金時山
矢倉沢峠東側から仰ぐ金時山(2013年3月)
標高1,212.44[1] m
所在地神奈川県南足柄市、足柄下郡箱根町
静岡県駿東郡小山町
位置.mw-parser-output .geo-default,.mw-parser-output .geo-dms,.mw-parser-output .geo-dec{display:inline}.mw-parser-output .geo-nondefault,.mw-parser-output .geo-multi-punct,.mw-parser-output .geo-inline-hidden{display:none}.mw-parser-output .longitude,.mw-parser-output .latitude{white-space:nowrap}北緯35度17分23秒 東経139度00分18秒 / 北緯35.28972度 東経139.00500度 / 35.28972; 139.00500
金時山(きんときやま・きんときさん)は、箱根山の北西部に位置する標高1,212mの山[2][注釈 1]。別名は猪鼻岳で頂上に猪鼻神社が祀られている[3](古くは猪鼻嶽や猪鼻ヶ嶽と称された)。日本三百名山のひとつ。 神奈川県足柄下郡箱根町と同県南足柄市、静岡県駿東郡小山町の境に位置する山で[4]、一帯は富士箱根伊豆国立公園に指定されている[5]。 箱根山カルデラを囲む外輪山列で最も高い山であり、山頂付近は植生の少ない風衝地となっている[6]。周囲の山よりひときわ高く、遮るものが少ないため、山頂からの眺望が良く、西側から南東側にかけて富士山、愛鷹山、南アルプス、駿河湾、金時山より箱根峠方面へ伸びる古期外輪山、箱根山最高峰である中央火口丘の神山と中腹に広がる大涌谷の噴煙地などが望見でき、さらにカルデラ内には芦ノ湖や仙石原を望むことができる[6]。 金時山を含む箱根火山群が活動を始めたのは、約65万年前である。その後、約40万年前に箱根火山の北西から南東方向に伸びる構造線(金時-幕山構造線)で活動が始まった[6]。このときに誕生したのが、箱根火山の寄生火山にあたる金時山周辺および神奈川県足柄下郡湯河原町の幕山周辺の火山体である[6]。時期や成因については諸説があるが、この旧金時火山の誕生後、箱根火山のカルデラ陥没が起こり、取り残されたのが現在の金時山である。詳細は「箱根火山の形成史」を参照 現在の金時山は古期外輪山列上に位置しているため、一見すると外輪山の一峰のように見えるが、カルデラの陥没壁がたまたま旧金時火山の火山体(金時山溶岩)と重なったものであり、他の古期外輪山とは地質が異なる。このため、厳密に言えば金時山は古期外輪山の一峰ではない。
概要
金時山は粘性の高い金時山溶岩から構成されており、他の古期外輪山と比べると山頂付近の傾斜が非常に急で、遠くから見るとひときわ高い峰が天を突いているように見える。この姿が、顔から急に突き出たイノシシの鼻のように見えるため、かつては猪鼻嶽(いのはなだけ)や猪鼻ヶ嶽(いのはながたけ)と呼ばれていた[6]。
金時山の登山道では成層火山の断面や岩脈を観察することができる[3]。
江戸時代になると、坂田金時(坂田公時とも)の故郷が足柄山であるとした「金太郎伝説」ができ、この頃から金時山(別表記:公時山、きんときやま)と呼ばれるようになった。その後、1900年(明治33年)に童謡「金太郎」がつくられ、広く知れ渡るようになった[6]。
なお、金太郎伝説や童謡「金太郎」の歌詞2番「足柄山の山奥で けだもの集めて相撲のけいこ …」で知られる足柄山(あしがらやま)は、金時山から足柄山地の足柄峠にかけての山々の呼称である。山域の呼称であり、足柄山という単独の峰は存在しない。
「足柄山」には金太郎伝説が残る場所が多数ある。金時山北東の南足柄市地蔵堂地区には「金太郎の遊び石」の伝説があり、金太郎が幼少期に登ったり飛び降りたりして遊んだとされる石が残されている。この石は太鼓の形をしていることから、太鼓石(たいこいし)とも呼ばれる[7]。また、酒匂川支流の内川上流部にある滝は「夕日の滝」と呼ばれ、滝の水を金太郎の産湯に使ったという伝説が残る[7]。
山頂の上空から見た金時山頂上。
明神ヶ岳から見た金時山。イノシシの鼻のように突き出た山容から、かつては猪鼻嶽と呼ばれた。
大涌谷から見た金時山。粘性の高い溶岩から構成されているため、特徴的な山容を持つ。
足柄山地・矢倉岳から見た金時山。金時山から足柄峠にかけての山々周辺が足柄山と呼ばれる。
登山登山者でにぎわう金時山山頂。風衝地となっているため、広闊な展望を有する。金時山頂上から望む富士山
展望がよく、初心者でも手軽に登れることから箱根の山では最も登山者が多く、様々な登山ルートが整備されている。しかし、冒頭の写真で分かるように山頂付近は傾斜が急なため、難易度は低いものの、どのコースも山頂付近にはロープやクサリ場が存在する。
金時山周辺の登山施設としては,山頂に金時茶屋(金時娘の茶屋)及び金太郎茶屋の2軒があり、金時山の南東に位置する矢倉沢峠にはうぐいす茶屋がある。南西の乙女峠上には乙女茶屋があったが、現在は廃業している[4]。
公衆トイレは,各登山口付近および山頂に設けられている。山頂の公衆トイレは、環境省によって2010年11月に整備されたバイオトイレで、100円のチップ制となっている[8]。
金時山山頂は岩がゴロゴロと転がる男性的な景観。大きな山頂標識の左隣には秀麗な富士山の姿が見えている。晴天なら、富士山の右後ろに南アルプスの北岳や甲斐駒ヶ岳が俯瞰できる。