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やノートページでの議論にご協力ください。鉄道の最高速度(てつどうのさいこうそくど)では鉄道における最高速度を解説する。日本の在来線最高速の160 km/h 制限(GG)を示す信号(北越急行)
ここでは日本の鉄道において、監督省庁の認可および設備・車両設計上の環境の下で、鉄道車両などが出すことのできる最高の速度について説明する。
鉄道においては列車を高速で走行させることよりも、列車を安全に停止させることの方が技術的に困難である。日本では鉄道運転規則によって、列車に非常ブレーキがかかってから600 m 以内に停止させる必要があった(600メートル条項)ため、営業最高速度はこれによって制限されていた。また、新幹線における200 km/h を超える最高速度は、新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為の処罰に関する特例法によって必要な措置を講じたうえで600 m 条項の例外とすることで実現したものである。在来線、第三セクター鉄道線、私鉄線においても、高架橋上、トンネル内、踏切がないなど、線区の事情に応じ、特認により最高速度を引き上げた例が見られる。
鉄道運転規則は2002年に廃止されたが、現在この関係条文は鉄道に関する技術上の基準を定める省令第106条の解釈基準において、非常ブレーキによる制動距離は600 m 以下を標準としているものの、防護無線など迅速な列車防護の方法による場合は、その方法に応じた制動距離とすることができるとしている。
ただし、線区の最高速度を引き上げるためには、走行する車両の性能向上ばかりでなく、道床と軌道の強化や、曲線におけるカントの扛上、速度制限のある分岐器の交換などの改良工事、信号システムの変更など、設備への投資が不可欠となる。近年では、その費用を鉄道事業者ではなく沿線の自治体などが第三セクターを設立して負担し、高速化を行う事例もしばしば見られる。
また、鉄道利用客が重視するのは最高速度よりもむしろ表定速度(距離 ÷ トータル所要時間)であり、所要時間短縮のためには、瞬間的な最高速度を上げるよりも全体的な速度向上の方が効果的である場合も多い。具体的には上述の設備投資のほか、車両面でも、線形の劣る路線が多い日本では、曲線通過速度を引き上げるため車体傾斜式車両や、最高速度を維持して走る定速運転が可能な車両を導入するなどの手段が講じられる。 実際の営業運転において定められている最高速度である。後述の設計最高速度が営業最高速度よりも高い場合であっても、回送列車を含め営業列車では営業最高速度以下の速度で走行しなければならない。
営業最高速度
線区(路線)最高速度
全国新幹線鉄道整備法にて定義される新幹線については以下のとおり。
2024年現在、東北新幹線320 km/h、山陽新幹線300 km/h、東海道新幹線285 km/h、上越新幹線275 km/h、 北陸新幹線と九州新幹線、北海道新幹線、西九州新幹線が260 km/hとなっている。新幹線における最高速度や制限速度は自動列車制御装置によって制御される。
山形新幹線、秋田新幹線には踏切もあり、法的には新幹線ではなく、新幹線乗入区間以外(在来線改軌区間)での最高速度は130 km/h である。
東北新幹線のうち大宮駅以南のルートでは曲線半径600 mから2,000 mの急カーブが連続し、線形上の制約により最高速度は110 km/hとされた。同区間は2021年3月13日ダイヤ改正で130 km/hに引き上げられた。
東海道・山陽新幹線の主力であった700系は、東海道区間270 km/h、山陽区間は騒音基準をクリアできないため300 km/h とはならず285 km/ hとされていた。なお同車の設計最高速度は340 km/h である。2007年からN700系が導入され、2010年3月13日ダイヤ改正以降すべての定期「のぞみ」が山陽区間でも300 km/h を出せるようになった。
東海道新幹線で全列車を285 km/hで走らせるにあたり、100系は騒音基準をクリアできないため220 km/hでの運転に留まり、東海道新幹線では2003年までに置き換えられ、その多くが寿命よりも早く廃車となった。
旧日本国有鉄道(現在のJR各社)の在来線において、各路線の該当する線路種別ないし線路等級に基づく最高速度。
線路種別が制定された戦前から戦後にかけては特別甲線(1級線)でも95 km/h であったが、151系・153系電車などの新性能電車が出揃った1958年(昭和33年)から東海道本線で特例を適用して110 km/h へ、さらに1968年(昭和43年、いわゆるヨンサントオ改正)から東北本線・高崎線・上越線・信越本線(宮内 - 新潟間)・北陸本線・山陽本線で120 km/h へと引き上げられた。
120 km/h 線区・区間は1970年代以降、鹿児島本線・常磐線・総武本線(快速線開通時)・中央本線・函館本線・信越本線(高崎 - 長野間)・阪和線・大和路線などへと拡大した。いずれもこの時点では、120 km/h 運転が行われたのは特急形電車(185系を除く)と181系気動車による特急列車のみである。その後、立体交差の湖西線 (130 km/h) 、国鉄分割民営化後に開業した海峡線 (140 km/h) などでこれを上回る速度での走行が開始された。
民営化以降、地平路線でも各地の主要幹線で、特急列車のみならず一部の普通列車(おもに快速列車)についても120 - 130 km/h 運転が行われるようになった。これは通勤形・近郊形電車や一般形気動車の飛躍的な性能向上(後述)に負うところが大きい。首都圏の一例としては、今や元々貨物線であった品鶴線でさえも、横須賀線や湘南新宿ライン、相模鉄道直通の列車が最高速度120 km/h で走る。
2024年現在、特急列車以外で130 km/h 運転が行われる路線および列車は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の常磐線(E531系電車)、東海旅客鉄道の中央本線[1](315系[2])、西日本旅客鉄道(JR西日本)の琵琶湖線・湖西線・JR京都線・JR神戸線(223系及び225系電車の新快速)、JR西日本・四国旅客鉄道(JR四国)の瀬戸大橋線・予讃線(5000系・223系5000番台の快速マリンライナー)などが挙げられる[3]。