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出典検索?: "酪農" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2020年12月)
酪農(らくのう)とは、牛や山羊などを飼育し、乳や乳製品を生産する農業の形態である。その歴史は古く、人類が狩猟生活から農耕生活に入ったのと同時期に、こうした酪農、畜産も始まったといわれる。移動しながらの遊牧も行われるようになった。乳牛の主力・ホルスタイン種日本では繋ぎ飼育が主流 写真は日本 スタンチョンによる繋ぎ飼育スタンチョン(Stanchion)。繋ぎ飼育には、タイストール(英語版)という支柱とチェーンでつなぐ方式もある。タイストール式では自由に寝ることができる。タイストール式は、ニューヨーク式とコンフォート式がある[1]。
冷涼な高地が乳牛飼育に向いた土地。一軒につき数頭から数百頭の乳牛を、牧場等で放牧したり畜舎で飼育する。氷期に氷床に覆われていた地域では、氷河が地表の土壌を侵食したため、土地がやせているが、牧草の栽培は可能であり、酪農が展開される[2]。
乳牛「乳牛」も参照
乳量の多いホルスタイン種乳牛が主流。日本で飼育されている乳牛の98%がホルスタイン種である。ホルスタインは人間が人間のために改良に改良を重ねてきた動物である。そのため高泌乳だけでなく、人間が管理しやすくおとなしい性格がホルスタインの品種特性のひとつとなっている[3]。乳質向上のため、農家によっては数十頭のホルスタイン種のグループに数頭のジャージー種(脂肪分などの成分が高い)を導入する場合もある。
搾乳「en:Rotolactor」を参照ミルカー(搾乳機)
乳牛はいかに多く搾り取るかを最大の課題とされ、改良が進められた。その結果、1頭あたり年間乳量は8,636kg(2018年農林水産省牛乳乳製品統計調査参照)にまで増加した(肉用に飼育される牛の年間乳量は1000kg程度)。そのため一日でも乳牛を搾乳しないまま放置すると、乳房炎という病気になるため、きめの細かい管理が必要である。一般的には等間隔で朝と夕に搾乳を行うことが多い。
また搾乳時に邪魔であったり、糞尿がついた尻尾が搾乳の中に入ったりすることがあるため、尻尾の切断が行われることもある。尻尾の付け根をきつく縛り、尻尾を壊死させて切断するという方法などで実施される。動物福祉の考え方に対応した乳牛の飼養管理指針」では断尾はできうる限りしないほうがのぞましい、とされている[4]。
日本でも昔(1960年代頃まで)は人の手で乳搾りを行い、搾った生乳(せいにゅう)をバケツに取り、さらに牛乳缶と呼ばれる20リットル程度の金属製容器に貯蔵していたが、現代では工程のほとんどが機械化されている。現在、日本では、畜舎内に走るパイプラインと牛の乳房をミルカー(搾乳機)で接続して搾乳するパイプライン方式が普及しているが、規模拡大(メガファームの増加)傾向に伴い、牛を搾乳室に集約して効率的に搾乳するミルキングパーラー方式や搾乳作業を自動化して省力化を図る搾乳ロボットの導入も増えている。日本では通常、年中無休で1日2回の搾乳が一般的であるが、1日1回搾乳や季節繁殖による夏期を中心とした搾乳、先に挙げた従業員交代制による1日3回のミルキングパーラー搾乳や1日に複数回の搾乳を行う搾乳ロボットなど搾乳方式は多様化しつつある。
搾乳後の生乳はバルククーラー(生乳を冷やす冷蔵タンク)に送られ冷却・一時貯蔵、その後集乳車(タンクローリーの一種)により集荷され、牛乳工場へ運ばれる。 人と同じで出産しなければ乳が出ないため、計画的な人工授精が行われる。日本における乳用牛の人工授精の普及率は 約98%で、自然繁殖はほぼない[5]。乳生産のために雌を産む必要がある。そのため2000年代に性腺別精液が実用化され、日本国内でも2007年以降、一般向けに性選別精液の販売が開始された[6]。2014年の雌精液使用率は14%となっている[7]。 初産は2産3産に比べると、乳用種ではなく黒毛和種の種を人工授精されることが多い。産まれた子牛はF1(交雑種)と呼ばれ、肉牛として肥育農家に販売される。初産でF1が多いのは、黒毛和種はホルスタイン産子と比べて牛体が小さいいっぽう、ホルスタイン雌牛の初産分娩時期は成長途中の場合が多いためである。成長しきっていない牛の初産分娩にホルスタイン種をつけると難産のリスクが高まる[8]。しかし最近の黒毛和種は肉量を増やすために大型化しているため、FIでも難産を招くことがある[9]。 日本の乳牛では、放牧主体の酪農はほとんど行われておらず、約74%がスタンチョン(牛の首の部分をはさんで繋いでおく道具)やタイストール(牛をチェーンで繋ぐ方式)での繋ぎ飼いであり、約25%は牛舎内での放し飼い(寝床が個別のフリーストール、自由に寝られるフリーバーン 飼料は大まかに言って、繊維質の多い、生の牧草・乾草などの「粗飼料」と繊維質の少ないトウモロコシ(デントコーン)などの穀類や植物油の絞りかす等をつかった「濃厚飼料」とに分けられる。粗飼料に比べ濃厚飼料のほうが高カロリーである。高脂肪の乳を搾り取るため、粗飼料中心の酪農から、近年は濃厚飼料中心の酪農へと変ってきている。 これには乳脂肪分3.5%を下回る生乳を出荷すると、メーカーと農協によって牛乳の出荷価格(単価)が半値にされてしまうルールが導入されてきた経緯が大きく関係しており、乳脂肪分を一定に保ちにくい放牧酪農が激減したこともこれに由来する。 そのため粗飼料の不足や濃厚飼料の多給により乳牛のルーメンアシドーシス(第一胃の病気)が増えている。この病気は吸収や中和など通常の胃の働きに弊害が起こることによって進行し、初期にはちん鬱や採食量の低下などが現れる。さらに進行すると毒素が産生され血中へ入り込むことにより蹄葉炎や肝障害、肺炎を引き起こすことに繋がっている[14]。 牧草は乾燥させた乾草(かんそう)として給与するか、保存等のために密封、乳酸発酵させてサイレージとして給与することが多い。かつては牧草を気密度の高い塔型サイロに入れて発酵させていたが、この方式は機械の故障が多発し、維持管理に多額の費用がかかることから廃れ、現在では平面型のバンカーサイロ等が使用されるようになった。また通常のサイロよりも簡易的な牧草をロール状に巻き取り、これをビニールで包んで発酵させるラップサイレージが主流となりつつある。 なお、牛乳の「味」としては、緑色のままの牧草(牧草地に生えている状態の牧草)だけを、食べさせた乳牛の乳はやや「青臭み」があり、これを取り去るには乾草も食べさせねばならない。また、牛乳の味には「季節要因」もあり、一般に夏場の方が「飲み口がさっぱり」しているが「コク」が少ない。また、この「コク」=タンパク質を牛乳に増やすためには、飼料にたんぱく質を多く含む大豆、米、麦などの穀類を混ぜる必要がある。
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