酸化亜鉛
[Wikipedia|▼Menu]

酸化亜鉛


IUPAC名

酸化亜鉛
別称亜鉛華,亜鉛白
識別情報
CAS登録番号1314-13-2 
EC番号215-222-5
KEGGD01170
RTECS番号ZH4810000
特性
化学式ZnO
モル質量81.41 g/mol
外観白色固体
密度5.606 g/cm3
沸点

906 ℃[1]
への溶解度1.6 mg/L (28 ℃)
構造
結晶構造ウルツ鉱型構造
空間群C6v4-P63mc
格子定数 (a, b, c)a = 3.25 A, c = 5.2 A
配位構造四面体
熱化学
標準生成熱 ΔfHo-348.0 kJ/mol
標準モルエントロピー So43.9 J K-1 mol-1
危険性
安全データシート(外部リンク)ICSC 0208
EU分類環境への危険性 (N)
EU Index030-013-00-7
RフレーズR50/53
SフレーズS60, S61
関連する物質
その他の陰イオン硫化亜鉛
セレン化亜鉛
テルル化亜鉛
その他の陽イオン酸化カドミウム
酸化水銀(II)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

酸化亜鉛(さんかあえん、zinc oxide)とは、化学式 ZnO で表される亜鉛酸化物である。亜鉛華や亜鉛白とも呼ばれる。白色顔料として工業などに利用されたり、化粧品日焼け止め医薬品にも使われる。
物性

常温常圧で酸化亜鉛は、白色の固体として存在する。すなわち、広い波長域にわたって光を反射する特性を持っている。ただし、高純度の粉末は透明感を持つ。水には不溶だが、酸とも塩基とも反応し[1]、例えば、以下のような反応が進む[2]。ZnO + 2HCl → ZnCl2 + H2OZnO + 4NH4OH → Zn(NH3)4(OH)2 + 3H2O

さらに、皮脂から遊離した脂肪酸とも反応し、微量の亜鉛イオンが発生する[3]。また、地球の大気中に酸化亜鉛を放置すると、徐々に二酸化炭素を水と共に吸収する[2]。2ZnO + CO2 + H2O → Zn2CO3(OH)2

酸化亜鉛を約 300 ℃に熱すると黄変するものの、冷やすと元へ戻る。さらに加熱すると常圧では906 ℃で酸化亜鉛は揮発する[1]。これは酸化亜鉛を炭素で還元するために必要な温度よりも低い[1]
生産

天然には紅亜鉛鉱として産出するが、アメリカ合衆国の2つの鉱山からしか産出しない希少鉱物である。また、ポーランドの亜鉛工場の煙突に析出した結晶が販売されている[4]

工業的には金属亜鉛を熱して気化させ、空気で燃焼させるか、硫酸亜鉛または硝酸亜鉛熱分解で作る。

酸化亜鉛の2016年度日本国内生産量は 56,729 t である[5]
用途

酸化亜鉛を含んだ製剤を皮膚に塗布すると、皮脂から遊離した脂肪酸と酸化亜鉛が反応して亜鉛イオンを生ずるために、弱いながら、表皮収れん作用と抗菌作用を発揮する[3]。酸化亜鉛の別名を「亜鉛華」と言うが、これを適切な軟膏の基剤に分散させて「亜鉛華軟膏」を製造し、これを外用剤として医薬品として用いる場合がある。他に、亜鉛華デンプンに加工して、ベビーパウダーなどとして用いる場合もある。また、酸化亜鉛は日焼け止め剤として一般的に使われる[6]

その白さを化粧品として利用し、例えば白粉などに用いられる場合もある。かつて用いられていた鉛白と比べると、酸化亜鉛は軽量で被覆力は劣るものの、鉛白と比べて圧倒的に毒性が低い。鉛白を含んだおしろいが、その毒性のために製造禁止になったのとは対照的である。

また、酸化亜鉛は硫化水素で黒変しないため、絵の具などに用いる白色顔料として重要である。その他に、以下のような用途が存在する。

電子部品バリスタ鉱石検波器

半導体

透明電極

光触媒

避雷器

軽オフセット印刷

酸化亜鉛を感光体として使用する。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:22 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef