鋼鉄ジーグ
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イタリアのヒーロー映画については「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」をご覧ください。

鋼鉄ジーグ
ジャンルロボットアニメ
アニメ
原作永井豪安田達矢ダイナミック企画
監督明比正行[注釈 1]
脚本山浦弘靖藤川桂介安藤豊弘
キャラクターデザイン中村一夫[注釈 3]
音楽渡辺宙明
アニメーション制作東映動画
製作東映NET、ジャパド
放送局NET系列
放送期間1975年10月5日 - 1976年8月29日
話数全46話
テンプレート - ノート
プロジェクトアニメ
ポータルアニメ

『鋼鉄ジーグ』(こうてつジーグ)は、1975年昭和50年)10月5日から1976年(昭和51年)8月29日まで、NET(後のテレビ朝日)系列で毎週日曜日18時00分から18時25分に全46話が放送された、原作:永井豪安田達矢ダイナミック企画、製作:東映動画によるロボットアニメ、および作品内に登場する架空の人型巨大ロボットの名称。

サイボーグ化した主人公が変形した頭部パーツに、磁石の力で体の各種パーツが合体して巨大ロボットになるというコンセプトが特徴。

なお2007年4月5日よりWOWOWで放送された『鋼鉄神ジーグ』は“(アニメ版ではなく)月刊『テレビマガジン』に連載された漫画版の続編である”とされている[1]が、旧作とはストーリーや設定に大きな違いや矛盾があり[注釈 4]、実際には漫画版・TVアニメ版のどちらとも繋がっていない。
作品解説

この時期、東映動画で制作体制の再編成が行われ、横山賢二プロデューサー率いる『マジンガー』系列のスタッフが本作を、勝田稔男プロデューサー率いる『ゲッターロボ』のスタッフが『UFOロボ グレンダイザー』を担当した[注釈 5](詳細は「UFOロボ グレンダイザー#スタッフ」を参照)。そのため、『グレートマジンガー』の戦闘を重視したハードな空気は本作に受け継がれている。また主人公の宙のサイボーグとしての宿命や敵側の悲劇など、ストーリーもかなり過酷かつ壮烈なものだった。

放映フォーマットは1972年に制作・放送された『デビルマン』を始めとする、『ミクロイドS』、『キューティーハニー』と同様に、放送時間枠に応じた26分バージョンと30分バージョンの2つのタイプが作られた。その理由は、キー局(CMを含めて26分)と一部ローカル局(CMを含めて30分)における放送時間の相違に、正副主題歌と予告編のサイズを調整することで対応したことによる。時間が比較的短かったキー局と一部同時ネット局[注釈 6]ではOPが1分、次回予告が15秒のうえEDが完全にカットされた。その一方で、遅れネット局を中心としたローカル局ではOPが2番まで[注釈 7]の2分、EDにいたってはフルコーラスで2分50秒、次回予告も1分25秒と長めであった(ただし、26分バージョンで放送したキー局と一部系列局でも、後の再放送時には30分の放送枠であることが多かったことから、30分バージョンが使われた)。[注釈 8]

国内放映後、海外にも輸出された。イタリアでは人気の高いアニメ作品であり、日本版オープニングテーマはルノーCMにも使われ、イタリア版オープニングはイタリアロック界の重鎮ピエロ・ペルーなどがカヴァーしている。2016年には「鋼鉄ジーグ」が物語の重要な要素である映画『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ[注釈 9]が製作され、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞の新人監督賞、主演・助演男女優賞を総取りする等、計7部門を受賞した。

以下、TVアニメ版をベースに、原作漫画ならびに適宜コミカライズについても差異を説明する。
ストーリー

考古学者の司馬遷次郎は発掘した銅鐸から、古代日本を支配した邪悪な国家「邪魔大王国(じゃまたいおうこく[注釈 10])」と「女王ヒミカ」[注釈 11]の復活を察知していたが、ある日突然、銅鐸の奪還をもくろむヒミカ配下の者たちの襲撃を受け死亡する。だが優秀な科学者でもあった遷次郎は、予めコンピュータ・マシンファーザーに自身の意識と記憶を残し、邪魔大王国に対抗するための基地ビルド・ベースと巨大ロボット・鋼鉄ジーグを建造して、来るべき日に備えていた。一方、カーレースで大事故を起こしながら無傷であった息子の宙は、既に自身がサイボーグへと改造されていたこと、「鋼鉄ジーグ」として邪魔大王国と戦う宿命にあることをマシンファーザーに告げられる。宙が頭部に変身し、磁石の力で全身のパーツと合体することで完成する「鋼鉄ジーグ」は、日本の支配をもくろむ邪魔大王国と、その巨大兵器・ハニワ幻人(げんじん)に立ち向かう。
キャラクター
ビルド・ベース

