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やノートページでの議論にご協力ください。鉄道標識(てつどうひょうしき)英語Railroad signとは、列車に対して運転条件等を示すものの一つである[1]。日本の「鉄道に関する技術上の基準を定める省令(以下技術基準省令とする)」では、信号・合図・標識に分類している。この省令において標識は、係員に対して、物の位置、方向、条件等を表示するものと定義している。また、この規定には当てはまらないため厳密には標識では無いが、運転上の目標や線路に関する情報が書かれたものを標と呼ぶことがある。 標識・標の様式・形状は各鉄道事業者により異なる。日本全国の標識全てを紹介することは無理があるので、本項では特記なければ鉄道に関する技術上の基準を定める省令の解釈基準(以下技術基準省令の解釈基準とする)に定められた標識を中心に日本の国鉄・JR各社で使用されているものを中心に記述する。大手私鉄を中心に比較的良く見られる標識も解説するが、系列関係にある私鉄同士(京成電鉄と京成グループ各社、阪急電鉄と能勢電鉄等)、あるいは系列で無くとも地理的に近い私鉄同士(関東鉄道とひたちなか海浜鉄道、近畿日本鉄道と三岐鉄道など)では、同じデザインの標識を使用しているケースが見られる。 この項目で特に断りなく白色灯と書いてある場合は、厳密な白では無く電球色を表している。 特に断りない場合は、漢字などの表記を技術基準省令の解釈基準の表記にあわせてある。 鉄道では様々な係員が作業を行っており、遠くからでも係員に列車の存在を示す必要がある。この際列車最前部と最後部に示す標識を列車標識と言う。列車標識の表示方法は、昼間と夜間によって異なる。 一般的に前照灯のことを言い、他の係員や公衆に列車の接近を知らせる目的で、列車最前部に表示している。 なお、前部標識(灯)は、自動車の前照灯とは異なり、夜間等に前方車両の後部標識を含む他の鉄道標識を照らす目的であり、前方の見通し区間を照らす目的ではない。夜間等に前部標識灯が全て切れた場合は、見通し区間で停止できる速度(概ね15 km/h)以下で進行しなければならない。また、高速運転をする電車や列車等は、安全のために前方の見通し区間をある程度照らす事ができる前部標識灯を複数備えたり、光軸の向きや光度の強弱を切替できるものも多い。 一般的に尾灯のことを言い、他の係員や公衆に列車の最後部があることを知らせる目的で、列車の最後部に表示する。 赤色灯、赤色円板又は赤色反射板を1個表示する場合は後面の左側に、2個表示する場合は、両側に水平に、それぞれ表示する。 なお、夜間等に2灯表示すべき場合であって後部標識灯が切れて1灯だけの表示となった場合は、運転指令に連絡し、後続列車の運転士にその旨を通告した上で運転を継続する。後部標識灯が全て切れた場合は、指令に連絡し、同一の停車場間に後続列車が続行して進入しないように抑止した上で、運転を継続する。 閉そく信号機は、場内信号機と出発信号機の形状が同じため、その識別のために設けられた標識[5]。現在の呼称になるまで、順に「自動識別標識」、「閉そく信号機識別標識」と呼ばれていたことがある[5]。運転士はこの標識によって閉そく信号機(許容信号機)であることを認識し、その番号で停車場間の運転位置の判断を行うことが出来る[5]。形状は「灯」と「反射材」のものがある[5]。この標識に表示される番号の規則は鉄道事業者によって異なり、「次の停車場に近付くに連れて番号が減る」「キロ程を10倍若しくは100倍して、さらに上り・下りによって奇数・偶数のいずれかを1の位に付ける」等の例がある[6]。 色灯式中継信号機には主信号機と区別するため設けられ、紫色灯1個の標識である[7]。 車内信号区間において、場内進路の始端を示す位置に設置する標識[8]。橙色の菱形に黒字の様式[9]。 車内信号区間において、出発進路の始端を示す位置に設置する標識[10]。白色正方形で黒字の様式[9]。 停車場内で入換を行う場合に、線路開通方向を示すために設置される[10]。入換作業を行う際に、転てつ器を直接操作するのでは無く他の場所で集中して取扱う場合、運転士が線路開通状況を確認するのが困難であるため入換標識が設けられる[11]。「灯列式」と「線路表示式」の2種類に分けられる[11]。 入換標識に附属し、開通している線路を示す表示灯を線路表示器と呼ぶ。灯器は、灯列式3進路用(Γ、T、¬)、数字式多進路用の機構がある。 「灯列式」は入換信号機と同一の機構を用い、入換信号機による入換運転区間が設定されている場合は「入換信号機識別標識」を用いる[11]。この機構を入換信号機として使用する場合は入換信号機識別標識は点灯し、入換標識として使用する場合は滅灯する[11]。入換信号機と異なり、進路上の車両等の有無を軌道回路によって確認しない[11]。そのため、入換標識は既に車両が存在する線路にも自由に進入できる[12]。 「線路表示式」は線路表示器としての機能を兼ねて、開通線路を的確に表示する[13]。「線標」と略される[14]。「灯列式」のように入換標識の設置箇所までその表示を確認する必要がなく、作業の効率化が図れる[15]。上越線石打駅で設置されたのが始まりで、番線表示が作業員全員に認識でき、線路間に入換標識を設置しなくてもよいため傷害事故防止を図れ、除雪作業の障害にもならないため好評であった[14]。 転てつ器の開通している方向を示す必要がある時に設けられる[16]。用途によって「普通転てつ器標識」「発条転てつ器標識」「脱線転てつ器標識」の3種類があり、サイズは大・中・小の3つある[16]。それぞれに「定位」と「反位」の表示がある[16]。なお、電気転てつ器の場合は普通、転てつ器標識は設置されないが、脱線転てつ器の場合は当該箇所の反位開通を遠方より視認する必要があるため電気転てつ器であっても必ず脱線転てつ器標識が設けられる[16]。転てつ器標識の上部には標識と結合された色レンズを入れた色灯があり、定位は青紫色、反位は橙色の灯火が視認できる仕組みになっている。ただし脱線転てつ器の定位時の灯火は対向側は赤色である[17]。なお脱線転てつ器の背向側はその性質上、背向で列車が進入することが無いため標識は省略され標識に付随する灯火も省略される。LED灯火になる前は1灯で4方向すべての明かりを賄った関係で普通転てつ器標識と灯具を共用し色レンズを抜いたため、白色灯が点灯しているように見えた。 白色方形板に黒十字のデザイン[18]。列車を停止させる限界は一般に出発信号機によって示されるが、「出発信号機を所定の位置に設置出来ない進路」又は「出発信号機を設けていない進路」で列車を停止させる限界の位置に列車停止標識が設置される[5]。反射板または灯により表示[19]。'列停(れってい)とも呼ばれる。 黒色方形板に白十字のデザイン[18]。車両の入換運転は入換信号機によって行われ、車両入換運転の行う区間の終端に設けられる[20]。反射板又は灯により表示[19]。ただし、車止標識が設けられている場合は省略される[20]。 本線や主要な側線の車止めに設ける標識[21]。反射板又は灯により表示[21]。構内の照明設備や車両の前部標識の灯具が改良されたことにより反射板のものが採用されるようになった[22]。 架線の終端に設置し、電気機関車や電車が誤って架線が無い区間に進入する事故を防ぐために設置される[23]。
概要
技術基準省令の解釈基準に定められている標識
列車標識
前部標識
昼間の方式…表示を省略することが出来る[2]。
夜間の方式…最前部車両の前面に、白色灯を1個以上表示する[2]。なお、地下区間および長大トンネルは夜間の方式で扱う。
前部標識
後部標識
昼間の方式…貫通ブレーキを使用しない列車については、最後部車両の後面に赤色灯または赤色円板を1個以上表示する[3]。これ以外の場合は、表示を省略することが出来る。
入換中の機関車が後部標識灯を1灯点灯させるのはこのためである。[4]
夜間の方式…最後部車両の後面に、赤色灯または赤色反射板を1個以上表示する。但し、移動閉塞、ATC、自動閉塞方式を施行する区間では、停車場間が1閉塞である場合を除き、2個以上表示する。なお、地下区間及び長大トンネルは夜間の方式で扱う。
後部標識
閉そく信号標識
信号機下の「1」の表示板が閉そく信号標識
中継信号機標識
一番下の紫色の灯が中継信号機標識
場内標識
場内標識
出発標識
下の「出」の表示板が出発標識
入換標識
入換標識(灯列式)。下に線路表示器が併設されている。
入換標識(線路表示式)
転てつ器標識
普通転てつ器標識
発条転てつ器標識
脱線転てつ器標識
列車停止標識
列車停止標識
車両停止標識
車両停止標識
車止標識
車止標識が設けられた車止め
架線終端標識
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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