都市索道
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都市索道の例(YOKOHAMA AIR CABIN

都市索道(としさくどう)は、索道のうち、都市における交通手段として用いられているものを指す。都市型索道や都市型ロープウェイとも呼ばれる。
概要愛知万博開催中に運行されたキッコロゴンドラ

索道は従来の交通機関と比較した場合、空中を通るため、都市空間を有効活用できること、急勾配や渡河など地形の障害対応が容易なこと、循環式の場合はエスカレーターのような連続輸送が可能で待ち時間が少ないこと、各搬器に運転士が不要なため、比較的少数の人員で運行可能なこと、バリアフリー対応が容易なこと、排気ガス騒音が少なく環境への負担が少ないことが利点とされる[1][2][3]

一方欠点としては、路線バスよりは輸送力が大きいものの、鉄道と比べると小さいこと、原則直線でしか軌道を敷設することができず、進路を曲げたい場合は中間駅を介さなければならないこと、びわ湖バレイロープウェイのように速度が最大でも40km/h程度までしか出せないこと、速度やロープの技術上の制限から長距離の移動には適さないことなどが挙げられる[4]

ただ、曲線で建設出来ない索道の弱点を克服するため、3Sロープウェイの懸垂器を交換してランゲン式上野式に類似した懸垂式モノレールへ乗り入れしたり、搬器の下部に台車を連結して路線バスやBRTULTraをはじめとする個人用高速輸送システムのように自動運転技術で道路を走行出来るようにする方法も構想されている[5][6][7]。また既に、索道技術をベースにしたIビーム式モノレールスカイレールが実用化しているほか、別のアプローチとしてZipparと呼ばれる自走式搬器型の都市索道の開発も進められている[8]

搬器は普通索道と呼ばれる閉鎖式のものを使用し、安全性の問題から特殊索道のようなイスのみの開放式搬器はまず採用されない。走行方式はゴンドラリフトと呼ばれる自動循環式か、ロープウェイと呼ばれる交走式を採用することが多いが、山口きらら博の「きらゴン」のように、パルスゴンドラと呼ばれる連接式搬器の固定循環式を採用した例もある[9]

索道を都市交通として使用する場合、0.3km - 4.2km程度の移動に最も効果があるとされる[4]。だがスキー場など冬季寒冷地での使用と違い、猛暑ヒートアイランド現象への対処として冷房、夜間使用での照明、通信設備の電力需要が高まるため、電源確保が重要となる[10]

例えば先述のきらゴンの場合、専用の搬器に小型発電機を搭載して冷房の搭載に対応した[9]YOKOHAMA AIR CABINの場合、各ゴンドラに蓄電池を搭載して、エアコンの使用が可能になっている[11]3Sロープウェイの場合、滑車式の発電装置を内蔵し、電力供給を行うシステムを搭載することが可能となっている[12]
歴史.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .tmulti .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .tmulti .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .tmulti .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .tmulti .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .tmulti .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .tmulti .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow>.thumbcaption{text-align:center}}初代通天閣と新世界ルナパークを結んでいた「ロープ・ウエィ」(1912?1920年)

索道は長年、スキー場や山岳地帯の観光用の交通手段や貨物用途での建設が多く、都市向けの交通手段としてはあまり注目されていなかった。固定循環式は乗客の乗降を考慮しすぎると巡航速度が遅く、逆に速度を上げすぎると乗客の乗降が困難になるという特性があり、交走式は乗り降りは停止しながら行えるのでこれらの問題は無いものの、搬器数が1?2台と少ないため輸送力が小さいという欠点があったためである。そのためケルン・ザイルバーン(ドイツ語版)やルーズベルト・アイランド・トラムウェイのように河川を渡る場合など、一部の用途に限られていた。

日本でも、1912年から1920年において大阪の初代通天閣新世界ルナパークを結んでいた「ロープ・ウエィ」や[13]1914年東京大正博覧会の「ケーブルカー」、1928年東北産業博覧会の「架空ケーブルカー」、1931年に開業した浅草松屋屋上の「航空艇」、1951年から1953年にかけて東京都渋谷区渋谷駅前、東急百貨店東横店にあった「ひばり号」[14][15][16]等の事例があるにすぎず、これらの廃止後は先述の通り、スキー場や山岳地帯の観光用での使用が主となっていた。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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