鍵盤ハーモニカ
各言語での名称
英key harmonica,melodica
独Melodica
仏Melodica
中口風琴
分類
鍵盤楽器 気鳴楽器
音域
通常、2 - 3オクターブ
関連項目
鍵盤楽器
ハーモニカ
教育楽器
ピアニカ
メロディオン
鍵盤笛
鍵盤ハーモニカ(けんばんハーモニカ)は、楽器の一種で、ハーモニカと同じく金属のフリーリードを呼気で鳴動する鍵盤楽器である。ピアノ同様の鍵盤を備えるが、ハーモニカの一種である。
鍵盤と連動したバルブを開閉して特定のリードを確実に演奏することが可能だが、ハーモニカと異なり吸気で鳴らすことは出来ない。「ピアニカ」「メロディオン」などはメーカーの商標名だが、通称として一般的に普及している。「ケンハモ[注釈 1]」「鍵ハモ」「鍵ハ」などと略称する場合がある。
特徴.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}.mw-parser-output .listen .side-box-text{line-height:1.1em}.mw-parser-output .listen-plain{border:none;background:transparent}.mw-parser-output .listen-embedded{width:100%;margin:0;border-width:1px 0 0 0;background:transparent}.mw-parser-output .listen-header{padding:2px}.mw-parser-output .listen-embedded .listen-header{padding:2px 0}.mw-parser-output .listen-file-header{padding:4px 0}.mw-parser-output .listen .description{padding-top:2px}.mw-parser-output .listen .mw-tmh-player{max-width:100%}@media(max-width:719px){.mw-parser-output .listen{clear:both}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .listen:not(.listen-noimage){width:320px}.mw-parser-output .listen-left{overflow:visible;float:left}.mw-parser-output .listen-center{float:none;margin-left:auto;margin-right:auto}}鍵盤ハーモニカの音色「クラヴィエッタ」による独奏曲はアイルランド伝統音楽の"Rakes of Kildare"(キルデア県の熊手)。演奏者はトロイ・バナーッチ
映像外部リンク
プロによる演奏の例 Tango en skai by pianonymous
https://www.youtube.com/watch?v=IZ3Qb56UH_s
「鍵盤楽器」「吹奏楽器」「フリーリード楽器」の3点の特徴[1]を持つ。
鍵盤楽器であることから初心者でも音程が安定し、旋律も和音も演奏可能である。アコーディオンなど他のフリーリード鍵盤楽器と比較すると、蛇腹機構が無く軽便で取り回しが楽で、習得も容易で、廉価である。座奏や立奏、独奏や合奏など応用場面も広い。
日本では幼稚園や小学校の一斉授業や鼓笛隊など低年齢の教育楽器の印象が強いが[2]、表現力が豊かで、大人や演奏家も用いる本格的な楽器である[注釈 2]。
鍵盤ハーモニカはフリーリード楽器だが、現在は生産されていない電子鍵盤ハーモニカ (Hohner Electra-Melodica) など例外もある。これはリードではなくウインドシンセサイザーの原理を用いた電子楽器で、音色が自由に設定可能である。内蔵スピーカー、外部スピーカー、ヘッドホンなどから音を発するため、周囲に音を発せずに演奏を可能である。
歴史
ヨーロッパで開発メロディカ。楽器は縦笛と同様に、本体を両手で左右両脇からはささんで持ち、黒鍵は左手で、白鍵は右手でおさえて吹奏する。
息を吹き込んで金属製のフリーリードを鳴らして演奏する鍵盤楽器は、1829年にイギリスで発明されたシンフォニウム(コンサーティーナの原型)など、19世紀から存在した[3]。20世紀半ばまでの鍵盤ハーモニカの黎明期は、様々な試行錯誤がなされた。レバー式やボタン式、右手のボタン鍵でメロディーを演奏し左手のベース用レバーで伴奏を演奏する機種など、多種多様な機種が開発された[4][5][6]。
「世界最古の鍵盤ハーモニカ」は、コンサーティーナやアコーディオンと同じく1829年に最初の特許登録されている。「ピアノ・エオリアン」(piano eolian)は、フランスのフィリップ=オーギュスト・カイザー(Philippe-Auguste Kayser、1781年 - 1863年)が発明して1829年9月11日に特許を取得した鍵盤楽器だが、ピアノ式鍵盤、フリーリード、口で息を吹き込むための部品、など、基本的な構造は21世紀現在の鍵盤ハーモニカと変わらない[7][6]。19世紀のヨーロッパでは、「アルモニフォン」など鍵盤ハーモニカの構造を有する楽器が続々と発明された[8][6]が、普及せずに長く存在が忘れられていた。
商業ベースで成功し、世界で普及して定着した最初の鍵盤ハーモニカは、1957年にドイツのホーナー社が開発した「メロディカ」(Melodica) である[4][5][6]。メロディカ以降で現在の鍵盤ハーモニカと同じく「ピアノ式鍵盤」をもつ世界初のモデルは、1958年にイタリアとフランスで作られた「クラヴィエッタ」(Clavietta) である[5][9]。
当初は教育楽器として広まったが、1970年代にキーボード奏者であるオーガスタス・パブロが本格的に取り入れて以来、世界のプロフェッショナル演奏家らも用いる。 明治から昭和初期の戦前まで、日本の学校における音楽教育は「唱歌」すなわち生徒に歌唱を教えることを中心としていた。戦前の日本で器楽教育に取り組んだ教育者もいる。上田友亀 (1896 - 1994) は米国の音楽教育学者サティス・コールマン
日本における開発と普及
前史
戦後は、占領期の米国教育使節団の勧告もあり、日本の音楽教育は生徒に楽器の演奏や合奏を体験させる器楽教育を重視するようになった。生徒の個人持ちの楽器として、ハーモニカと縦笛(リコーダー)が注目され、国内の楽器メーカーはハーモニカの増産と販売促進に力を入れた[12][6]。
ハーモニカも縦笛も、教育楽器として適していたものの、鍵盤楽器にくらべると「和音や半音の演奏に制約がある」「鍵盤楽器なら生徒が自分の指の位置を目で見ながら音を出せるが、ハーモニカや縦笛はそれができない」などの点が不利であった。とはいえ、ピアノやオルガン、アコーディオンなどの鍵盤楽器を、生徒の個人持ちの楽器とすることは、価格の面からも困難だった。こうして、小学校の生徒が1人1台の個人持ち楽器にできるような、値段が安くて取り回しもよい鍵盤楽器に対する潜在的需要が生まれた。 ホーナー社のメロディカは、日本では1959年3月に娯楽雑誌の記事で紹介され[13][14]、1960年初頭から輸入販売が始まった。同時期にクラヴィエッタ[15]の輸入販売も始まったが、メロディカもクラヴィエッタも、日本の小売価格は非常に高価であった[13]。鍵盤ハーモニカ「クラヴィエッタ」と「メロディカ」を日本に最初に輸入した人物は、アコーディオニストで、楽器輸入販売会社社長の桜井徳二であった[16][6]。
ヨーロッパ製の鍵盤ハーモニカを輸入