部隊訓練評価隊
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部隊訓練評価隊
富士訓練センターの看板
創設2000年(平成12年)3月28日
所属政体 日本
所属組織 陸上自衛隊
部隊編制単位
兵科諸職種混成
兵種/任務/特性模擬的実戦環境下での部隊練度の定量評価
所在地山梨県南都留郡忍野村
編成地北富士
通称号/略称FTC
上級単位陸上自衛隊富士学校
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部隊訓練評価隊(ぶたいくんれんひょうかたい、Training Evaluation Unit;TEU)は、山梨県南都留郡忍野村北富士駐屯地に駐屯する富士学校隷下の訓練支援部隊である。通称富士訓練センター(Fuji Training Center:FTC)。
概要

全国各地に所在する各普通科中隊を対象に、北富士演習場において交戦訓練教材(バトラー)を使用して中隊規模の諸職種混成部隊に対する模擬の実戦的訓練環境を提供する(いわゆる「演習対抗部隊」)。隊長は部隊の特性上普通科連隊長職を経た1等陸佐が充てられ、統裁科が訓練全般を統裁し、評価支援隊(第1機械化大隊[1])が実際の対抗部隊を演じ、評価分析科が結果を客観的・計数的に評価する。設立当初は普通科教導連隊から1個中隊と戦車教導隊から1個小隊の支援を受けることで対抗部隊を編成していたが、これにより両隊内の隊務運営に支障をきたしていた事などの理由から、2002年に同隊直轄の「評価支援隊」を新編した。

評価支援隊の隊員は任務の特性上、通常の迷彩服に加え、専用の迷彩服(対抗部隊用迷彩服)が平成21年度より支給されている。これは航空自衛隊の旧型の戦闘服と同様のパターンだが若干配色が異なっている。また、車両も陸上自衛隊標準の二色迷彩に黒を加えた三色迷彩が施される。

ドイツ連邦陸軍アメリカ陸軍も同様の施設・部隊を有し、大隊規模の訓練環境は提供できたが、レーザーの特性上、銃砲など直接照準火器や地雷など固定された武器などの定量評価に留まっていた。富士トレーニングセンターでは訓練に参加する全部隊の隊員や車両・火器のモニタリング、定点センサーやカメラの設置、それらに連動し砲迫の着弾を演出するための発煙装置などを新たに利用して、中隊規模ながら砲迫など間接照準火器の定量評価が可能となった。

受閲部隊は訓練後にAAR(アフター・アクション・レビュー)を行い、反省点を踏まえのちの訓練に役立てる。また、中隊としての参加だけでなく、対抗部隊要員としての参加、評価分析官としての参加も受け入れており、訓練とは違った角度での練度向上も見込めるという[2]訓練機材として使用されるバトラーの例、胸元のモニター部に「シボウ」「ジュウショウ」「ケイショウ」の文字の他に受傷部等が表示される。人員の状況は統裁部にて氏名と部隊名が全て記録され、死亡宣告を受けた隊員は別途回収要員に回収される。
受閲部隊の訓練時の編成の一例

増強普通科中隊(戦闘群)

中隊本部

第1小銃小隊(原則として訓練を行う普通科中隊の小銃小隊を基幹部隊として集約し臨時に増員・フル化編成となっている)

第2?4小銃小隊(原則として訓練を行う普通科中隊以外の各ナンバー中隊から要員が選抜され編成及び増員されている
[注釈 1]

迫撃砲小隊(他中隊からの応援を受けて4個射撃分隊を編成)

対戦車小隊(他中隊からの応援を受けて4個射撃分隊を編成)

施設小隊(本管中施設作業小隊を基準とし他中隊からの支援及び必要に応じて師団等隷下の施設科部隊からの支援を受ける場合もある)

重迫撃砲小隊(重迫中隊から要員を選抜し4個射撃分隊を編成、旅団は2個射撃分隊)

対舟艇対戦車小隊(原則として連隊直轄の対戦車中隊を編成若しくは上級部隊に対戦車隊等が編成されている場合は当該部隊からの支援で構成)

戦車小隊(師団隷下部隊からの支援)

特科分隊(指揮観測要員のみの支援で実際の射撃状況はシステムによる実状況が行われる)

上記に関してはあくまでも部隊広報誌・マスコミ等にて公表されている内容であり、実際の訓練時には師団・連隊等の状況により変化が生じる。また小銃小隊に関しては訓練参加部隊のうち指定された中隊が基幹となり、1個小銃小隊を4個小銃班のフル編制に編成した上で残りの小銃小隊は他の中隊からの支援を受けて編成する。
「不敗神話」

対抗部隊であるゆえに配属される基幹部隊の隊員は最精強であり、(模擬)特科火砲支援下のもと、主力戦車たる90式戦車で増強された機械化歩兵部隊、北富士演習場を知り尽くしての戦闘という地の利を生かし[2]、精強部隊とされる第1空挺団や旧西部方面普通科連隊でも勝てないと噂されるなど、創設以来約20年間無敗を守り「不敗神話」を継続していた[2]。しかし、2019年(令和元年)に第39普通科連隊基幹の第39戦闘団が「総合的に評価した結果、撃破判定」を勝ち取り、部隊訓練評価隊も対抗部隊指揮官が「(我々の)事実上の敗北だ」と負けを認める「史上初の快挙」となった[注釈 2][2]米陸軍戦闘訓練センター(NTC)における訓練での評価支援隊戦車中隊の74式戦車(2014年1月)
沿革

2000年(平成12年)3月28日:部隊訓練評価隊が北富士駐屯地で編成完結。駐屯地司令職務担任部隊に指定(当隊編成前は第1特科連隊第5大隊が同職務を担任)。

2002年(平成14年)3月27日:部隊新編。

評価支援隊を隷下に滝ヶ原駐屯地で新編[注釈 3]

駒門駐屯地から移駐してきた第1特科隊に駐屯地司令職務を移管。


2019年(平成31年/令和元年)

3月:評価支援隊の戦車中隊の装備を74式戦車から90式戦車に更新。

11月4日 - 9日:第10次運営において、第39戦闘団が史上初となる「総合評価で、対抗部隊を撃破」の評価を勝ち取り、創設以来初の敗戦となる[2]


部隊編成

部隊訓練評価隊本部

統裁科

評価分析科

器材管理科


評価支援隊(
滝ヶ原駐屯地[注釈 4]

評価支援隊本部「評支-本」

施設小隊(訓練時は対抗部隊への施設作業支援を主任務としている)

指揮観測班(野戦特科職種隊員による編成、火砲類の装備は無く、あくまでも対抗部隊に対しての砲撃に関係する指揮観測が主任務)

第1普通科中隊「評支-1」

第2普通科中隊「評支-2」

戦車中隊「評支-戦」(保有する戦車は訓練実施部隊への管理替えも兼ねて配置されている、2019年(平成31年)3月に74式戦車から90式戦車へ装備転換を実施)


主要幹部

官職名階級氏名補職発令日前職
部隊訓練評価隊長
1等陸佐加々尾哲郎2022年08月01日陸上自衛隊教育訓練研究本部主任研究官
副隊長1等陸佐坂井健一2022年03月14日第13特科隊
日本原駐屯地司令

歴代の部隊訓練評価隊長(1等陸佐(二))代氏名在任期間出身校・期前職後職
01榎本眞己2000年03月28日 - 2002年07月31日防大14期普通科教導連隊
防衛大学校教授練馬駐屯地業務隊
02松尾辰蔵2002年08月01日 - 2004年03月28日防大18期第35普通科連隊長西部方面指揮所訓練支援隊長
03野田一巳2004年03月29日 - 2006年08月03日防大20期空挺普通科群第1空挺団副団長
04高木新二2006年08月04日 - 2008年07月31日防大24期第21普通科連隊自衛隊大分地方協力本部
05河井繁樹2008年08月01日 - 2009年12月06日防大27期第16普通科連隊長陸上自衛隊富士学校普通科部
教育課長
06曽田健史2009年12月07日 - 2011年07月31日防大26期第32普通科連隊
第14旅団司令部幕僚長陸上自衛隊富士学校総務部長
07菅野茂2011年08月01日 - 2013年03月31日防大27期第22普通科連隊
→第14旅団司令部幕僚長第15旅団副旅団長
那覇駐屯地司令
08井上一2013年04月01日 - 2015年03月29日防大30期第11普通科連隊
自衛隊長野地方協力本部中央即応集団司令部幕僚副長
09菅野隆2015年03月30日 - 2016年02月18日防大33期第35普通科連隊長
→中央即応集団司令部幕僚副長陸上自衛隊富士学校付
→2017年1月10日 研究本部研究員
10山下博二2016年03月23日 - 2017年07月31日防大34期第42普通科連隊
南スーダン派遣施設隊長
第5施設団副団長第9師団司令部幕僚長


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