行所
寺坂 毅一郎(てらさか きいちろう)
宗五郎に手札(鑑札。十手持ちの許可証)を与えている北町奉行所の定町廻り同心。直心影流の免許皆伝の腕前で、神谷丈右衛門道場では政次の兄弟子にあたる。
新堂 宇左衛門(しんどう うざえもん)
北町奉行所筆頭与力。
新堂 孝一郎(しんどう こういちろう)
宇左衛門の嫡男。
今泉 修太郎(いまいずみ しゅうたろう)
北町奉行所の吟味方与力。
今泉 宥之進(いまいずみ ゆうのしん)
北町奉行所の元吟味方与力。息子の修太郎に跡目を譲り、隠居の身。
猫村 重平(ねこむら じゅうへい)
北町奉行所の手付同心。よく居眠りをしているので「居眠り猫」の異名で呼ばれる。過去の事件記録・刑罰などが全て頭に入っているといわれ、過去の事件の記録調査には無くてはならない人物。
牧野 勝五郎(まきの かつごろう)
寺坂毅一郎の上役の与力。
嘉門 與八郎(かもん よはちろう)
北町奉行・小田切の内与力(奉行の直属の家臣)。
小田切土佐守直年(おだぎりとさのかみなおとし)