司馬遷次郎博士が邪魔大王国の侵略に対抗するために建造した、鋼鉄ジーグとビッグシューターの基地。研究所と呼ばれることもある[ep 1]。所在地に関して明確に語られたことはないが、「西海山麓」「西海神社」「西海谷」「西海県立博物館」といった「西海(さいかい)」の付く名称が頻繁に登場することから、九州は長崎県西海市付近をモデルとしていると思われる[注釈 12]。西海市自体は2005年の誕生であるが、この地域ではそれ以前から「西海」が地域名として使われている。
司馬 宙(しば ひろし)
声 - 古谷徹主人公。サイボーグであり、父の遷次郎が発掘した邪魔大王国の重要な秘密を握る「銅鐸」を体内に隠されている(詳細はメカニックの銅鐸の項にて後述)。「鋼鉄ジーグ!」または「チェンジ・サイボーグ!」の掛け声と共に手にはめた専用グローブの拳を突き合わせると、等身大のサイボーグ体になる。サイボーグからさらに体を丸めた体勢をとると、巨大ロボット「鋼鉄ジーグ」の頭部に変形する。自分でも知らない内に父にサイボーグに改造されており[注釈 13]、当初はサイボーグ体への変身やジーグ頭部への変形も、ペンダントとともに遺されたグローブの力によるものだと思っていた[ep 8][注釈 14]。月刊『テレビマガジン』に掲載された宙の全身透視図には、司令コンピューターや超小型発電機が内蔵されているなど、メカニカルな内部構造が描かれている[13][注釈 15]が、第3話をはじめ第15、17、24、26、31、34、41話などで食事を摂っているシーンがある[注釈 16]ほか、火傷を負って救急箱を手にした菊江に手当てを受ける[ep 9]、傷口から血が出る[ep 10]、胸に矢を受けて負傷し輸血をされる[ep 11]、特訓の過労で倒れた宙が一般の病院に運ばれて精密検査をされることを、菊江も美和も問題視しない[ep 12]など、変身前の宙の肉体は(第1話での不死身ぶりや、第11話で湖の底に1時間近くも沈んでいても死なないといった点を除けば)生身の人間と何ら変わりがないのでは、と思える描写が多い[注釈 17]。実際、宙本人や周囲の人物が、サイボーグに改造されていることを気づかなかったほどなので、飲食や排泄・発汗・睡眠といった生理現象や、火傷・出血・それらの自然治癒などは、生身の人間と同様にあるのではないかと推察される。なお、ジーグに変身することは邪魔大王国には物語冒頭から知られており、本人や家族を付け狙われるが、一般人からそのことを問いただされても否定している(第5話)。設定年齢は18歳[15]。本職は自動車整備工場「司馬モータース」の経営だがカーレースにも情熱を向け、夢は日本一のレーサーになること[ep 13][注釈 18]であり、フォーミュラカーからスポーツカータイプまでカテゴリーを問わず、暇を見つけてはレースに出場している[ep 14]。高校時代は柔道部だった[ep 15]こともあり、変身せずともアマソと互角以上に渡り合うこともできる[ep 2]ほど格闘能力が高い。熱く突っ走りがちな性格から、なかなか自分の運命を受け入れられず遷次郎に反抗的な態度をとることも多かったが、その一方で父の気持ちを理解したいという気持ちも持ち合わせていたようである[ep 16]。家族思いゆえに、家庭を顧みず研究に没頭する父に強く反発し家を出て自活しており(第1、3話)、鋼鉄ジーグとなってからもビルド・ベースの所員とはならなかった。父の真意を知り徐々に鋼鉄ジーグとしての使命に目覚めていくが、第13話で自身がサイボーグであることを打ち明けられ、さらなる苦悩に見舞われる。世帯主として家族を養うことに強くこだわり、明確な言及は無いがビルド・ベースからの援助は断っていると思われる[ep 17]。永井豪原作のロボットアニメでは珍しく社会人(他は高校生がほとんど)の主人公であり、実生活との葛藤が本作の一つのテーマであった。次回予告のナレーションも担当しており、予告の最後には「○○(次回のサブタイトル)にチャンネル・セット!!」と叫ぶのが恒例となっていた。原作である『テレビマガジン』版漫画ではサイボーグになった経緯がまったく異なる。邪魔大王国の秘密を知る司馬博士を抹殺しようとした、イキマによる襲撃に巻き込まれるような形で死亡したその直後に、瀕死の司馬博士の手によってサイボーグに改造され蘇生している。そのため(元から親子関係は良好だったこともあり)TVアニメ版のような父への反発や対立は存在しない。TVアニメ版ではキーアイテムであった銅鐸も、物語冒頭で司馬博士によって発掘されるシーンに登場するだけで[16]、宙の体内に隠されているといった秘密もない。