鉱泉分析法指針(こうせんぶんせきほうししん、最終改訂:2002年(平成14年)3月)は、環境省自然環境局が制定する行政指針である[1]。作成は公益財団法人中央温泉研究所が行っている[2]。温泉法は温泉を定義するが、鉱泉分析法指針では温泉・鉱泉および泉質を定義する。
鉱泉分析法指針は1951年(昭和26年)に旧厚生省により制定された。分析技術の発展に伴い1957年(昭和32年)には大幅な改訂が行われ、それまで物質に和名を使用していた泉質名が旧泉質名となり、IUPAC名に基づいた新泉質名が定められた。同じく技術の発展に伴い1997年(平成9年)と2002年(平成14年)にも改訂が行われた。また、1982年(昭和57年)には療養泉の見直しが行われた。目次
1 鉱泉の定義
1.1 鉱泉の分類
1.2 療養泉
1.3 療養泉の分類
1.3.1 塩類泉
1.3.2 単純温泉
1.3.3 特殊成分を含む療養泉
2 脚注
3 関連項目
4 参考文献
鉱泉の定義「鉱泉」も参照
鉱泉分析法指針では以下のように定義している。
「鉱泉とは、地中から湧出する温水および鉱水の泉水で、多量の固形物質、またはガス状物質、もしくは特殊な物質を含むか、あるいは泉質が、源泉周囲の年平均気温より常に著しく高いものをいう。」
温泉法による温泉では鉱泉のほか、地中より湧出する水蒸気およびその他のガス(炭化水素を除く)も含む[3][4]。
鉱泉は温泉法第二条別表に従い常水と区別する
鉱泉の定義(常水と区別する限界値)
温度(源泉から採取されるときの温度)摂氏25度以上
物質(下記に掲げるもののうち、いずれかひとつ)
物質名含有量(1kg中) 鉱泉が地上に湧出したときの温度、または採取したときの温度を泉温といい、次のように分類する。 鉱泉の分類泉温 鉱泉の液性を湧出時のpH値により次のように分類する 酸性pH3未満 鉱泉の浸透圧を、溶存物質総量または凝固点(氷点)により次のように分類する。 溶存物質総量(g/kg)凝固点 鉱泉のうち、特に治療の目的に供しうるものを療養泉とし、温度と含有物質により定義している。 物質名含有量(1 kg中) 療養泉は含有成分と利用に資する目的により次のように分類される。
溶存物質(ガス性のものを除く)総量 1000 mg以上
遊離二酸化炭素(CO2、遊離炭酸)250 mg以上
リチウムイオン(Li+)1 mg以上
ストロンチウムイオン(Sr2+)10 mg以上
バリウムイオン(Ba2+)5 mg以上
総鉄イオン(Fe2+ + Fe3+)10 mg以上
マンガン(II)イオン(Mn2+)10 mg以上
水素イオン(H+)1 mg以上
臭化物イオン(Br-)5 mg以上
ヨウ化物イオン(I-)1 mg以上
フッ化物イオン(F-)2 mg以上
ヒ酸水素イオン(HAsO42-)
(ヒドロヒ酸イオン)1.3 mg以上
メタ亜ヒ酸(HAsO2)1 mg以上
総硫黄(S)〔HS- + S2O32- + H2Sに対応するもの〕1 mg以上
メタホウ酸(HBO2)5 mg以上
メタケイ酸(H2SiO3)50 mg以上
炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)
(重炭酸そうだ)340 mg以上
ラドン(Rn)20 × 10-10 = 74Bq以上
5.5マッヘ単位以上
ラジウム塩(Raとして)1 × 10-8mg以上
鉱泉の分類
冷鉱泉25°C未満
温泉低温泉25°C以上34°C未満
温泉34°C以上42°C未満
高温泉42°C以上
弱酸性pH3以上6未満
中性pH6以上7.5未満
弱アルカリ性pH7.5以上8.5未満
アルカリ性pH8.5以上
低張性8未満-0.55°C以上
等張性8以上10未満-0.55°C未満-0.58°C以上
高張性10以上-0.58°C未満
療養泉
源泉から採取されるときの温度が25°C以上。
以下に示す物質のいずれか一種(1 kg中)
溶存物質(ガス性のものを除く)総量 1000mg以上
遊離二酸化炭素(CO2)1000mg以上
銅イオン(Cu2+)1mg以上
総鉄イオン(Fe2+ + Fe3+)20mg以上
アルミニウムイオン(Al3+)100mg以上
水素イオン(H+)1mg以上
総硫黄(S)〔HS- + S2O32- + H2Sに対応するもの〕2mg以上
ラドン(Rd)30×10-10Ci = 111Bq以上
8.25マッヘ単位以上
療養泉の分類
塩類泉(mval)値が一番大きいものとする。
塩化物泉 - 塩化物イオンを主成分とするもので、陽イオンの主成分により以下のように細別する
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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