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熊本県の地名については「岱明町鍋」、「鍋村」をご覧ください。

鍋(なべ)は、調理器の一種で、おもに金属製で円形であり、把手(とって、ハンドル)やつるなどをつけることが多い[1]

なお「鍋」は、調理器具を指している場合と、調理器具の鍋を使って作る料理鍋料理、煮物料理、鍋物)を指す場合がある。「鍋を食べる」とは鍋料理を食べるという意味である。鍋料理に関しては鍋料理の記事を読んでいただき、当記事では調理器具の鍋について解説する。
概説

日本の特許庁の意匠分類定義カードによると、食材に火を通すための調理器具であり、煮物茹で物揚げ物等の調理法に利用される[2]

通常は円形で、金属製や陶製の容器で、主に調理目的や液体を保持する目的で使うものである。
歴史.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

この節の加筆が望まれています。

石器時代、およそ2万年[3]からそれ以上前、人類は土器を作り始め、その当初からの用法の一つは食物を煮炊きする鍋であったと考えられている。

日本では、縄文土器の基本形態である深鉢は、尖ったあるいは丸くなっている底の部分を土や火床の上に突き立て、周りで火を炊いて中身を加熱調理する鍋であった。その歴史は1万4千年前まで遡れる[4]

カルディウム土器新石器時代のもの。スペインバレンシア州で出土)

韓国で出土した新石器時代の鉢

縄文土器の深鉢

金属製の鍋は少なくとも青銅器文明紀元前2000年頃からエジプト、メソポタミア、中国でコルドロンに分類される大釜が使われ出した。中国では長い間使われ続け、戦国時代(紀元前403年 - 紀元前221年)の遺跡である随州曾侯乙墓からも、「」、「」といった煮るのに適した青銅器が出土している。釉薬を掛けていない素焼きの土鍋と違い、砂や灰でこすれば清潔が保て、熱の伝わり方も早く、焼き物と違って欠けたり割れたりすることが少ない金属製の鍋釜は便利であったが、当時は金属製の鍋を作るのは技術的にも大変だったため貴重品であった。

青銅の脚つき鍋。紀元前800年頃。(オリンピア博物館展示品)

スラブ9世紀-10世紀頃。

イギリス、1350年頃。(サマセット博物館)

の末期の

前漢の鼎。脚つきで蓋つきの鍋。紀元前1世紀

片手の鍋。6世紀。(韓国、国立中央博物館)
脚つきの金属鍋(19世紀)

金属製の鍋が貴重品だった時代は長く続き、ヨーロッパでは地域によってコルドロンの形状や大きさの差異は出たが、全般的に長らくコルドロンのみで作れる料理が一般的な食事とされ、1412年にロンドン在住のジョン・コールとジュリア・コール夫妻の主だった財産と言える重さ7キロのコルドロンは、当時の土鍋が1ペニーほどの時代に4シリング(1シリングは12ペニー)したとされる[5]。多種多様な鍋が一般的になったのはイギリスにおいては18世紀に入ってからである[6]
種類

特許庁の意匠分類定義カードの取手(ハンドル)に着目した分類によると、片手付きのもの[2](片手鍋)、両手付きのもの[2](両手鍋)、吊り手付きのもの[2]などがある。なお、日本料理のプロの調理人の世界ではやっとこ鍋(後述)のように取っ手がなくやっとこで掴んで扱うものもしばしば使われる。

また、付きのものと蓋無しのものがある[2]

一般には、熱源を併せ持っていないが[2]、電気鍋のように熱源を併せ持っているものもある[2]

次のような種類もある。圧力鍋
圧力鍋(あつりょくなべ)
鍋に蓋をして密閉し、蒸気が逃げないようにすることで内部の圧力を上げ、水の沸点を摂氏100度以上にして高温高圧で加熱する鍋。完全に密閉すると内部の圧力が高くなりすぎて危険なので、圧力調整弁が蓋に装備されており、一定の圧力が保たれる仕組みになっている。
保温調理鍋(ほおんちょうりなべ)
保温性が高く、短い加熱時間でも余熱を利用して効率的に調理できるように設計された鍋。

サバイバルやキャンプなどでしか使われない特殊なものだが、ビニール袋鍋という、ビニール袋に食材と水分を投入して焚き火などの直火にかけるものもある。
材質の種類と特徴

