銀河英雄伝説の登場勢力
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .pathnavbox{clear:both;border:1px outset #eef;padding:0.3em 0.6em;margin:0 0 0.5em 0;background-color:#eef;font-size:90%}.mw-parser-output .pathnavbox ul{list-style:none none;margin-top:0;margin-bottom:0}.mw-parser-output .pathnavbox>ul{margin:0}.mw-parser-output .pathnavbox ul li{margin:0}銀河英雄伝説 > 銀河英雄伝説の登場勢力

本項では田中芳樹のSF小説『銀河英雄伝説』における登場勢力について解説する。
銀河帝国(ゴールデンバウム朝)

物語において自由惑星同盟と相対する二大勢力の1つ。通称「帝国」(「ライヒ」とルビがふられることもある)。首都はヴァルハラ星系惑星オーディン。政体は専制君主制(同時に貴族制)。元首は皇帝。貨幣単位は帝国(ライヒス)マルク。暦法は帝国暦。国名の帝国語表記はノイエ版では「GALAKTISCHES REICH」となっている[1]

物語開始の約800年前、人類は銀河統一政府(銀河連邦)を設立し、これを宇宙暦元年とした(西暦2801年)。それから約300年後に、軍人として名声を得た後に銀河連邦の議員となったルドルフ・フォン・ゴールデンバウムが疲弊した銀河連邦に嫌気が差していた世論の高い支持を背景に独裁政権を確立し、その後、宇宙暦310年に自らを神聖にして不可侵たる皇帝として銀河帝国を建国した。また同時に宇宙暦を廃して帝国暦に改めた。当初は立憲君主制で議会が存在したが、帝国暦9年の悪名高い「劣悪遺伝子排除法」から民衆の反発が強まるとこれを永久解散して専制君主制となり、いわゆる政治警察である社会秩序維持局を設立して共和主義者を主体とする反政府勢力など政治犯・思想犯の取締りや弾圧を行う。また自らの盟友を貴族に任命して国政に当たらせるなど貴族制を確立し、以降、本編開始となる帝国暦487年まで体制が維持されてきた[2]

ルドルフは貴族階級を創設する際に白人のみを選び、特権とともに古ゲルマン風の姓名を与えた。加えてルドルフは血統主義者だったために上記の貴族制以外にも「劣悪遺伝子排除法」を制定して遺伝病を持つ者、精神障害者、無能な者や貧しい者を社会から排斥した[2]。作中に帝国出身者として登場する人物は、すべてゲルマン・ドイツ系の姓名を持っている。服装や建築などは中近世ヨーロッパ風の出で立ちになっており、特に貴族階級や軍部は華美な装飾が目立つ。ノイエ版については19世紀プロイセン王国ドイツ帝国期風の出で立ちで、リヒテンラーデといった尚書(大臣)クラスも含め文官は背広であり、兵士はピッケルハウベ風のヘルメットをしている。

内政は、皇帝が親政を執る例を除けば文官筆頭の帝国宰相が司る。専門の各省庁(国務・軍務・財務・内務・司法・学芸・宮内・典礼)があり[3]、帝国宰相以下、国務尚書・軍務尚書・財務尚書といった形で皇帝が貴族の中から尚書(大臣)を任命するという形式を取る。本編開始時点では第31代皇帝オトフリート3世の皇太子時代の先例を憚って帝国宰相職を空位として代わりに帝国宰相代理が置かれ、国務尚書が兼務する[4]。また先述の通り、貴族制であり、公爵を頂点とする五爵(公・侯・伯・子・男)と、その下に帝国騎士(ライヒスリッター)といった爵位のない下級貴族がいる。特に帝国開闢以来の名門や、皇族に血筋が近い家柄は門閥貴族と呼ばれ厚く遇される。また、上級貴族は惑星や星系単位の領地を持ち、自治権を認められている(広くはフェザーンもこれに含まれる)。

軍事は三長官職(軍務尚書(軍政)・統帥本部総長(軍令)・宇宙艦隊司令長官)を筆頭とし、階級は近代軍隊制度に従い元帥を極位として、将校(将・佐・尉・准)に下士官と一般兵がいる形となっている。階級制度は同盟とほぼ同じだが、元帥は元帥府として独立した指揮権を持つことができたり、将官位に上級大将があるなどの違いがある。貴族制度との結びつきが強く、軍上層部には武門の名門が列したり、門閥貴族などの有力貴族が名誉職や形式(予備役)として元帥や将官位を持っていることがある。このため元々、大将以上のクラスに平民が任じられることはほとんどなかったが、同盟との戦いが始まると実力主義の必要性にも迫られ、特に第2次ティアマト会戦における高級軍人の大量戦死を受けて平民にも広く門戸を開くようになる[5]。本編開始時点ではミッターマイヤーのような例が見られる。常設の宇宙艦隊の数は全部で18個艦隊とされるが[6]、作中では貴族が私設艦隊を保有していたり、ラインハルトが元帥府を開いて独自の指揮系統を持つなどするため、同盟と比べてあまり意識されない。

男女間の格差などは特に明示されていないが、同盟と異なり、政界や軍部の幹部(将校)に女性はいない。また、一般兵士でも女性兵の登場はない。歴代皇帝も最後にラインハルトによって帝位につけられた幼帝カザリン・ケートヘン1世を除けば全員が男であった。ただし、リップシュタット戦役時に門閥貴族のブラウンシュヴァイクとリッテンハイムが自らの娘を帝位に着けようとしているなど、ラインハルトが最高権力者となるまで女帝が禁止されていたわけではない。また、第2代皇帝ジギスムント1世はルドルフの長女の息子であり、ブラウンシュヴァイクらの娘もフリードリヒ4世の娘の娘であるなど、男系という拘りもなかった。また、ヴェストパーレ男爵夫人マグダレーナのように女性が当主の貴族の例もある。

貴族や高級官吏らといった社会の特権階級によって平民が虐げられ、言論の自由が抑圧された独裁国家と描写され、同盟の「腐敗した民主政治」、後のラインハルト政権による「清潔な独裁政治」と対比して、議論の余地なく最悪な「腐敗した独裁政治」と呼称される[7]

作中ではリップシュタット戦役を経てラインハルトが軍部三長官及び帝国宰相として事実上帝国を掌握し、皇帝は名目上のものとなる[8]。その後、ラインハルトがバーラトの和約をもって形式上の銀河統一を果たした後、禅譲という形で新銀河帝国が成立し、滅亡する[9]
新銀河帝国(ローエングラム朝)

物語中盤においてゴールデンバウム朝から禅譲された形でラインハルトが興した新たな銀河帝国[注釈 1]。新銀河帝国とも。首都ははじめオーディンにおかれたが、すぐにフェザーン星系第二惑星フェザーンに遷都する。政体は専制君主制(皇帝親政)。元首は皇帝(事実上、作中では初代皇帝のラインハルトのみ)。暦法は新帝国暦。

第5巻の終わりにて、”神々の黄昏”作戦によって同盟を事実上降したラインハルトが帝国暦490年6月22日に最後の皇帝カザリン・ケートヘンから禅譲される形で成立した[注釈 2]。同時に暦法を新帝国暦に改める。基本的にはゴールデンバウム朝の体制を引き継いでいるが、ラインハルトによる皇帝親政として宰相(あるいは宰相代理)は置かれない。また、各省庁では貴族社会の利害調整を行っていた典礼省が廃止され、代わりに民政省と工部省が新設される(国務・軍務・財務・内務・司法・民政・工部・学芸・宮内)[3]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:50 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef