炭酸水素ナトリウム
IUPAC名
炭酸水素ナトリウム
(Sodium hydrogen carbonate)
別称重炭酸ナトリウム、重炭酸ソーダ、重曹[1]、ビカ[1]
識別情報
CAS登録番号144-55-8
50 °C, 323 K, 122 °F (分解)
水への溶解度103 g/L;[2] 69.3 g/L (0 ℃);[3] 236 g/L (100 ℃)[3]
log POW-0.82
酸解離定数 pKa10.329[4]
6.351 (炭酸)[4]
屈折率 (nD)1.3344
構造
結晶構造単斜晶系
薬理学
投与経路静脈注射, 経口
危険性
安全データシート(外部リンク) ⇒SDS AGC
SDS例 厚生労働省
ICSC 1044
主な危険性激しい目のかゆみ
NFPA 704010
半数致死量 LD50ラット、経口
4,220 mg/kg[5][6]
関連する物質
その他の陰イオン炭酸ナトリウム
その他の陽イオン炭酸水素アンモニウム
炭酸水素カリウム
関連物質硫酸水素ナトリウム
リン酸水素ナトリウム
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
炭酸水素ナトリウム(たんさんすいそナトリウム、英: sodium hydrogen carbonate)、別名重炭酸ナトリウム(じゅうたんさんナトリウム、英: sodium bicarbonate、ソディウム バイカーボネイト、ビカ、重炭酸曹達(ソーダ)、略して重曹とも)は、化学式 NaHCO3で表される、ナトリウムの炭酸水素塩である。
常温で白色の粉末状である。水溶液のpHはアルカリ性を示すものの、フェノールフタレインを加えても変色しない程度の弱い塩基性である。水には少し溶解し、メタノールにもわずかに溶解するものの、エタノールには不溶である。具体的には、水(0 ℃) 100 g につき 6.9 g、水 (20 ℃) 100 g につき 9.6 g、メタノール(25 ℃) 100 g につき 0.8 g 溶解する。 塩化ナトリウム溶液の電気分解で得られた水酸化ナトリウム溶液に、二酸化炭素を反応させて製造する。 NaOH + CO 2 ⟶ NaHCO 3 {\displaystyle {\ce {NaOH + CO2 -> NaHCO3}}} 工業的には、ソルベー法によって多量に製造される。これは、炭酸水素ナトリウムの水への溶解度が比較的低いことから沈殿することによる、複分解反応である。 NaCl + H 2 O + NH 3 + CO 2 ⟶ NH 4 Cl + NaHCO 3 ↓ {\displaystyle {\ce {NaCl + H2O + NH3 + CO2 -> NH4Cl + NaHCO3 (v)}}} (矢印↓は沈殿を意味する) また、天然の鉱物を精製しても得られる。日本ではAGCや東ソー・トクヤマなどが生産している。 ソルベー法の過程で得られた炭酸水素ナトリウムは、焼成することによって炭酸ナトリウムの原料となる。 2 NaHCO 3 → Δ Na 2 CO 3 + CO 2 + H 2 O {\displaystyle {\ce {2NaHCO3 ->[\Delta] Na2CO3 + CO2 + H2O}}} 炭酸水素ナトリウムは、炭酸の酸解離定数がpKa1 = 6.3、pKa2 = 10.3 であるため、水溶液は pH = 8.3 程度の弱い塩基性を示す。 HCO 3 − + H 2 O ↽ − − ⇀ H 2 CO 3 + OH − , {\displaystyle {\ce {HCO3^- + H2O <=> H2CO3 + OH^- ,}}} pKa = 6.3 {\displaystyle =6.3} HCO 3 − + H 2 O ↽ − − ⇀ CO 3 2 − + H 3 O + , {\displaystyle {\ce {HCO3^- + H2O <=> CO3^2- + H3O^+ ,}}} pKa = 10.3 {\displaystyle =10.3}
合成
反応