里芋
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .pathnavbox{clear:both;border:1px outset #eef;padding:0.3em 0.6em;margin:0 0 0.5em 0;background-color:#eef;font-size:90%}.mw-parser-output .pathnavbox ul{list-style:none none;margin-top:0;margin-bottom:0}.mw-parser-output .pathnavbox>ul{margin:0}.mw-parser-output .pathnavbox ul li{margin:0}タロイモ > サトイモ

サトイモ
サトイモの根茎
分類APG III

:植物界 Plantae
階級なし:被子植物 angiosperms
階級なし:単子葉類 monocots
:オモダカ目 Alismatales
:サトイモ科 Araceae
:サトイモ属 Colocasia[1]
:サトイモ C. esculenta

学名
Colocasia esculenta (L.) Schott (1832)[2]
和名
サトイモ
英名
Taro[3]
Eddoe
下位分類群

品種

Colocasia esculenta (L.) Schott 'Eguimo' (1949) エグイモ[4]

Colocasia esculenta (L.) Schott 'Rosea' (1940) ズイキ(アカメイモ)[5]

サトイモ(里芋[6]学名:Colocasia esculenta)は、東南アジアが原産のタロイモ類の仲間で、サトイモ科の植物。茎の地下部分が肥大化した塊茎)と、葉柄を食用にし、葉柄は芋茎(ズイキ)と呼ばれる。
名称

和名サトイモの由来は、山地に自生していたヤマイモに対し、里で栽培されることから「里芋」という名が付いたとされる[7]。平安時代には「家芋 いえついも」と呼ばれており、最も身近なイモ類であった[8]

栽培の歴史が長いことから、日本各地でさまざまな別名がつけられている[9]。タロイモ[2]、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}イエツイモ、ツルノコモ、ハスイモ[要出典]、タイモ(田芋)[7]、ハタイモ(畑芋)[7]、イエイモ(家芋)[7]、ヤツガシラ(八頭)など[10]、ハイモ[11]などのほか、ズイキイモとも呼ばれる[12]

英語では taro(ターロゥ:タロイモの意)、eddo(エドゥ:タロイモやサトイモの意)、dasheen(ダシン:サトイモ属 Colocasia を表わす同義語)などと呼ばれ[13]フランス語では colocase(コロカーズ)または taro(タロ:タロイモの意)とも呼ばれている[13]学名の Colocasia は、ギリシャ語の「食物」を表す “colon” と、「装飾」を表す “casein” を合成した言葉が語源となっている。
特徴掘り出されたサトイモ(掘る前に葉と芋茎は切り落とされている);
(1) 種イモ(親イモ)から出た芋茎の残り
(2) 種イモ(親イモ;食べるに値しない)
(3) 子イモから出た芋茎の残り
(4) 子イモ(芋の子)
(5) 孫イモ(芋の子)
1個の種イモから画像内全部が1として成長し殖えた。

大きな葉がついた葉柄が地上に生え、草丈は1.2 - 1.5メートル (m) ほどになる[14]。葉は蒸散が盛んで、表面はツルツルに見えるが実際には微細な突起のある構造をしているため、ロータス効果によって葉に落ちた雨水は表面張力によって丸い水滴となってコロコロと流れ落ちる[9]。地中部には食用にされる塊茎(芋)があり、細長いひげ根が生える。塊茎の発芽する部位の数は、通常頂点にある1か所だけである[15]。しかし他の小さな芽からも発芽することもある。日本のサトイモはを咲かせないと言われるが、実際には着花することがある。着花する確率は品種間の差が大きく、毎年開花するものから、ホルモン処理をしてもほとんど開花しないものまで様々である。着蕾したでは、その中心にではなくサヤ状の器官が生じ、次いでその脇から淡黄色の細長い仏炎苞を伸長させてくる。花は仏炎苞内で肉穂花序を形成する。

サトイモの食用になる芋は、茎が変形したもので塊茎といわれる部分である[3]。種芋から芽を出して成長するにつれ、葉柄の基部が肥大して親イモとなり、その親芋の周りを囲むように芽があり子イモを生じ、さらに子イモには孫イモがついて増えていくユニークな育ち方をする[16][17][14][3]。主に子イモを食べるもの、親イモを食べるもの、親イモと子イモの両方を食べる品種がある[18]

サトイモの栽培品種2倍体 (2n=28) および、3倍体 (2n=42) である[19][20][21]。着果はほとんど見られないが、2倍体品種ではよく着果する。種子ウラシマソウなどと比較してかなり小さい。
歴史

原産地はインド中国[22]、またはマレー半島[16]などの熱帯アジアと言われているが[18]、インド東部からインドシナ半島にかけてとの説が有力視されている[7]。少なくとも、紀元前3000年ごろにはインドで栽培されていたとみられている[7]

日本への伝播ははっきりしていないが、イネの渡来よりも早い縄文時代後期と考えられている[7][23]。なお、鳥栖自生芋(佐賀県鳥栖市)のほかに、藪芋、ドンガラ、弘法芋(長野県青木村)と呼ばれる野生化したサトイモが、本州各地にあることが報告されている[24]。このうち、青木村の弘法芋群生地は県指定天然記念物となっている[25]。伝播経路は不明であるが、黒潮の流れに沿って北上したと考える研究者がいる[26]

日本の食文化とサトイモの関わりは関係が深く、古い時代から月見の宴などの儀礼食に欠かさない食材で使われており、サトイモをの代用にした「餅なし正月」の習俗も日本各地で見られた[7]戦国時代には野戦携行食として、茎葉の皮を剥いて乾燥させた保存食「干し ずいき」「芋がら」が重宝された。
栽培

栽培難度はふつうであるが、暑さに強い高温性の根菜で、乾燥を大変嫌う性質がある[27][9]。種芋の植え付けから収穫までの栽培期間は約6か月で[18]、種芋を一つずつ芽出しして地温が十分暖かくなった春に植え付けて、秋に子イモを収穫する[27][6]。初夏までに2、3回土寄せして、を少しずつ高くしていくことにより、イモが大きく育ち、たくさん付けさせる[6]。土にイモを埋めて貯蔵すると、翌年の種芋に使うことが出来る[6]。夏場の生長期に降雨量が少ないと、最も減収が著しい野菜といわれる[3]。天候に左右されやすく、雨の多い夏に良く育つといわれており[22]、乾燥に弱く高温多湿を好む性質から、夏の生育期に雨が少ない場合は水やりをする[6]。栽培に適した土壌酸度pH 6.0 - 6.5、高温性で発芽適温は15 - 30、栽培適温は20 - 30度とされ[22][18]、より高温の35度くらいまで耐える[9]。夏の暑さでも良く育つがには弱く、秋の初霜で枯死してしまう[3]連作すると腐りやすくなる連作障害が出やすいため、輪作するなどにより、同じ畑での作付けは3 - 5年は空けるようにする[27][22][18][9]
適地

熱帯アジアを中心として重要な主食になっている多様なタロイモ類のうち、最も北方で栽培されている。サトイモは乾燥に弱いことから、近場に水場がある乾燥しにくい場所[27]、つまり水田などのような湿潤な土壌で[9]、日当たり良好で温暖なところが栽培に適する。原産地のような熱帯の気候では多年生だが、冬が低温期になる日本では一年草になる[28]。日本では、一般的にで育てるが、奄美諸島以南では水田のように水を張った湛水で育てている。湛水状態で育てた場合、畑で育てるよりも収穫量が2.5倍になるとの調査がある[29][30]。水田でのサトイモ湛水栽培は病虫害予防や余りに対応した転作で有効であるため、九州本土や本州でも広がりつつある[31]。サトイモは酸性に弱く、最適とされる pH が6 - 6.5と高いことが特徴で、ジャガイモサツマイモとは性質を異にしている[9]

昭和30年代ごろまでは、高知県熊本県五家荘)などでは山間地での焼き畑輪作農業により栽培されていた[32][33]成形図説』より
植付・播種から生長期

毎年繰り返される経済栽培では、サツマイモジャガイモと同様に、専ら親株から分離した種芋を土中に埋める方法(いわゆる植付)によって行われる[15]。種芋は、適切に貯蔵され、品質特有の形をした健全なものを選ぶ[34]。サトイモは種子を植え付けても発芽まで1か月を要してしまい、その間に腐敗したり、欠株により収穫されるイモが不揃いになってしまう[15]。春、地温が16度以上になってから種芋が植えられる[27]。種芋は、畑や育苗ポットに種芋の芽を上向きにして植え付けて、保温して催芽させる[6]。芽出しさせた種芋を畑のに植え付けるときは、株間30 cm空けて定植する[35]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:106 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef