金田一耕助の冒険
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この項目では、横溝正史原作の映画について説明しています。横溝正史による短編小説集については「金田一耕助の冒険 (短編集)」をご覧ください。

金田一耕助の冒険
監督大林宣彦
脚本斎藤耕一
中野顕彰
原作横溝正史
(「瞳の中の女」より)
製作角川春樹
製作総指揮元村武
出演者古谷一行
田中邦衛
吉田日出子
坂上二郎
熊谷美由紀
江木俊夫
仲谷昇
音楽小林克己
主題歌センチメンタル・シティ・ロマンス
村岡雄治
撮影木村大作
製作会社角川春樹事務所
配給東映東映洋画[1]
公開 1979年7月14日
上映時間113分
製作国 日本
言語日本語
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ポータル 映画
プロジェクト 映画

『金田一耕助の冒険』(きんだいちこうすけのぼうけん)は、1979年公開の日本映画横溝正史の小説『瞳の中の女』の映画化で、大林宣彦監督、古谷一行主演。地方では『蘇える金狼』と2本立てで公開された[2]

なお、金田一耕助を主人公とする短編推理小説を集めた同名の短編集が、1975年に春陽堂文庫から、1976年に角川文庫から刊行されている。原作となった「瞳の中の女」はその収録作の一つである。目次

1 概要

2 あらすじ

3 その他

4 ギャグ・パロディ注

5 キャスト

6 スタッフ

7 脚注

8 関連項目

9 外部リンク

概要

盗まれた石膏像の頭部にまつわる連続殺人事件を金田一耕助の活躍で解決に導くミステリー・コメディ映画。『犬神家の一族』『悪魔が来りて笛を吹く』に続く、角川映画による金田一耕助シリーズの第三弾で、当初は番外編かつ完結編のつもりで製作された(後に『悪霊島』が続く)。原作となった短編『瞳の中の女』は、事件が完全には解決しないままで終わっている。その真相を解明し、ちゃんと結末を示そうというのが、本作の基本プロットになっている[2]

本作は1978年11月の日本公開時に「全編パロディー」との宣伝文句を引っさげて上陸したアメリカ映画ケンタッキー・フライド・ムービー』の影響を受けた一本である[3]。全編にわたって当時大ヒットしていた邦画洋画、過去の名画、CMや角川映画、歌謡曲などのパロディが盛り込まれており、日本初のパロディ映画といわれる[2]

テレビ版『横溝正史シリーズI・II』(毎日放送映像京都+三船プロダクション+大映(京都)+東宝 1977-78年)で金田一を演じて好評だった古谷一行が主演を務め、相棒の等々力警部に田中邦衛を配し、新ヒロインに熊谷美由紀(現・松田美由紀)を起用、低予算でありながら、他にも豪華なキャスティングを組んでいる。

友情出演として、原作者である横溝正史がセルフパロディを含む本人役、製作の角川春樹が団地の亭主、高木彬光が床屋の客、笹沢左保がテレビ局のゲストで登場しているほか、志穂美悦子斉藤とも子峰岸徹岸田森檀ふみら、これまで大林宣彦映画や角川映画に縁のあった俳優も、短いシーンながら数多く出演している。特別出演に、夏木勲(夏八木勲)が『白昼の死角』の隅田光一、岡田茉莉子が『人間の証明』の八杉恭子、三船敏郎が劇中劇の11代目金田一耕助、三橋達也が劇中劇の等々力警部としてクレジットされている。彼らの殆どが無償か無償に近い出演であった[4]

1978年暮、石上三登志責任編集の映画雑誌「映画宝庫」での石上とのリレー対談で、大林宣彦が当時既に悪評が高かった角川春樹を高評価してラブコールを送る[2]。角川がそれに応えて監督に、当時新進気鋭の大林を起用した[2]。角川はもとから黒澤映画のような大作と、アート系のローバジェット映画の両方をバランスよく作りたかったが、ビッグバジェットの方は撮ってくれても、ローバジェットの方は撮ってくれる人がいなかった[5]。角川はそれを黒木和雄長谷川和彦に撮って欲しかったが、「角川映画だけはやりません」などと言われ誰も撮ってくれなかった[5]。大林が手を挙げたので角川はとても喜んでいたという[5]。当時角川は10億だ、20億だと莫大な製作費を注ぎ込んで大作映画を撮っていて「角川春樹はうるさいプロデューサーだ」という噂で持ちきりだったが[5]、大林と角川は意気投合し、本作を大林初の角川映画として撮り、大林はその後1992年まで角川映画最多の6作品の監督を務める[2]。角川は「大金をかけて映画を作った」と批判されていることを認識していたため「お金をかけずに面白い映画を作ろう」と大林に持ちかけた[2]。本作のラスト近くで、プロデューサーの角川が原作者の横溝正史の家へトランクいっぱいの札束を運んできて、横溝が「こりゃあまた沢山ありますねぇ」と言うと、角川が「ええ、こりゃもう大作並ですから」と答え、横溝が、札束を一つ手に取ってみると、表の一枚だけが本物で中身は白紙の、贋の札束。すかさず横溝が「中身は薄いですなあ!」と言うシーンがあり、これは当時、誇大宣伝によって客は集めるものの、中身は薄いと言われ続けた角川映画のパロディであり、その批判精神を一番面白がったのは角川自身であった[6]。角川は「これまでやったことのない喜劇を、ぜひ一本作ってみたかった」「金田一シリーズの別冊付録であり、最後に番外編を一本やって区切りをつけたいと思った」、大林は「角川春樹と大林宣彦に対する非難のすべてをギャグにしてやろうという、たいへん身も蓋もない、多少ネクラな悪ふざけをやってみよう」と本作を作ったと述べている[2]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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