この項目では、太陽系の惑星について説明しています。その他の用法については「金星 (曖昧さ回避)」をご覧ください。
金星
Venus
探査機「あかつき」による撮影(2018年5月)
仮符号・別名明星
明けの明星・宵の明星
太白
分類地球型惑星
軌道の種類内惑星
発見
発見方法目視
軌道要素と性質
元期:J2000.0[1]
太陽からの平均距離0.72333199 au
平均公転半径108,208,930 km
軌道長半径 (a)0.72333199 au[1]
近日点距離 (q)0.718460 au[1]
遠日点距離 (Q)0.728226 au[1]
離心率 (e)0.00677323[1]
公転周期 (P)224.701 日(0.615207 年)[1]
会合周期583.92 日[1]
平均軌道速度35.02 km/s[1]
軌道傾斜角 (i)3.39471 °[1]
近日点黄経
最低平均最高
228 K[注 1]737 K[1]773 K
大気の性質
大気圧9,321.9 kPa
二酸化炭素約96.5%
窒素約3.5%
二酸化硫黄0.015%
水蒸気0.002%
一酸化炭素0.0017%
アルゴン0.007%
ヘリウム0.0012%
ネオン0.0007%
硫化カルボニルわずか
塩化水素わずか
フッ化水素わずか
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金星(きんせい、ラテン語: Venus 、英語: Venus )は、太陽系で太陽に近い方から2番目の惑星。また、地球にもっとも近い太陽周回軌道を持つ惑星である。
地球型惑星であり、太陽系内で大きさと平均密度がもっとも地球に似た惑星であるため、「地球の姉妹惑星」と表現されることがある[2]。また、太陽系の惑星の中で最も真円に近い公転軌道を持っている。地球から見ると、金星は明け方と夕方にのみ観測でき、太陽、月に次いで明るく見える天体であることから、明け方に見えるものを「明けの明星」、夕方に見えるものを「宵の明星」という。
物理学的性質
大気と温度詳細は「金星の大気」を参照パイオニア・ヴィーナス1号による金星の雲
(1979年2月26日、紫外線画像)
金星には二酸化炭素(CO2)を主成分とし、わずかに窒素を含む大気が存在する。気圧は非常に高く、地表で約92気圧(atm)ある(地球での水深920メートルに相当)。地表での気温は約730K(約460℃)に達する[3]。高温となっている金星地表から雲層(高度45-70km)までの下層大気の温度勾配は、雲層の上端で有効温度になるような気温減率にほぼ従っており[3][4]、高度50km付近では1気圧で約350K(75℃)、55km付近では0.5気圧で約300K(27℃)と、地球よりやや高い程度である。
金星の自転は非常にゆっくりなものである(#自転を参照)が、熱による対流と大気の熱慣性のため、昼でも夜でも地表の温度にそれほどの差はない。大気上層部の「スーパーローテーション」と呼ばれる4日で金星を一周する高速風が、金星全体へ熱を分散するのをさらに助けている。
高度45kmから70kmに硫酸(H2SO4)の雲が存在する[3]。このH2SO4の粒は下層で分解して再び雲層に戻るため、地表に届くことはない[3]。雲の最上部では350km/hもの速度で風が吹いているが、地表では時速数kmの風が吹く程度である。しかし金星の大気圧が非常に高いため、地表の構造物に対して強力に風化作用が働く。
2011年、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の探査機「ビーナス・エクスプレス」が大気の上層からオゾン層を発見した[5]。2012年、ビーナス・エクスプレスの5年分のデータを解析した結果、上空125kmのところに、気温が-175℃の極低温の場所があることがわかった。