『酉陽雑俎』(ゆうようざっそ)は、中国の唐代に荒唐無稽な怪異記事を集録した書物である。段成式(803年 - 863年)撰、20巻・続集10巻。860年(咸通元年)頃の成立である。 撰者の段成式は、時の宰相や節度使であった段文昌の子である。青州臨?県の出身、字は柯古。官は秘書省の校書郎となり、宮中にある秘閣の蔵書に精通していた。その上、段家には蔵書が多く、また、仏典にも詳しかった。江州刺史、太常少卿などの官を歴任した。官を辞してからは、襄陽に居を構え、863年(咸通4年)に没した。 書名の「酉陽(ゆうよう)」は、?陵県にある小酉山の麓に、書1,000巻を秘蔵した穴が存在するという伝承に則っている。内容は、神仙や仏菩薩、人鬼より、怪奇な事件や事物、風俗、さらには動植物に及ぶ諸事万般にわたって、異事を記しており、中国の小説あるいは随筆中においてその広範さは一、二を争う。魯迅の愛読書であり、南方熊楠が、プリニウスの『博物誌』と名を比した書としても知られる。 インドやペルシアなどの海外に関する伝聞も多く記されている。中でも「撥抜力国」は西南海中にあって「象牙と阿末香(龍涎香)」を産するといい、今のソマリアのベルベラ地方を指すとされる[1]。また、継子いじめ譚である葉限の話はシンデレラと共通性が高いことが注目される。 テキストの伝世に関しては、不明な点が多く、後集10巻の中には、明代の遺文を蒐集した部分が少なからず含まれるとされる。 中国語版ウィキソースに本記事に関連した原文があります:酉陽雜俎
目次
1 撰者・段成式
2 概要
3 日本語訳
4 脚注
5 外部リンク
撰者・段成式
概要
日本語訳
今村与志雄訳注『酉陽雑俎』 平凡社〈東洋文庫〉全5巻、1980-81年、ワイド版2008年
脚注^ 今村訳による
外部リンク
更新日時:2019年8月18日(日)13:57
取得日時:2019/09/10 10:54