鉄鼠の檻
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鉄鼠の檻
ジャンル
ミステリー伝奇
小説
著者京極夏彦
出版社講談社
レーベル講談社ノベルス
発売日1996年1月
漫画
原作・原案など京極夏彦
作画志水アキ
出版社講談社
掲載誌少年マガジンエッジ
レーベルKCマガジンコミックスデラックス
発表号2017年4月号 - 2018年11月号
発表期間2017年3月17日 - 2018年10月17日
巻数5
話数20
テンプレート - ノート
ポータル文学漫画

『鉄鼠の檻』(てっそのおり)は、日本小説家推理作家である京極夏彦の長編推理小説妖怪小説百鬼夜行シリーズ第4弾である。第9回山本周五郎賞の候補作となった[1]
あらすじ

姑獲鳥の夏』事件の後、久遠寺嘉親は東京を離れて箱根山中の旅館「仙石楼」に居候する。昭和28年2月、骨董商の今川雅澄は、「明慧寺」の僧侶との商談のために仙石楼にやって来る。また飯窪季世恵・中禅寺敦子・鳥口守彦は明慧寺を取材するために仙石楼に到着する。彼らの眼前に、突然足跡もなく、僧侶の他殺死体が出現する。また別ルートで、中禅寺秋彦と関口巽も箱根入りしていた。中禅寺は古書鑑定のために外出し、関口は宿で「歌う幽霊少女」や「鼠の僧」の怪異談を聞く。

仙石楼は死体発見で騒然となり、警察が呼ばれるも、久遠寺老は独断で探偵榎木津礼二郎に連絡してしまい、混乱を恐れた鳥口は、関口を仙石楼に連れていく。被害者は明慧寺の僧侶と判明し、取材班と警察は寺入りする。だが2人目の僧がさらに殺され、別の僧・桑田常信は次は自分が殺されると怯え出す。
登場人物
主要登場人物「百鬼夜行シリーズ#おもな登場人物」を参照

シリーズでは今川雅澄と益田龍一の初登場となる。
中禅寺 秋彦(ちゅうぜんじあきひこ)
陰陽師にして古本屋。奥湯本の山中に埋もれた蔵から見つかった和書と漢籍の鑑定のため箱根へ招かれる。博識であり、本作では仏教に対する十分な認識を持ちつつも、言葉言霊が容易に通用しない「不立文字」であるため、憑物落としの方法に苦慮する。
関口 巽(せきぐち たつみ)
小説家。中禅寺に誘われ、妻・雪絵、京極堂夫妻と共に箱根へ旅行する。そこで殺人事件に巻き込まれた鳥口に仙石楼へ連れていかれ、久遠寺嘉親と再会する。
榎木津 礼二郎(えのきづ れいじろう)
破天荒な私立探偵。特殊な能力を持っている。久遠寺に依頼され、仙石楼で発生した怪事件解決のため箱根に招かれる。
中禅寺 敦子(ちゅうぜんじ あつこ)
稀譚月報の編集者。僧侶に対する帝大の脳波測定検査に関連する取材で、鳥口守彦を伴って明慧寺を訪れる。
鳥口 守彦(とりぐち もりひこ)
赤井書房の編集者。撮影協力として、敦子・飯窪に同行。
明慧寺
円 覚丹(まどか かくたん)
68歳。明慧寺
貫主・禅師。明慧寺の主であり、非常に厳かな雰囲気の人物。弟子は博行と托雄。昭和3年入山。
小坂 了稔(こさか りょうねん)
60歳。四知事・直歳。臨済宗。外界と関わりを持つ唯一の僧侶で、他の知事からは破戒僧と言われていた。昭和3年入山。元々は鎌倉の立派な寺の僧だったが、上に疎まれて明慧寺に島流しにされてきた。明慧寺での暮らしが気に入らず、世間に曝して寺を壊そうとしていたとされ、常々寺を開いて経済的に自立すべきと云っていた。「無戒」こそ真の禅だと考え、何につけても反発し否定してかかる人物で、島流しになったのもその性格が災いしたためであった。小手先の技術になっていた公案を禅の堕落だと嫌い、朝課に出る以外は野放図で、立場を良いことに月に一度は山を降り、発見された書画骨董を売り払う事業に手を出していた。今川と骨董品の受け渡しを約束していたが、行方不明になり、4日後に坐禅を組んだまま凍り付いた撲殺遺体が仙石楼の庭に忽然と現れる。第1の犠牲者。
中島 祐賢(なかじま ゆうけん)
56歳。四知事・維那。曹洞宗。昭和10年入山。了稔とは比較的友好な関係だった。瞋恚煩悩は断ち難い(自分は怒り易い)と自覚している。道元禅師のように修行して悟ることを理想としており、自分の修行の完成のみに執心し、組織や教団は修行の役に立たない戯論だと厭うている。
桑田 常信(くわた じょうしん)
48歳。四知事・典座。曹洞宗。昭和10年入山。実家は寺ではなく、現実逃避で大学生だった昭和元年に自ら望んで出家した。厳格な師の下で10年修行するもどこにも到れず、そのまま昭和10年に名慧寺へと遣わされる。大戦を経て、高僧が幾ら厳しい修行を積んでも世の中は少しも良くならないことで迷いを感じている。祐賢とは懇意で、了稔を嫌う。2人が相次いで殺されたことで恐慌を来たし、鉄鼠に憑かれ、自分が殺されると怯える。
和田 慈行(わだ じあん)
28歳。四知事・監院であり、知客も兼任する。昭和13年に13歳で入山した明慧寺生え抜きの僧。臨済宗。尼僧と見紛うばかりの美僧。智念禅師の孫で、祖父の弟子の慧行のさらに弟子(孫弟子)に当たる。厳かで冷徹な精神の戒律至上主義者であり、外界と接することを極端に嫌う。それゆえ特に了稔を嫌っていた。中堅の若い僧侶が次々出征して戦死していったため、戦中に20歳程の若さで首座から監院に任じられた。
大西 泰全(おおにし たいぜん)
88歳。智念禅師の直弟子。大正15年、最初の住職として明慧寺に入山した人物であり、最年長の老師。臨済宗。好好爺風の枯れた老人。飄々とした面があり洒脱で、他の僧侶たちと比べると話が通じる。禅に科学も伝統も神秘性も必要ないという考えをもつ。関口や今川と会談して了稔の為人について話し、禅宗についての簡単な問答をするが、翌日の午後に便所に逆さまに突っ込まれた屍体となって発見される。第2の犠牲者。
加賀 英生(かが えいしょう)
18歳。祐賢の侍僧。入山4年で最も新参の僧。戦争で実家の寺と家族を失ったため、了稔の口利きで昭和24年に入山した。
牧村 托雄(まきむら たくゆう)
22歳。常信の侍僧。貫主の弟子。
杉山 哲童(すぎやま てつどう)
28歳。関東大震災の孤児で、乳飲み子の頃に仁秀に拾われ育てられた後、明慧寺の僧侶となった。非常に大柄だが、少し知能が遅れている。読み書きはできるが学力は小学生並みで、言葉も不自由ではあるものの、勤勉に作務をして、公案を一生懸命に考えている。
菅野 博行(すがの はくぎょう)
70歳。貫主の弟子。昭和16年入山。理由あって土牢に軟禁され、警察が来たときも秘匿されていた。実は『姑獲鳥の夏』で戦時中に久遠寺医院を失踪した元小児科医・菅野博行(すがの ひろゆき)。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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