野球のビデオ判定(やきゅうのビデオはんてい)とは、野球において撮影・録画されたビデオ映像(動画)を活用してビデオ判定を行うことである。ボールインプレイ中は、その後の一連のプレーの選択に影響するため対象とならないが、ボールデッド(ボールを用いたプレーが行われない状態)に限って、直前の判定はビデオ判定が対象可能となる。 MLBでは、2005年のポストシーズンで疑惑の判定があったことでビデオ判定の導入が考えられた。また、2006年11月15日(現地時間)のGM会議でも、判定検証のためのビデオ導入などが議題にあがった[1]。本塁打の判定、およびフェア・ファウルの判定に用いるという方向で話が進んだ。 そして、2007年11月6日(現地時間)にフロリダ州オーランドで開催されたGM会議において、本塁打の判定に限定したビデオ判定制度の導入が可決された(賛成25、反対5)。ビデオ判定の対象となるのは、フェンス際やポールぎりぎりの際どい本塁打の判定に限られ、打球がポールのどちら側を通過したのか、観客の妨害があったのか、フェンスのどの部分に当たったのか、などを審判が映像で確認することになる[2]。 2008年8月27日、MLBのバド・セリグコミッショナーがビデオ判定を導入することを発表。北米4大プロスポーツリーグで最後の導入となった。初めにチェックを兼ねて28日のオークランド・アスレチックス対ミネソタ・ツインズ戦、ロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム対テキサス・レンジャーズ戦、シカゴ・カブス対フィラデルフィア・フィリーズ戦の3試合で採用され、その他の試合では29日から導入された。 2008年9月3日、トロピカーナ・フィールドで行われたタンパベイ・レイズ対ニューヨーク・ヤンキース戦で、初めてビデオ判定が適用された。6-3とヤンキースのリードで迎えた9回表二死二塁、アレックス・ロドリゲスがトロイ・パーシバルから放った左翼ポール上部への打球を三塁塁審ブライアン・ランジ
メジャーリーグベースボール
経緯
2008年9月19日、ビデオ判定で初めて判定が覆された。同じくトロピカーナ・フィールドで行われたタンパベイ・レイズ対ミネソタ・ツインズ戦の4回裏一死一、二塁の場面で、レイズのカルロス・ペーニャの打球が右翼フェンス上部付近に当たりグラウンドへ落ちた。一塁塁審マイケル・ディミューロはファンが触ったとして二塁打と判定したが、ジョー・マドン監督が抗議しビデオ判定となった。4分10秒の検証の結果、二塁打から3点本塁打に訂正された。ビデオ判定が導入されてから3度目の適用例であった。
なおビデオ判定が2008年8月に導入されて以降100本以上が対象となっている。
2010年6月2日にアーマンド・ガララーガの幻の完全試合が発生し、ビデオ判定の適用範囲拡大についての議論が活発化した。 2014年からは拡大されチャレンジ方式が採用された[4][5][6]。チャレンジ用のスタジオをニューヨークに設置し、30球場それぞれに7 - 12台設置されたカメラの映像を一括管理。1日8人の分析担当審判員が各球場の審判員と連絡を取り合い判定を行う[7]。監督は失敗するまでは何度も判定に異議を申し立て、ビデオ判定を要求できる権利が与えられる(ポストシーズンの場合は2回失敗するまで権利が残る)。ボール、ストライクの判定は対象にならない。チャレンジの要請はタイムをかけてから20秒以内に行わなければならない[8]。また、チャレンジを実行してから2分以内に判定が決まらなかった場合は判定は変わらずそのままとなる。 なお、この場合のチャレンジとは「挑戦」ではなく、「異議申し立て」(アピールと同義)を意味する[9]。 なお、走塁ミスでアピールプレイの対象となる場合、そちらのルールが優先される。アピールを受けた審判の判断でビデオを見ることもあるが[10]、アピールすべき時機はチャレンジと異なり、回数制限にも含まれない。
チャレンジ制度の導入
日本プロ野球