[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

この項目では、農具・園芸用品のくわ(鍬)について説明しています。

植物のくわ(桑)については「クワ」をご覧ください。

その他の「くわ」を称する事物については「くわ」をご覧ください。

鍬(くわ)は、表土の掘り起こしに用いられる農工具の一種[1][2]農耕具であるとともに[1]、掘鑿(掘削)用手道具類にも分類される[2]。英語名でHoeと呼ばれる手道具に相当する[2]
概要

鍬は作業者が手で持って土を打ち起こす道具で、農耕においては(すき)とともに最も基本的な農具(開墾具)である[1]。土を掘るための人力の道具のうち、刃に対して柄をL字型に直角から鋭角に取り付けたものを鍬、刃と柄を直線上あるいは鈍角に取り付けたものを鋤という[3]

漢字については、古代中国では、日本のように土を打ち起こすタイプの鍬ではなく、土地を引き削るタイプで除草の為に用いられることが多く「鋤」と表記され、他の作業はによって行われる事が多かった。ところが、日本では鋤を牛が引く耕作道具であると誤解されて日本で農耕に用いられている「くわ」を表記する漢字は無いと誤認されたため、国字として「鍬」という字が創作されたという[4]

なお、「鋤」(spade)と同音の道具に「犂」(Plough)があるが、犂は牛馬に牽引させ作業者が後方から押して用いる道具である(プラウ参照)[2]。農耕用具のうち馬鍬は畜力を利用する器具で、馬鍬(水田の土塊を砕く代掻き具)のほか、車馬鍬(鬼馬鍬ともいう)、畝立馬鍬(畝立てに用いる)、飛行機馬鍬(畑用)などがあるが、通常の鍬とは区別され人力犂などに分類される[3]
歴史

農業は約1万5千年前に東南アジアで始まったイモ作農業に起源があるとされる[5]。農業が始まった当時の農具掘棒と鍬だけであった[5]。掘棒は採集や狩猟にも使用されていたのに対し、鍬にはその形跡がなく農業の開始とともに出現した農具と考えられている[6]

エミール・ヴェルトは鍬を、刃茎差込み式、リング柄式、撞木むすび式、屈曲柄式、旗むすび式、刃孔差込み式の6種に分類した[7]。このうち刃孔差込み式以外の5種の鍬はイモ作農業に使用されていたが、刃孔差込み式の鍬は穀作とともに使用されるようになった[7]。しかし、鍬がその機能を真に発揮するためには構造は刃孔差込み式である必要があり、刃孔差込み式の鍬が出現するまでは掘棒のほうが重要な農具であった[7]
各地の鍬
インド

紀元前2000年頃にはパンジャブで農具の発達がみられ、古代インドでは鍬とインド犂が主な農具であった[7]
中国

同じく紀元前2000年頃には華北でも農具の発達がみられ、古代中国では鍬と中国犂が主な農具であった[7]
日本平鍬備中鍬木製の鍬

本来は刃先まで木でできた木製農工具であった[1]。現代では鍬の柄は刃床部とは別の部品となっているが、木鍬と呼ばれる古い形式の鍬は、立木から刃床部と柄になる部分が適切な角度で生えている一木を切り出し、加工して作られた。木鍬に向いた木は探して見つける他に若い木を矯正して栽培された。鍬の柄作りは奥深い山村の産業であり、量産に向かず手間のかかる仕事だった[8]

3世紀から5世紀にかけて鉄製の打ちグワが出現した[9]

刃床部の一部で刃先と柄をつなぐ木製部分を風呂という[10]。形態的には「風呂」の有無により風呂鍬と金鍬に大別することが多い[11]

古代から伝統的に使用されたのは風呂鍬で、「風呂」と呼ぶ柄付きの木製鍬平があり、鉄製の鍬先をはめ込んだ鍬である[3]江戸時代になると中国からヒツ鍬が伝わったが、この鍬は鉄部の先端を四角いソケット状に加工して柄を差し込んだものである[3]。昭和になると四角い鍬平に柄を差し込んだ金鍬が普及し、ホームセンターなどで一般的に販売されている家庭菜園用の鍬は金鍬である[3]

その他、以下のような鍬がある。

備中鍬 - 先端が2本から5本の刃に分かれた鍬[10]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:21 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef