都市新バスシステム
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都市新バスシステム(とししんバスシステム)とは、日本国内の都市における交通体系上根幹となるべき主要なバス路線において様々な施策を行い、バスの利便性を改善するために導入されたシステムのことである。

1988年運輸省(現:国土交通省)が定義した都市新バスシステムの事業内容の例示では、バス専用レーンの設置と合わせて、バス車両については乗客サービスの向上に資する車両を導入し、バス停留所においてはシェルター化やバス接近表示の設置を行った上、バスの運行システム全体を整備する事業と位置づけている[1]
概要

路線バスが時刻通りに来ない、いつ来るかわからないなどの乗客の不満を解消する方法として[2]1978年から[2] 運輸省(当時)による「大都市モデルバスシステム整備費補助金」を基に、バスロケーションシステム新宿駅西口を皮切りに導入されていった。また1981年度からは運輸省が助成し、名古屋市においてバス専用レーン停留所のグレードアップなどの施策を盛り込んだ「都市基幹バス」の運行が開始された。

これらの先例を基に改善を施した上で、バス路線総合管理システムをあわせて導入したものが、1983年度から開始された都市新バスシステムである。はじめに1984年3月に東京都東京都交通局都営バス)が運行する渋谷駅 - 新橋駅間約5.5kmと、新潟県新潟市新潟交通が運行する、新潟駅万代口 - 西小針 - 内野営業所(現:新潟西高校前バス停)間約16.8kmと、新潟駅 - 西小針 - 新潟大学西門間約13.9kmにおいて導入された。その後、金沢大阪、名古屋にも導入されていった。初期に導入されたこれらの事業では、運輸省から補助金の交付を受けていた。

以下に見られるような施策を行った結果、東京や名古屋では30%近い大幅な利用客の増加をもたらした。こうした大きな効果を上げた影響で、その後は補助金の有無にかかわらず、都営バスや東急バスなどでも都市新バスシステムの整備が進められた。

都市新バスシステムは、路線バスサービス全体の底上げにつながる施策となった。2000年代以降は車両面やサービス面でも、都市新バスシステムとその他一般路線との差異は薄まっており、東急バスのように全体的なサービス水準向上により、都市新バスシステムを廃止して一般路線化しているバス事業者もある。
各都市における都市新バスシステム
東京都
東京都交通局(都営バス)

東京都交通局都営バス)では、1982年4月から早稲田営業所管内でバスロケーションシステムを導入していた[2]が、より高度なシステムを追求した結果[2]として開発されたのが都市新バスシステムである。これはバス運行システムの進化を図った上で、停留所施設の充実と定時運行率の向上を目的としたものである[2]。車両も一般路線との差別化を図るため、ハイグレード仕様の「都市新バス専用車」で運行開始した[3]

1984年3月31日に最初の路線として、都01「グリーンシャトル」が運行開始され[2][4]、以後も約2年ごとに1路線ずつ導入が行われた[5]

全ての都市新バス系統には「グリーン[注釈 1]で始まる路線愛称とシンボルマークが付けられた。専用の系統番号は、漢字は都市新バスを表す「都」で統一し、数字は都市新バス専用の00番台(例:都01)とした。

車体には、東京都交通局の局紋や現行の「Tマーク」[注釈 2]に代わり、路線愛称とマークを表示したヘッドマークを装備した[8]。路線愛称により、それぞれロゴ書体や色などデザインが異なる[9]。愛称表示は、1997年式のツーステップ車までは行灯1998年式以降の車両はサボ(裏面は「ノンステップバス」と書かれている)、またはステッカーやマグネットを使用している。

施設や走行環境の整備としては、バス停留所に風防ガラス付き待合室を整備した[3]ほか、起終点停留所においては途中までの所要時間を表示するようにした[3]。都01と都02では、ほぼ全区間で朝ラッシュ時のバスレーン設置が実現した[10][11]
都営バスの車両

全系統でカラー
方向幕を使用し、遠くからでも一目で都市新バスと分かるようにした。

冷暖房完備の車両を使用した(のち一般車両にも拡大され、標準装備となった)[3]

色分けされたハイバックシートを採用した[3]優先席を除く)。更新車と1997年式以降の導入車両ではハイバックシートは消滅した。

側面窓は上部引き違い式とした。2003年式の車両を除くノンステップ車で標準仕様となって消滅した。

乗り心地改善のため、エアサスペンションを採用した[12]
都02「グリーンライナー」専用車より全車エアサスを採用[12]。都01「グリーンシャトル」用車両は1989年式から。

前扉にグライドスライドドアを採用。
都02「グリーンライナー」専用車から採用。都01「グリーンシャトル」専用車は1990年式から。
都営バスの路線

都市新バスシステム開始以来、以下の8系統が運行されている。路線の詳細については各系統の所管営業所の項目を参照。
グリーンシャトル(都01)


都01:
渋谷駅 - 六本木駅 - 新橋駅(旧・橋89)

開業日:1984年3月31日

所管:渋谷営業所

マーク:ペガサス[9]
公募で決まった愛称にあわせ、都市新バスのイメージを天翔けるペガサスで表現した[9]

愛称ロゴ:青地に白文字、グリーンの線。両側に金色の星[9]
運行開始当初は愛称とマークはなく、ヘッドマークは局紋で、行灯には「都市新バス」と書かれていた。1984年6月に愛称を公募、約4000系の応募の中から「グリーンシャトル」に決定。同年6月21日に命名後、ペガサスのマークが付けられた[9]


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