こうした背景から、戦いに対する迷いや葛藤に悩むことが多かったTVアニメ版に対し、原作漫画では当初から邪魔大王国を倒して平和を守る、という信念と使命感を強く抱いている[17]。また、宙が電撃のような磁流波エネルギー[注釈 19]を浴びる様子を指して、美和が「これが宙にとっての食事」と説明するシーンがあり[19]、ティーカップを前に「はらぺこだ」などと寛ぐシーンはあるものの[20]、サイボーグに改造された宙にTVアニメ版のように食事が可能かどうかは不明[注釈 20]。なお宙は殺害される直前のその日に国際グランプリレースで優勝し、世界一のレーサーになっている[21]
卯月 美和(うづき みわ)
声 - 吉田理保子 / 吉田美保スーパーロボット大戦シリーズ)ビッグシューターのパイロット。宙からは「ミッチー[22][23](もしくはミッチ[24])」の愛称で呼ばれている[注釈 21]。幼い頃に両親が行方不明となり、司馬家に引き取られて宙とは兄妹同然に育った(そのため菊江には母の、遷次郎には父の面影を抱いている)[24][注釈 22]。やがて司馬博士の助手を務めるようになり、邪魔大王国の復活を予期して寝食を忘れて備えを急ぐその姿を見て、自分も戦いに青春を捧げることを決心しビッグシューターのパイロットに志願した[ep 18]。格闘能力も高く、ハニワ兵士程度なら倒すことが出来る[ep 19]。普段は黄色いワンピースに白いストレッチタイプのロングブーツ着用といういでたちであり、ビッグシューターを操縦するときもそれは変わらない。ヘアバンドは単なるアクセサリーではなく、両端のスイッチを押すと電動でバイザーが下降し、ビッグシューター搭乗時のゴーグルとなる。司馬博士の妻・菊江からは娘のように可愛がられ[ep 20]、菊江から授かった着物姿も披露している[ep 21]。対する美和もふだんは「おばさま」と呼んでいる菊江が人質に取られ、危機に陥った折には「お母さん!私のお母さん!」と彼女への強い想いを口にした(第39話)。宙への恋愛感情の描写はなく、当の宙の側からも家族同然であったり親しい間柄である以上の表現はされていない。宙・まゆみ・菊江に加えチビと美和の5人で司馬モータースに住んでおり[31]、そのため宙からは居候(いそうろう)呼ばわりされたこともある[ep 22]。美和がどの段階で引っ越してきたのか(菊江やまゆみと同じタイミングか)、またそれ以前は司馬邸に住んでいたのかなど詳細は不明。原作漫画での美和は、生前の司馬博士の助手であったことや、ビッグ=シューターのパイロットである点はアニメ版と同じだが、容姿・服装・性格のすべてが異なっており、肉親も兄が存命[32]である。そのためアニメ版のように幼い頃に司馬家に引き取られたといった描写も無く、プライベートは不明。
司馬 遷次郎(しば せんじろう) / マシンファーザー[注釈 23]
声 - 村瀬正彦[注釈 24]宙の父。25年前、九州の古墳で発見した銅鐸を分析して、異次元科学を駆使して古代日本を支配していた女王ヒミカと邪悪な「邪魔大王国」が、千数百年の眠りから覚める日が近いことを知り、これに備え対抗するための基地「ビルド・ベース」と「鋼鉄ジーグ」を建造した。本人は第1話で銅鐸の奪還に現れたイキマの襲撃に遭って死亡するが、生前に意識と記憶をコンピュータ「マシンファーザー」に遺していた。本来は考古学者であるが、息子の宙をサイボーグにしたり、巨大ロボットを作ったりと才能の幅は広い。宙とは彼が首に下げている「ジーグの頭を模したペンダント」で通信可能であり、戦闘時に限らず常日頃から宙に助言や叱咤激励を送る。大都社からリリースされた原作漫画では“司馬 霧次郎(しば きりじろう)”となっている[38][39]が、これは写植を改める際に生じた誤りと思われる。もともとの講談社KCコミックスではTVアニメ版と同じく“遷次郎”であった[40]
大利(ダイリ)所長[注釈 25]
声 - 田の中勇鋼鉄ジーグの基地「ビルド・ベース」の所長。遷次郎の死後に所長に就任した[注釈 26]。ふだんはマシンファーザーの指示のもと、ジーグ・パーツの整備や開発に勤しんでいるが、邪魔大王国との戦いでは戦闘指揮も執る。世界的に著名なロボット工学博士でもあり[34]、ドンとパンチョに懇願されてメカドン2号を無償で設計している[ep 24]


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