重合度(じゅうごうど)、すなわちDP(英語:degree of polymerization)は、巨大分子やポリマーやオリゴマー分子中のモノマー単位の数である[1] [2] [3]。
ホモポリマーの場合、1種類のモノマー単位しかなく、数平均重合度は次式で与えられる。
D P n ≡ X n = M n M 0 {\displaystyle DP_{n}\equiv X_{n}={\frac {M_{n}}{M_{0}}}}
ここで、Mnは数平均分子量であり、M0はモノマー単位の分子量である。工業製品のポリマー製造においては、ほとんどの場合、数千または数万の重合度が必要とされる。この数はポリマーの分子サイズの通常の変化を反映しているわけではなく、モノマー単位の数平均を表しているだけである。 IUPAC定義高分子、オリゴマー、ブロックや鎖状高分子の中
のモノマー単位の数[4]
しかし、いくつかの専門書では、DPを繰り返し単位の数として定義しており、この場合はコポリマーでは繰り返し単位はモノマー単位と同一ではないかもしれない[5] [6]。 例えば、 ナイロン66では、繰り返し単位は、2種類のモノマー単位、?NH(CH2)6NH?および?OC(CH2)4CO?を含むので、1000個のモノマー単位の鎖は500個の繰り返し単位に相当する。重合度または鎖長は、最初の(IUPAC)定義(モノマー単位)で1000、2番目の定義(繰り返し単位)で500になる。 逐次重合では、高い重合度 Xn(分子量)を達成するためには、 カロザースの式 [7] [8]によると、モノマー転化率pを高くする必要がある[8] X ¯ n = 1 1 − p {\displaystyle {\bar {X}}_{n}={\frac {1}{1-p}}} 例えば、Xn = 100を達成するためには、p = 99%のモノマー転化率が必要である。 しかし、連鎖重合(フリーラジカル重合) の場合、カロザースの式は適用されない。その代わりに、長い高分子鎖が反応の初期から形成される。反応時間を長くすると、ポリマー収率は増加するが、平均分子量にはほとんど影響を及ぼさない[9]。 重合度は、動力学的鎖長に関係しており、これは開始鎖当たりに重合したモノマー分子の平均数に相当する[10]。しかし、それは以下のようないくつかの理由で動力学的鎖長とは異なる。 同一の組成のポリマーであっても、分子量が異なると、違った物理的性質を示す。一般的に、重合度が上がると、溶融温度が高くなり[14]、機械的強度が向上する。 一般的には、分子量10万以上になると、軟化温度・密度・引張強度などへの分子量の影響は無関係となる[15] 合成ポリマーは、異なる重合度を持った巨大分子成分の混合物からなっており、したがってさまざまな分子量を有する。いろいろな種類の平均分子量があり、それぞれ異なった実験で測定することができる。最も重要な2つの平均分子量は、数平均(Xn)と重量平均(Xw)である[5]。 数平均重合度は、ポリマー成分の重合度の加重平均であり、それぞれの成分のモル分率(または分子数)によって重み付けされる。それはポリマーの浸透圧の測定により通常決定される。 重量平均重合度は、ポリマー成分の重量分率(または分子の全重量)で重み付けされた重合度の加重平均である。それはポリマーによるレイリー散乱の測定により通常決定される。 無水グルコース単位
逐次重合と連鎖重合
連鎖停止反応において、2つのラジカル鎖が、全体的または部分的に再結合することによって、重合度が倍になる可能性がある[11]
モノマーへの連鎖移動反応は、反応している同じ動力学的鎖に対し、新しい高分子を発生させる、これは重合度の減少をもたらす。
溶媒または溶解成分(改質剤や調整剤)への連鎖移動は、重合度を低下させる[12] [13]。
物性との相関ポリエチレンの重合度と溶融温度の関係、Flory and Vrij(1963)によるデータ。
数平均および重量平均
参照
参考文献^ ⇒IUPAC Definition in Compendium of Chemical Terminology
^ Cowie J.M.G. Polymers: Chemistry and Physics of Modern Materials (2nd ed. Blackie 1991), p.10
^ Allcock H.R.