近年普及が進んでいるIHヒーターは、非導電体である土鍋やガラス製の鍋は原則的に使用できない。鉄系素材とは相性がいいが、アルミや銅などの非磁性金属は使用できない製品もあり、できても加熱効率が劣る。土鍋用などとして、鍋底に沈めて使う発熱用円形プレート(ステンレス製)があり、これを用いれば加熱可能であり、一部商品では鍋本体に最初から付属している。
陶器
陶器製の鍋は世界各地にあり、アフリカヨーロッパアジア北米中米南米などにある。中国では「砂鍋」といい、日本では「土鍋」という。火のあたりが柔らかく、保温性が高いのが特徴。お粥おでんなど弱火で長時間煮込む料理に適している。ただし衝撃に弱く、割れやすい。また急激な温度変化にも弱く、鍋底に水滴が付いている状態で火に掛けるとひびが入ることがある。目止めが必要なものとそうでないものがある。

陶製タジン鍋の製作(アフリカ、モロッコにて)

スペインや南米などの陶製鍋

スイス、フランス、ベルギーなどの陶製のフォンデュ鍋

中国の陶製鍋

日本の土鍋

メソアメリカ、en:Tecoaqueの陶製鍋(現在の中央メキシコあたりで出土)
石鍋(トルソッ)

世界各地の料理で使われている。石材としては、長水石などが用いられる。九州沖縄県では室町時代まで滑石製石鍋が使用された。朝鮮料理でもトルソと呼んで使用し、石焼きビビンバは代表例となっている。日本では鍋物、石焼き丼、石焼きオムライス、石焼き中華丼、石焼きカレーなど。銅鍋(写真手前や右側)

実用できる材質の中で最も熱伝導率が高く、効率の良い加熱ができるので鍋の材質として理想的なものである。しかし材質的に柔らかいので傷が付きやすく、酸化や電気腐食が起きやすいため、手入れには手間が掛かる。そのため、現代の銅鍋の内側にはのメッキが施されており、内側が銀色に輝いている。展性に優れていることから鍛造成型されることが多かった。鍛造鍋は鋳造より薄く軽いが、製造には技術力と手間を要する上、地金の銅も鉄より高価であるため高級品であった。安価なプレス成型の雪平鍋に鍛造の鎚跡を模したパターンが成型されているのも、高級品であった名残である。現在でも細々ながら職人の手で製造が続けられており、本物の鍛造鍋は仔細に観察すれば、(製作者の技量レベルにもよるが)鎚跡が完全に一定にはならないのでプレス成型と区別できる。銅製の調理器具で調理すると料理に銅イオンが染み出す。銅イオンは卵白の泡を安定させたり緑野菜の色を鮮やかにする効果がある反面、人体から排出されにくく大量に摂取すると胃腸障害や肝障害を起こす危険性がある。よって、内側が錫メッキされていない銅の調理器具を毎日使うことは勧められない[7]

