重要無形民俗文化財(じゅうようむけいみんぞくぶんかざい)は、衣食住、生業、信仰、年中行事などに関する風俗慣習、民俗芸能、民俗技術など人々が日常生活の中で生み出し継承してきた無形の民俗文化財のうち、特に重要なものとして国が指定したものである。この指定制度は、1975年(昭和50年)に日本の文化財保護法の改正によって実現し、1976年(昭和51年)5月4日に第1回として30件が指定されて以来、2024年(令和6年)3月21日現在で、合計333件が指定されている。 文化財保護法では無形の民俗文化財を、「衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗慣習、民俗芸能、民俗技術で、わが国の国民の生活の推移の理解のため欠くことのできないもの」と規定している。これは、これまで「無形の民俗資料」といわれてきたものであり、民俗学が「民間伝承」として学問の対象としてきたものである。この指定制度が発足した背景には、平凡な人々のあいだに繰り返されてきた伝承文化が保護の対象になる、という考え方が定着したことにもよるが、昨今の社会の急激な変貌により、営々として長期にわたって継承されてきた「民間伝承」が、今絶滅の危機に瀕しているという問題意識によるところも大きい。 2004年(平成16年)の文化財保護法改正により、従来の風俗慣習、民俗芸能のほか、新たに民俗技術が加えられた。この改正に伴い2006年(平成18年)に、最初の民俗技術として「津軽海峡及び周辺地域における和船製作技術」(青森県)、「上総掘りの技術」(千葉県)、「別府明礬温泉の湯の花製造技術」(大分県)が指定された。 以下、指定名称(指定年月日 所在地 保護団体名)を表示する。(★印はユネスコの無形文化遺産)
背景
民俗技術の追加
都道府県別の指定状況
北海道・東北地方
北海道
アイヌ古式舞踊★(1984年1月21日 札幌市、千歳市、旭川市、白老町、むかわ町、平取町、日高町、新冠町、新ひだか町、浦河町、様似町、帯広市、釧路市、弟子屈町、白糠町 北海道アイヌ古式舞踊連合保存会ほか)
松前神楽(2018年3月8日 函館市、小樽市、北斗市、松前町、福島町、知内町、木古内町、七飯町、鹿部町、森町、八雲町、長万部町、今金町、せたな町、島牧村、寿都町、黒松内町、蘭越町、喜茂別町、京極町、倶知安町、共和町、岩内町、泊村、神恵内村、仁木町、小平町 松前神楽北海道連合保存会)
青森県
八戸のえんぶり(1979年2月3日 八戸市、南部町、階上町、おいらせ町ほか 八戸地方えんぶり連合協議会)
青森のねぶた(1980年1月28日 青森市 青森ねぶた祭保存会)
弘前のねぷた(1980年1月28日 弘前市 弘前ねぷた保存会)
岩木山の登拝行事(1984年1月21日 津軽地方各地 お山参詣保存会)
下北の能舞(1989年3月20日 東通村、むつ市、横浜町 下北の能舞保存連合会ほか)
泉山の登拝行事(1997年12月15日 三戸町 泉山七歳児初参り保存会)
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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