金融緩和
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政策金利(せいさくきんり、: policy interest rate)とは、中央銀行金融政策として定める金利のこと。中央銀行が独立していない国家の場合は政府が定める。景気の過熱を抑えるために行われる政策金利の利上げを「金融引き締め(政策)」、景気を活性化させるための利下げを「金融緩和(政策)」という[1]

以下の短期金利などが対象となる。通常は短期金利だけだが、2016年9月から2024年3月まで日本は長期金利も対象となった。

銀行が中央銀行に預金する際の短期金利 - 日本は日本銀行当座預金金利

銀行が中央銀行から借りる際の短期金利 - 日本は補完貸付制度の基準貸付利率(公定歩合)

銀行間の翌日物の金利 - 日本は無担保コール翌日物金利、米国はフェデラル・ファンド金利

利下げ(金融緩和)
影響と効果

政策金利が下降させる利下げ政策(金融緩和)は景気を上向かせるために行われる金融政策である。政策金利が下がると、金融機関は以前よりも低金利で資金調達できるので、企業や個人への貸出金利を引き下げることが可能になる。また、金融市場は互いに連動しているため、金融機関の貸出金利だけでなく、企業が社債発行などの形で市場から直接資金調達をする際の金利も低下する連鎖が起きる。つまり、企業は、従業員への給与や仕入れなどに必要な運転資金、工場や店舗建設など設備投資に必要な設備資金を調達し易くなる。また、住宅ローン金利が下降するために個人も住宅の購入資金を借り易くなる。こうした連鎖効果で、経済活動が利下げ前よりも活発となり、景気を上向かせる方向に作用する。通貨流通の促進効果もあるため、物価に押し上げ圧力が働き、利下げしなかった場合よりも物価上昇率は高くなる[1]
マイナス金利政策・マイナス金利

ちなみに、「マイナス金利政策」とは中央銀行がデフレ対策のために行う金融緩和政策の一種である。 民間の金融機関が中央銀行に預ける当座預金の金利をマイナスにする。つまり、マイナス金利とは、通常金利のように中央銀行に「余分なお金を預ける」と金融機関が金利を逆に支払わければならなくなるため、金融機関の余剰資金が投資や融資などに流通するようにすることで景気を上向きに刺激する効果を狙う政策である[2]
利上げ(金融引締め)
影響と効果

政策金利が上昇する利上げ政策(金融引締め)は、景気の過熱を抑えるために行われる金融政策である。政策金利が利上げされた後は、金融機関は資金調達に以前より高い金利を支払うことになるため、企業や個人への貸出金利を引き上げる。つまり、企業や個人は資金を借りにくくなるために経済活動が抑制されて、景気の過熱が抑えられる。預金やローンの金利が上がるので、通貨の流通が抑えられるのと同時に、物価に押し下げ圧力が働き、利上げしなかった場合よりは物価上昇率が低くなる[1]
日本
公定歩合

公定歩合(こうていぶあい、: official discount rate)とは、日本銀行が民間銀行へ貸し付けを行うとき、適用される基準金利である。公定歩合を変動させることは日本の市中金利を変動させることと等しく、日本銀行は公定歩合を操作することで金融政策を行うことができた。そのため公定歩合は、長く日本の政策金利の役目を果たしていた。

1994年(平成6年)9月まで、政策によって日本における市中銀行の金利は公定歩合と連動するように規制されていた[3]。しかし、1994年(平成6年)10月に、民間銀行の金利は完全に自由化され[3]、公定歩合を利用して民間銀行の金利を操作することはできなくなった。日本の景気は悪化し続けており、従来であれば公定歩合を下げて金利を下げるべきだったが、日銀は1995年(平成7年)9月から2001年(平成13年)2月まで公定歩合を下げず、0.5%に据え置いたままだった。

市中銀行の金利自由化後は、公定歩合を操作する代わりに市中銀行が資金の運用と調達を行う金融市場の金利(無担保コール翌日物金利)を操作することで金融政策を継続。具体的には公開市場操作により、日銀が市中銀行から国債手形を買い取る買いオペレーション(買いオペ)を行い、金利を下げる操作を続けた。1995年3月までは、公定歩合はコールレートより低い水準に設定されていたため、公定歩合の操作は重要な意味を持っていたが、その後は公定歩合よりもコールレートのほうが低くなっている[4]
無担保コール翌日物金利の誘導目標の導入

1999年2月のゼロ金利政策により、無担保コール翌日物金利が誘導目標とされ政策金利の役割を果たすことになった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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