古くは鍋の材料として最も多用されていた。丈夫でにも強く、のなじみがとても良いため,強火と油を多用する中華鍋の材料としては主流である。使用することで鉄分の補給ができ、熱伝導率も比較的良好である。錆びやすいこと、重いことが欠点。鋼板プレス加工したものと鋳物(鋳鉄)製のものがある。鋳鉄製は厚みがあるため特に重いが、厚みにより熱分散がおこなわれ、均一で安定した加熱ができること、また熱容量が大きいため、食材投入時の温度低下が少ないという特長がある。過去には鋳鉄鍋は銅鍋よりも廉価な普段使いのものが多く、これの補修を請け負う鋳掛屋が各地で行商していた。現代の鉄鍋は大部分が鋼板プレス製に取って代わられ、鋳鉄鍋は逆に南部鉄器のような高付加価値の工芸品として生き残っていたが、今ではその調理性能の高さから再評価され普及しつつある。鋼板製、鋳鉄製のいずれも、近代以後は防錆力を高めるため表面に琺瑯加工を施した製品が市販されている。中華鍋のようなコーティングされていない鉄鍋は腐食や焦げ付きを起こしやすいため、新品をおろした時には空焼きや鍋ならし(シーズニング)といった表面処理を行う場合がある[8][9]ステンレス鍋
ステンレス
錆に強く、硬さと耐衝撃性もあり、一般的な鍋の材質としては最も耐久性に優れる。アルミ材に比べプレス成型にはより高い技術を要するが、現在ではアルミと並ぶ鍋素材の主流となった。表面を磨いた鏡面仕上げはステンレス材の特権と言える。熱伝導率が悪い欠点があるため、後述の多層底構造で改善を図り、加熱性能をアルミ鍋や鉄鍋に近づけている。
単層鋼
熱伝導率が非常に悪く鍋の材質としてはあまり好ましいものではない。調理時間がかかる。熱ムラにより食材が焦げやすい。
全面多層鋼(クラッド鋼
外側の部分にステンレスを配置し、内側にアルミなどのより熱伝導率の良い材料をはさみ込んで、圧延することで一枚の板状に加工した材料。断面を見ると、サンドイッチ状に複数の材質が重なり合って結合しているのを見ることができる。各材質は熱伝導率が異なるので、境界面で水平方向に熱の拡散がおきて、結果的に鍋全体が均一に加熱されることになり加熱むらが出にくい。複合層は3層、5層、7層のものが多く、これ以上に多層のものもある。
多層底
単層鍋の底の部分のみ多層構造にしたもの。全面多層鋼鍋より安価。加熱ムラは、底面は少ないが、側面(特に底に近い下部)に出やすく焦げ付きの原因となりやすい。
アルミニウム
現在、ステンレスと並んで鍋に多用されている材質である。銅につぎ熱伝導率が高く、軽く、錆びにくい。展性にも優れているのでプレス成型で安価に大量生産が可能。だが、柔らかで傷が付きやすいという欠点がある。に弱いので、耐蝕性を高めるためアルマイト加工が施された鍋も多い。業務用寸胴鍋のような大型製品では軽さのメリットが代えがたく、依然主流を占める。以前より家庭用アルミ鍋では内部をフッ素加工したものが販売されているが、近年はコーティング技術の進化により高耐久になってきたため、業務用としても使われ始めている。ホーロー鍋
琺瑯(ほうろう、ホーロー)
鉄や銅製の鍋の上に、ガラス質の釉薬の層を焼き付けたもの。腐食に強く、金属鍋にはない独特の美しさがある。熱伝導率の高い金属を使用しつつ耐食性もあるというのもメリットである。欠点は加熱直後に水につけるなどの急激な温度変化や、衝撃を受けると表層の釉薬に小さな破損(欠け)が生じることである(だが中身の金属部分は大丈夫で鍋としての機能には問題が無いので、小キズを気にしなければ使い続けることができる)。50年ほど前は鋼板製のホーロー鍋はかなり広く使用され、たいていの家庭にあったが、アルミ鍋やステンレス鍋が一般に普及するにつれ減ってきた。しかしル・クルーゼに代表される鋳鉄製ホーロー鍋は、その調理性能の高さ(「鉄」の項参照)に加え、陶製鍋より頑丈で腐食に強く、琺瑯にはあざやかな色のものもありファッション製も兼ね備え、高価にもかかわらず料理好きたちの支持を集め、近年は日本でも人気である。耐熱ガラス鍋
耐熱ガラス
性質は土鍋に近く、中身の様子が確認しやすいという長所が挙げられる。欠点は、やはり衝撃に弱いこと。本体よりも耐熱性の要求が緩い鍋蓋に関しては多く用いられる。
チタン
鍋の材料として利用されるようになったのは比較的最近であり、しかも用途は限定されている。精錬加工が難しいことから高価で、熱伝導率は極めて悪く、調理器具としては評価は低く、通常の料理店や家庭の厨房では使われない。重さは鉄の約半分でアルミより固いという特徴があり、軽量性が非常に求められる登山用のコッヘルの鍋など限定された用途で使われていたが、現在では30 cmを超える業務用中華鍋の販売も見受けられる。錆に強い。
シリコン
電子レンジで加熱することを前提としており、直火は使用できない。蓋付きであり、無水調理(蒸し料理)や、袋麺のインスタントラーメン調理などに使用する。多くが蒸し器の一種と言えるが、このシリコンスチーマーの大半が鍋型をしており[注釈 1]、一部の商品では鍋として販売されている。


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